2025/4/19撮 国道242号で陸別市街に着いて、郵便局手前の仲通を少し入ると「正己(まさみ) 秦食堂」がある。現在の店舗は平成14(2002)年12月にリニューアルした。戦前は和菓子屋を営業していたが、昭和22(1947)年に初代が転業してそば屋を開業した。「正己」の屋号は初代と2代目の名前の1文字を組み合わせたもの。現在は3代目がノレンを継いでいる。
人手不作もあり、令和5(2023)年7月から休業中だったが、町出身の山崎聖弥さんが、事業承継を目的とした地域おこし協力隊員に名乗りを上げて、令和6(2024)年7月1日に再オープンした。同店で最長3年間、修業した後にのれんを引き継ぐ予定だ。
・参考資料
「北のそば屋さん」(渡辺克己著、北海道新聞社)
「隠れそば奉行が行く 北海道そば100選」(ランダム・プレス)
・
勝毎記事(2024/6/23)■場所:
陸別町字陸別原野分線5-7■営業時間:11時~15時(そば無くなり次第終了)
■定休日:日曜
■駐車場:有り
2025/4/19現在
2022/4/8撮 店舗の裏手にそば粉の銀行と描かれた製粉工場・低温倉庫がある。
2025/4/19撮 和風レストラン風の店内に、テーブル(長テーブル1卓、4人掛け3卓)・小上がりを配置。2階には宴会座敷がある。客席に灰皿は置いていない。

2014/9/20撮 温・冷そば、ご飯ものあり。料金は高めに設定している。

2025/4/19撮 いくらか値上げしている。温かいそばのメニューが少なくなっている。
●注文:かしわそば(当時900円)
2014/9/20撮 鶏肉の入ったシンプルなかしわそば。そばは褐色を帯びた太めの田舎系。旭川近郊から仕入れた玄そばを低温で管理し、自家製粉している。そばは殻ごとロール挽きし、細かい目の篩(ふるい)でそば殻を取り除き、和菓子時代に使用していたローラー(太い麺棒)で延(の)している。つなぎ無しの100%生粉(きこ)打ちそばは、甘皮を挽きこんで独自の麺棒を使用しているせいか、こしもあり、しかも歯抜かりはない。鰹節、昆布で取ったつゆは甘さを抑えた素朴な風味。こりこりした親鶏が妙に懐かしい。

そば粉で溶いたそば湯はとろとろな状態。温かいそばにも提供してくれるのは実にうれしい。
(平成25年9月20日再訪)
●注文: もりそば(当時700円)
2022/4/8撮 塩別つるつる温泉に一宿した帰路、開店直後に立ち寄る。もりそばを注文。10分ほどで運ばれてきた。
せいろに盛られたもりそば、盛切りのつけ汁、薬味のねぎ・わさび、そば湯が付く。

褐色を帯びた平打風のやや太めのそば。コシ弱めのソフトな噛み心地で喉越しは滑らか。つけ汁はちょうどいい塩梅だが、水切りの甘いそばの水滴で薄くなってしまう。温かいそばと比べるとイマイチな感じは否めない。

つけ汁をとろとろのそば湯で割って飲む。
(令和4年4月8日再訪)
●
注文:とろろそば(1,000円)
温根湯温泉に一泊した帰りに立ち寄る。開店と同時に入店。滞在中に3組7名+1名来店。冷たいとろろそばを注文。7分ほどでそばが運ばれてきた。どんぶりに盛られた冷たいそば、茶碗に入ったとろろいも、そば徳利、薬味のねぎ・わさび、そば湯が付く。

幌加内産の玄そばを隣の製粉工場で自家製粉して打った生粉打ちそば。

灰褐色を帯びた生粉打ちそば。厚みは凡そ2mm、切幅は凡そ3~4mmで全体的に太めに手切りしている。3年前の同じ時期に食した時は柔らかい印象だったが、今回のそばはしっかりとコシがあって噛み心地が実にいい。とろろろいもにつけ汁を注いでそばを手繰ると、とろろろいもが絡んだ粘り感が堪らない。量は多めで腹持ちはいい。

まるでポタージュのようなそば湯を飲む。
(令和7年4月19日再訪)