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ばんえい競馬士 第001号 コヤノゴー 〈別館〉 - 記事一覧
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2023.03.21
新たな顔を見せたアシュラダイマオーが一気の頂点! 〈第54回イレネー記念(BG1)〉
<p>3月19日(日)に行われた2歳シーズンの最高峰、第54回イレネー記念(BG1)は、第二障害を下りてからしぶとく歩き切った<b style="font-weight:bold;">アシュラダイマオー</b>(牡3、松井)が激しい追い比べを制し、重賞初制覇を遂げました。<br>西謙一騎手はイレネー記念初制覇で重賞通算18勝目。松井浩文調教師はイレネー記念2勝目で重賞通算75勝目。<br>馬場水分1.5%で勝ち時計は2分10秒7。2着にマルホンリョウユウ(牡3、金田)、差がない3着にキョウエイプラス(牡3、村上)と続いています。<br><br>スタートから第一障害手前までと、第一障害後から第二障害前までを、重機でほぐす工事を行い、さらに気温も関係してか途端に重くなった今節の馬場が、大きな影響を与えたレースでした。<br>これまで、軽馬場を刻まず行かせて、障害を一腰で上げて、切れ味を使って、で結果を残してきた馬たちが、690キロを積んで初めて(と言って良いでしょう)の重い馬場。単純に勝ち時計だけ見ても、ヤングチャンピオンシップと翔雲賞より1分以上もかかる競馬になっては、なかなか対応が難しかったかと思います。<br>たしかにイレネー記念は、荷を積むだけに2分を超える決着となることも決して珍しくはないのですが、その場合は前半から流れが落ち着き、障害でじっくり構えて、終いを我慢しながら歩き、結果として全体時計がかかる、というのが通常です。それが今回は前半(第二障害手前まで)約47秒からのこの勝ち時計ですから、結果論で言うとかなりの前傾ラップで、これまでとは質の違う、相当に厳しい競馬だったことを物語っています。<br><br>アシュラダイマオーは、レース後に騎手も調教師も驚きの結果と口を揃えていましたが、一気の相手強化で増量、謙ちゃんの「強い四頭を見ながら行こうと思っていた」は、勝ちを狙う作戦というよりも、相手ではなく自己のペース重視だった、という意味ではないかと思います。<br>行きっぷりが非常に良く折り合いもつき、障害では天板で一旦止まったものの、人気どころよりスムーズに越えると、下りて他馬が何度も詰まる中を、自身も苦しくなりながらも脚を止めずに歩き切りました。<br>終い歩ける馬、という評価ではありましたが、障害にきちんと向かい、末もここまで我慢が利くとは素晴らしい。松井先生が感極まったほどの頑張りに拍手です。<br>馬場や荷物が軽ければ切れる脚も使えますし、もちろん良化の余地も大きいだけに、今後をさらに楽しみにして良いでしょう。<br><br>マルホンリョウユウ、キョウエイプラス、4着タカラキングダムは、それぞれ障害で手間取り、終い詰まり、ただし結果としては1秒3差の中に三頭収まっていますから、これはもう勝負のアヤで、能力の上下を語るものではないでしょう。<br>まぁいろいろ適性に関して思うところはあるのですが、いきなり条件が変わり過ぎただけに、この一戦だけではなんとも言い切れず、その判断は少し先送りにしたいと思います。<br>慣れてくれば対応できる馬もいるでしょうし、各馬の強みも弱みも、これから徐々に見えてくるはずで、今回の結果に基づいた仮説を持ったうえで今後の動きに注視していただくと、来季の3歳戦線をさらにお楽しみになれることは間違いありません。<br><br>ずっと軽い軽いと言い続けてきた今季の馬場、最後の最後で急に重くなり、波乱とも言える結果になりましたが、大変な中でも各馬が懸命に曳きました。<br>何も知らずに見ると、前がかりのハイペースで終いズブズブと感じるかもしれませんが、そりゃ今までもっと忙しい競馬で勝ってきた面々なので、これは仕方ないです。<br><br>あえて悪い表現を使って思いっ切りドライに一面を切り取りますが、競走馬は博打の駒。</p><p>前週ポプラ賞に続いて涙を呑んだ金田マルホンさんとか、三年前キョウエイリュウの雪辱叶わなかった村上キョウエイさんとか、「人」に対する思いもあるのですが、それはさておいて。<br>競走馬は、強いか弱いか、馬券になるかならないか、で評価されるものですし、そうすべきものだとも思っています。<br>馬券を買うってのは、強く意識するしないに関わらず、そういう冷徹な判断を重ねることですから。<br>でもね、ばんえいの若馬に対しては、時に甘く優しい目で(?)見てしまいます。ここまで馬場が重くなるとなおさらです。<br><br>みんな、よく、頑張ったね。<br>もっと鍛えて、さらに強くなれよ。<br><br>来季もきちんと見届けます。</p>
2023.03.20
[3/20 農林水産大臣賞典 第55回ばんえい記念(BG1)] 月光に照らされし王者の姿を見よ
<p>史上初のナイター決戦。連覇を狙う王者に、明け7歳の二強が挑む構図だが、フルゲートで10頭すべてがオープン馬というのはなかなか珍しい。今年は雪もなく気温も上がり、過去2年の高速決着とは異なる力勝負が見られそうだ。ただ、第二障害を越えた後はそれほど重くないだけに、勝ち負けまでを望むのなら、ある程度の位置で下りる必要はありそう。まず登坂力勝負、そこからどれだけ我慢して歩き続けられるか。力とスタミナを求められる頂上決戦。<br><span style="font-size:0.83em;">(定量:1000キロ)</span><br><br>昨年の覇者<b style="font-weight:bold;">メジロゴーリキ</b>。正月の帯広記念では障害で手間取り案外だったが、今季は11月のドリームエイジCを積極策から押し切り、二走前のチャンピオンCも制すなど、貫録は示している。荷物への耐性あり本来は高重量戦向き、軽馬場だったとはいえ昨年も一昨年も1000キロを一腰で上げた登坂力と、長く良い脚を使える強みが活きる絶好の舞台。障害のカカリがカギとはなるが、十分に息の入る流れで、切れ負けの恐れもない落ち着いた馬場は歓迎。強敵を退けて連覇へ。<br><br>今季重賞4勝と充実の<b style="font-weight:bold;">アオノブラック</b>。ここに次ぐ高重量戦である帯広記念と10月の北見記念を制しているのが大きな自信で、とりわけ920を積んで障害一腰から緩まず歩き抜け出した帯広記念の内容が出色。たとえ障害で止まっても二腰目がしっかり入るし、下りて詰まってからの反応の良さも今季は示しており、この条件への適性は高い。積んだ際には落ち着いた流れのほうが合い、存分に力を発揮できる馬場、3着だった一年前よりさらに成長し、王座奪取へ機は熟した。<br><br><b style="font-weight:bold;">メムロボブサップ</b>は7月の旭川記念を制すと、8月のグランプリも昨季に続いて連覇。その後はハンデを課せられ勝ち切れない場面もあったとはいえ、今季[7-6-2-1]と抜群の安定感で、やはり力上位。過去の勝ち星は840までと、前記二頭に高重量戦の適性では劣るが、ハンデ頭930の帯広記念で4秒差2着。そう割り引く必要はないし、持ち前の登坂力と精神力で馬場にも対応できよう。今年はここに照準を合わせ、押せ押せで臨んだ昨年より準備も整っている。一つ上を。<br><br>9月の岩見沢記念をシンガリ人気で制した<b style="font-weight:bold;">インビクタ</b>。軽馬場とハンデに恵まれたものと見る向きもあったが、その後も特別を2勝し、チャンピオンCでもメジロの2着と、大幅な地力強化を示している。先行力と登坂力を武器に地位を上げてきた馬、それでも870の北見記念と910の帯広記念では障害を上がれず競走中止となったように、1000キロの今回は不安が残る。終いは以前より歩けるようになっているが、まずは障害で止まった後の対応がカギに。<br><br><b style="font-weight:bold;">コマサンブラック</b>は3歳シーズンに10勝、翌季は9勝を挙げるなど、早くから素質を示していたが、結果未勝利でも強敵相手に揉まれた昨季の経験も糧になったか、遅まきながら本格化。12月以降で特別4勝、帯広記念でも障害トップ抜けから見せ場たっぷりの3着と充実一途で急上昇。重賞未勝利で格は下だが、昨季の帯広記念も障害は一腰だったように、登坂力を活かせる高重量戦への適性は高い。1000キロにも臆さず、挑戦者らしい積極策で上位狙う。<br><br>重賞4勝の<b style="font-weight:bold;">キタノユウジロウ</b>が引退レースを迎える。テンは速くないが、安定した登坂力と粘り強い末脚で活躍、一昨年の当レース2着、昨年の帯広記念勝ちなど、高重量戦の実績も十分。今季は順調さを欠いているが、力のあるところは時折り見せているし、時計の速かった前走も障害は二腰でまとめており、デキ自体はそこまで悪くない。ここもじっくり構えるだろうが、条件は合うだけに、展開が向けば変わり身を示す可能性はある。最後に力を示せるか。<br><br><b style="font-weight:bold;">ミノルシャープ</b>は2年ぶりの大臣賞。2021年10月から脚部不安で長期休養に入り、一時はそのまま引退かとも囁かれたが、今季7月に復帰後3勝を挙げての再挑戦、まずはここまで戻って来た馬と関係者に拍手と敬意を。たしかに重賞3勝した二季前ほどの勢いはないが、やはり地力はあるし、帯広記念でも障害で止まってからの返事は早く4着と、1000キロでも対応可能。下りてから止まるだろうが、今回は周りとて楽には歩き切れない条件。安易に軽視は禁物。<br><br><b style="font-weight:bold;">アアモンドグンシン</b>は7月の北斗賞後は休養に入っていたが、久々の前走を勝って大一番へ駒を進めてきた。ただ、一枚落ちの相手に能力の違いを見せつけたとはいえ、馬体を大きく減らし、障害でも一度止まりと、まだデキに不安が残る内容。叩いての上積みは見込めるが、やはり順調に使っている馬との差はあり、どこまで上向いているか。特別条件では上位陣を何度も破っているように力互角だが、まずは課題の障害に専心、昨年の5着を上回りたい。<br><br>初挑戦の大臣賞が引退レースとなる<b style="font-weight:bold;">マツカゼウンカイ</b>。4歳時に制したはまなす賞を含め、これまで36勝。下りて確実に伸びる末脚を武器に長く上に居続け、今季も二走前に準重賞ウィナーズC勝ちを収めるなど、息が長い活躍で、馬主孝行という言葉が浮かぶ素晴らしい馬。古馬になってからは、特別条件で存在感を示す一方で重賞実績には乏しく、1000キロへの対応課題だが、ここを見据えて今季は帯広記念を使うなど経験を積んだ。最後の大仕事に挑む。<br><br>明け6歳の<b style="font-weight:bold;">コウテイ</b>が勇躍挑戦。厳しい5歳シーズンの今季、相手が強化される中でも常に自分の力を出し続け、堂々のオープン入り。一気の増量で一線級が相手となる今回、勝ち負けまでを望むのはさすがに酷だが、この経験が必ずや糧となる期待馬。その現役屈指の登坂力が1000キロでどこまで通用するのか、非常に楽しみ。</p><p> </p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20230319/01/banei-koyanogo/8f/1b/j/o1340189215257241700.jpg"><img alt="" height="593" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20230319/01/banei-koyanogo/8f/1b/j/o1340189215257241700.jpg" width="420"></a></p>
2023.03.19
[3/19 第54回イレネー記念(BG1)] 若き俊英が世代の頂点を争う!
<p>種雄馬イレネー。1910年にフランスより輸入され、多くの産駒を残したと伝わるが、ばんえい競馬が(公認競技として)始まったのは、ずっと後の1947年で、あくまで軍用馬や農耕馬の生産強化が目的だった。直接的には競馬と関わっていないが、十勝の馬産の礎として今もその名を残す。帯広競馬場の入口近くにはイレネーの像があり、来場するファンの姿を見守っている。<br>生産者の夢、2歳シーズンの最高峰である大一番。初の荷物に加え、これまでほど軽くない馬場で底力も問われる。単候補はある程度絞られる組み合わせだが、どう順位付けるか。三連系まで含めての穴を狙うなら、前がかりになった上位陣が止まったところを差せる脚を持つ組。<br><span style="font-size:0.83em;">(定量:690キロ)※4番スーパーチヨコ出走取消</span><br><br>ここまで重賞2勝を含めて15戦12勝の<b style="font-weight:bold;">キョウエイプラス</b>。ヤングCSも翔雲賞も、ハンデ頭でありながら登坂力でも切れ味でも他馬を上回る完勝で力は一枚上、前走の平場もきっちり勝って万全。荷物と馬場は未知だが、それは他馬も同じだし、二走前の別定670よりも定量690のほうが自身は楽か。もちろん最有力。<br><br>10月のナナカマド賞でキョウエイを破った<b style="font-weight:bold;">タカラキングダム</b>。翔雲賞では障害下で折り合いを欠いたぶん終い緩んだが、かえって能力の高さを感じさせる内容で素質互角。軽馬場での時計も持っているが、馬格あって増量歓迎、息の入る流れからの追い比べでさらに良さが出る可能性も。やはり逆転候補の一番手。<br><br>翔雲賞2着の<b style="font-weight:bold;">マルホンリョウユウ</b>だが、ハンデがあっても前記二頭にはなかなか勝てないのが現状の力関係。定量で逆転を望める根拠はないが、末まで歩きタカラとの2着争いに競り勝った前走を見ても、本質的には切れ味よりも持続力を求められる競馬が合いそうで、増量は自身に利するか。上位争い可能。<br><br><b style="font-weight:bold;">ジェイヒーロー</b>も上の二頭には分が悪いが、ここまでの重賞三戦はいずれも入着と力は十分で、デキも一息入った後だった翔雲賞以上を見込んで良い。障害はすこぶる安定しており、増量に不安ないのが強み、少し引っ張っても面白い場面。他馬もすんなりなら切れ負けするが、先に下ろす形を作って粘りたい。<br><br><b style="font-weight:bold;">コーワホープ</b>は11月の北見産駒特別勝ち、五走前のA-1で3着もあるが、2トップが不在のもの。前半詰めて行けないだけに流れが落ち着くのは悪くなく、近走は障害も安定しているが、翔雲賞も下りてからそれほど歩けたわけではなく、展開が向いたとしてもどこまで差を詰められるか。ここに入ると入着級。<br><br>前走の勝利で出走権を手にした<b style="font-weight:bold;">ジェイライフ</b>。相手強化、対戦比較でも見劣るが、障害は安定しており、増量には対応可能。前に行き過ぎるよりも少しタメを利かせたほうが終い歩けるし、息の入る流れは歓迎材料。まだ馬体も細く、先への経験とする場だろうが、展開が向いた際には入着も十分。<br><br>近走好調の<b style="font-weight:bold;">アシュラダイマオー</b>は、良い切れ味あって終い歩ける好素材で馬体も目立つ。まだ若さ残り集中力に欠ける面はあるが、障害の上がり方も徐々に良くなり、一戦ごとの上積みは大きい。特別の経験すらなく、一気の相手強化に加えて増量と条件厳しいが、上で何度も負けている組よりは魅力がある。<br><br><b style="font-weight:bold;">ハゴロモファルコン</b>の三走前A-1勝ちは、重賞が組まれていた開催で実質2組のメンバー。相手強化となった二走前は離されたように、重賞だと地力で見劣る。折り合いを欠いて持って行かれた前走こそ止まったものの障害巧者、増量には対応できそうで将来性も高いが、ここで上位争いまでは望み難い。<br><br><b style="font-weight:bold;">ホクセイタイヨウ</b>は繰り上がり出走。5着だった翔雲賞でも二腰を要したように障害に注文がつき、まだ2勝にとどまるが、長く使える末脚だけならここに入っても上位の存在。増量でまず障害、タメての後半勝負に構えるだろうが、下りる位置と展開次第では翔雲賞以上も。上位陣にミスあった際の複穴。</p><p> </p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20230319/01/banei-koyanogo/c4/32/j/o2108296315257241688.jpg"><img alt="" contenteditable="inherit" height="590" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20230319/01/banei-koyanogo/c4/32/j/o2108296315257241688.jpg" width="420"></a></p>
2023.03.15
父子の悲願、ヘッチャラが接戦制し重賞初V! 〈第44回ポプラ賞(BG3)〉
<p>3月12日(日)に行われた明け4歳馬と5歳馬による第44回ポプラ賞(BG3)は、好位から第二障害を先頭で下った<b style="font-weight:bold;">ヘッチャラ</b>(牡4、鈴木)がゴール前の激しい追い比べを制して勝利。9度目の挑戦で重賞初制覇を遂げました。<br>島津新騎手はポプラ賞初勝利で重賞通算12勝目。鈴木邦哉調教師はポプラ賞2勝目で重賞通算23勝目。<br>馬場水分2.3%で勝ち時計は1分43秒1。差のない2着にマルホンリョウダイ(牡5、金田)、3着は1番人気のオーシャンウイナー(牡5、中島)でした。<br><br>ヘッチャラはここまで重賞8戦[0-4-3-1]と、力はあるのにずっと勝ち切れないレースが続いていましたが、ついに初タイトルを手にしました。<br>父のテンカムソウは、本馬と同じく十勝管内豊頃町の島崎幸喜さんの生産馬で、競走馬時代は鈴木厩舎にいましたが、レース後の邦哉先生のコメントにもあったように、イレネー記念2着、ダービー3着、天馬賞3着、このポプラ賞も二年連続で3着など、重賞を勝てそうで勝ち切れないまま競走生活を終えました。<br>まるでそこまで受け継いでしまったかのようなヘッチャラでしたが、ここで壁を破って悲願の重賞初制覇、お二人の喜びもひとしおのことと思います。<br><br>前半約46秒は、第二障害までが力を要す馬場になっていることと積んでいる荷物を考えれば、思った以上に速くなった印象で、かなり厳しい流れだったと言えます。<br>ヘッチャラにとっては、登坂力を要求され、周りも切れ味だけでは抜け出し切れないという、自身の強みを活かせて弱みが出にくい、お誂え向きの流れになりましたが、残り30mからの我慢比べを力強く歩き切り、それも競った他馬より積んでのものですから、文句なしの強い勝ち方です。<br>個人的には、切れ負けする流れは良くないけど、大賞典の時に終い止まった姿の記憶もあり、結局どういう形が最も合うのか判断がつきかねていたのですが、今回の結果を見るとやはり、自分も苦しいけど相手も苦しい競馬で良さが出るのでしょうか。<br><br>じつに惜しかったのはマルホンリョウダイ。定量の天馬賞で約9秒差の4着、そこから20~50キロもらえば逆転の計算まで成り立ち、ただし近走障害で乱れている点がどうか、と見ていましたが、一腰で越え、抜け出すかという場面も一旦はありました。<br>もともと下りてからはとにかく真面目に歩く馬で、自身が特段に緩んだわけでもなく、これは30キロ重かった4歳馬を褒めなければなりませんが、来季も世代重賞がある4歳と、もうない5歳。あまりにも大きな0秒2差です。<br><br>オーシャンウイナーは障害でヒザを折ったものの立て直しは早く、切れ味で先頭に並びましたが、その脚が長く続かず最後は歩き負け。単勝1.7倍も納得の重量関係の中で連さえ外したのは、不満と言えば不満。ただ、前述の厳しい流れの中で、道中少し出し過ぎた面もあったかもしれません。サクラヒメが外から行っていたので、非常に難しかったと思いますが、障害前でひと刻み削ったぶんが、細かなミスを呼び、末脚に影響した可能性もあるかと、まぁ好き勝手に言っている結果論ですが。<br>もう一つ言えば、この馬は早くにオープンに上がったこともあり、昨季から慎重にレースを選んだうえで、目標と定めた重賞が勝負場面、それ以外は内容重点で余裕残し、という競馬に徹しています。それ自体はまったく悪いことではなく、だからこそ今回のハンデ有利な状況が作れたという一面もあるのですが、力も要る馬場で速い流れについて行って上げて粘って、という競馬は、じつは経験が少ない。今回そこまで求められるとは思っていなかった私の予想は外れましたが、来季はそのあたりの経験を積むシーズンとなるはずで、またひと回り成長した強い姿を見せてくれるでしょう。<br><br>ツガルノヒロイモノ(4着)は今回はタメ気味に進め、障害では手間取ったものの、下りてからは良い脚を使いました。正攻法ではおそらく厳しい、と思ったからこその御し方でしょうが、以前の一本調子な面が解消されたことが今季の躍進につながったと改めて示しました。<br>ダイヤカツヒメ(5着)は追い比べから脱落し、これは地力の差を認めなければいけませんが、苦しくなってもなんとか歩くのが本当に良いところで、強敵相手の連戦でかなりの経験を積みながら、人気薄でのオークス勝ちは決してフロックなどではなかったと自ら証明しています。<br><br>サクラヒメは障害を上がれずシンガリ負け。もちろんハンデもありますが、ここまで動けないとなると、やはりデキに問題があったと見るのが筋でしょうか。一週前の除外理由となった左前肢蹄病、これだけでは外からはなんとも言えず、出てくるのだから軽症だったのかと思ったりもしましたが、それほど甘くはなかった。尾を引かずに立て直してくれることを願うばかりです。<br><br><br>馬場やハンデや展開を考えて予想するのが、ばんえい競馬の楽しみではありますが、今回の上位二頭は、どちらかに目をつければ、どちらかを消すことにつながりそうで、この組み合わせはなかなか買えないよなぁ(-_-;)<br>馬券的にはかなり難しかったというのがレース後の第一印象でしたが、だから面白いんだよね、とも思ったり(^^;<br>てか、ばんえいの場合はそれぞれの馬のこれまでの日々を知っているので、レースを見返しているうちに、馬券の結果がどうであれ、良い競馬だったな、と思っちゃうんだよね。</p><p>負け惜しみではありませんっっ(>_<)</p>
2023.03.12
[3/12 第44回ポプラ賞(BG3)] 5歳の経験値と4歳の可能性が交錯する世代闘争!
<p>世代重賞すべてを終えた経験豊富な明け5歳に、キングフェスタ回避でも層が厚い明け4歳が挑む二世代限定重賞。トップ級が激突する好カードだが、牝馬が重い5歳勢の比較、今季好成績ゆえに積む4歳勢と、ハンデがカギを握る一戦。馬場は軽めでも流れは落ち着きそうだが、そのぶん終いの速い競馬になる可能性。前で下ろすか、切れ味を活かすか。<br><span style="font-size:0.83em;">(別定:オープン=770キロ、A1=760。オープン馬は本年度収得賞金200万円につき10キロ加増)</span><br><br>5歳の天馬賞馬<b style="font-weight:bold;">サクラヒメ</b>は、ここも40キロ加増で790のハンデ頭だが、ヒロインズCの820に比べれば自身動きやすいし、今度は周りも積んで古馬不在と、いくらか条件好転。それでも厳しいことには変わりないが、大事に運んだとはいえ障害一腰、終いは脚を使えた自信と経験はある。あとは一週前に蹄病で除外になった影響をどう見るか。気配注目。<br><br>銀河賞を圧勝で制した<b style="font-weight:bold;">ミソギホマレ</b>は天馬賞でも2着と、性差など感じさせず世代の中心の一翼。一線級に入り相手が強過ぎた前走も障害はまとめており、デキに関しても不安ない。サクラ同様に問題はハンデで、障害で乱れた8月のはまなす賞よりは息の入る流れとなりそうだが、積むぶん障害に気を遣わざるを得ないか。どの位置で運べるかがカギ。<br><br>昨年の覇者<b style="font-weight:bold;">オーシャンウイナー</b>。今季は一冠目の柏林賞こそ制したものの、銀河賞と天馬賞では牝馬の後塵を拝し、必ずしも満足のいくシーズンではなかろう。天馬賞後はここを目標に、賞金状況を考慮しつつも好仕上げ。サクラに実質30キロもらいで4歳の強敵よりも軽く、重量関係は断然有利。力を示さなくてはいけない場面で、好機を逃さず連覇へ。<br><br><b style="font-weight:bold;">マルホンリョウダイ</b>は細かった馬体が増えて秋以降充実、天馬賞でも4着と本格化気配を示している。ただ、荷が張り相手も強くなった影響なのか近走は障害で手間取る場面が目立つ。ハンデをもらえる今回は、追い比べに持ち込めれば下りて歩ける良さが活きるが、そのためには障害をスムーズに越えることが条件か。それが叶えば小差。<br><br><b style="font-weight:bold;">マサタカラ</b>は柏林賞で追い込んで2着があるが、銀河賞と天馬賞では障害で止まり課題がはっきり。前二走は障害をまとめておりデキ上々、増量カギでも二走前は750に対応したし、ここは上との重量差もある。あまり詰めて行くのは良くなく、タメを利かせて障害重点からの後半勝負、展開の助けは必要だが、末脚だけなら決して引けを取らず。<br><br>大賞典馬<b style="font-weight:bold;">クリスタルコルド</b>は、夏の世代交流はまなす賞も制しており、ダービー馬不在なら4歳の大将格。オープン昇級でハンデの恩恵はなくなったが、積む競馬自体は自身むしろ歓迎で、道中のペースが上がらない馬場も合う。終い切れ負けの恐れはあるが、前で下ろせば長く脚を使える強みを活かせる。二走前は素軽さも見せデキ戻った。上位圏内。<br><br><b style="font-weight:bold;">ヤマカツエース</b>の今季は重賞では惜敗が続くが、世代屈指の実力馬で、四走前の金杯で古馬を撃破しての準重賞勝ちが光る。前走も詰まったように終いの踏ん張りが課題で、790も少し重いが、障害には絶対の自信。切れ味もあるだけに、タメて後から仕掛ける形でうまく後半につなげたい。この一年での地力アップは間違いなく、ひと押し利けば。<br><br><b style="font-weight:bold;">ヘッチャラ</b>は昨季のイレネー記念に続きダービーでも2着。世代トップ級の力の持ち主であることに異論を挟む余地はないが、今季は入着止まりの場面も目につく。骨っぽい相手に崩れていないのが能力の高さとも言えるが、決め手に欠けるのは否めない。勝ち負けまでを望むなら、思い切って行ったダービー同様に、何かひと工夫が必要では。<br><br>オークス馬<b style="font-weight:bold;">ダイヤカツヒメ</b>の今季の収得賞金は出走馬中で三番目となるが、まだA1格付で賞金分加増がないうえに10キロもらい。ヘッチャラと約9秒差だった定量のダービーから30キロ差がつき、古馬相手の重賞でもっと積んだ馬が最軽量と、いかにも有利。ヒザの甘さが解消され、二走前も大健闘と地力強化顕著。前が止まらない馬場で狙い目十分。<br><br><b style="font-weight:bold;">ツガルノヒロイモノ</b>は繰り上がりでの追加出走。ヤマカツ以下をちぎり捨てた三走前の世代特別が鮮やかで、重量関係はさらに有利になっている。ただ、前二走とも優位に立てるはずの障害で手間取るなど、760自体がギリギリの可能性があり、馬場ももう少し軽いほうがベターか。引き続き鈴木恵が手綱を取るのは大きな魅力だが。</p><p> </p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20230312/04/banei-koyanogo/eb/f9/j/o1340341815254227652.jpg"><img alt="" contenteditable="inherit" height="561" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20230312/04/banei-koyanogo/eb/f9/j/o1340341815254227652.jpg" width="220"></a></p>
2023.03.11
第24回開催(2/25~3/6)回顧
<p>開催初日の2月25日は昼前まで雪があり、馬場水分3.4%からのスタートだったが、極端な高速馬場とはならなかった。22回開催より砂を足したこと、23回開催前に第二障害をほぐしたこと、基礎重量が増したこと、さらには冷え込みが緩んだことや日が長くなったことなど、様々な要素が複合してのものだろうか。<br><br>25日メインの雪月花特別(A1-1混合)は、7月以来だった<b style="font-weight:bold;">アアモンドグンシン</b>(セン8、小林長)が勝利。先行から障害で一旦止まりながらも二腰で越えると、ここでは下りてからの脚が違った。ただ、心房細動もあってレース間隔が空き、馬体も-105キロと大きく減らしており、デキはせいぜい七分程度といった印象。次開催に予定しているばんえい記念で勝ち負けまでを望むのは正直酷だが、1000キロに挑むためにどこまで上向かせられるか。<br>2着<b style="font-weight:bold;">コマサンエース</b>(牡7、金田)は以前よりズブくなっているが、道中で気合をつけて刻まず前へ。登坂力を活かしてトップ抜けと、初めて手綱を取った西謙一が最高の形を作り3着以下も離したが、今回は相手が悪かった。決め手に欠いて今季未勝利だが、ずっと内容は良くデキ安定。<br>3着<b style="font-weight:bold;">ヤマトタイコー</b>(セン6、久田)は障害天板でヒザを折ったが立て直しは早く、前から流れ込み。相変わらずジリっぽいが、切れ味よりも登坂力としぶとさを求められる競馬が合うのはたしか。<br>4着<b style="font-weight:bold;">キョウエイリュウ</b>(牡6、村上)は前走で乱れた障害に重点を置いてじっくり。そこから差せる展開ではなかったが、一戦で即修正できたのは好材料。<br>6着<b style="font-weight:bold;">マルミゴウカイ</b>(牡10、坂本)は障害で大きく手間取った。オープンとの混合でやや相手強化でもあったが、とにかく障害。<br><br>26日の4R(3歳B-1)で、8番馬イワキダイフクがスタート直後に<u style="text-decoration:underline;">よびだしの破損により競走を中止</u>するという事案が発生。同馬を管理する小林長吉調教師には、賞典停止4日間の処分が下された。<br>「よびだし」というのは、「わらび型」と「胴引き」の間にある革製の馬具だが<span style="font-size:0.83em;">(興味のある方、お調べください)</span>、これが破損すると馬とソリとがきちんとつながっていない状態になるので、当然ながら競走を続けることはできない。<br>ちなみに、当ブログでは特に取り上げなかったが、昨年12月28日にも同じ事例が起きている(ジェイノコマ=松井)。私は素人ゆえにわからない部分も多々あるのだが、これは、再発防止策を講じることを強く望む。<br>小林長吉調教師が管理馬の馬装不備によって処分を受けるのは、今季二度目。というより、イワキダイフク自身が二度目である。前回はわらび型の破損だったが、意味するところは同じだ。1シーズン内で同じ馬が二度も、馬に起因しないアクシデントで競走中止となったことは、大きな問題とすべきではないか。<br>これが単なる競技であれば、当事者が不利益を被っただけで自業自得、と済む話だが、ファンが馬券を買うことで成り立ち、続けられている競馬で、馬具が破損したために競走中止しました、残念でしたハズレです、などとは馬鹿にしている。<br><span style="font-size:0.83em;">(この件に関しては、また改めて単体の記事で書こうと思っております)</span><br><br>26日の10R(A1-2混合)は、登坂力を活かして先に抜けた<b style="font-weight:bold;">アアモンドキーマン</b>(セン6、小林長)がしぶとく歩いて押し切り。昨季は一年ほぼ崩れずに活躍してB3からA2までクラスを上げ、5歳シーズンの今季はさすがに壁に当たったかと思える時期もあったが、これで昨季に並ぶ5勝目と、確かな成長を示している。<br><br>27日の深雪特別(A2-1)は、第二障害で止まる馬も多い中を一腰で切った<b style="font-weight:bold;">ピンチハチャンス</b>(牡7、服部)が力強く抜け出して快勝、平場からの3連勝とした。騎手を選ぶ馬だが、障害下で一旦呼吸が合わなくても、しっかり掛け直した鈴木恵介で29勝中27勝。<br><br>3月4日の9R(B3-2)は、<b style="font-weight:bold;">サダノショウリキ</b>(牡5、西)が後方待機から障害をまとめると、下りて一気に突き抜け現級連勝。障害が安定しているとは決して言えずに注文はつくが、末はよく歩く。尾花栗毛の見た目同様に派手な勝ちっぷりで、今後も面白い存在に。<br><br>メインの弥生特別(B1-1)は、下りてから歩いた<b style="font-weight:bold;">レグルス</b>(牡4、槻舘)がわずかに差し切り。障害で一旦止まったが、そこからの腰の入りが良かったし、長く脚を使った。特別への出走機会が増え、荷物への慣れもあるのだろうが、1分50秒かかる競馬で勝てたのは大きい。上を目指せる素質馬。<br>2着<b style="font-weight:bold;">ホクセイウンカイ</b>(牡4、松井)の前三走は減量騎手起用で、特別で増量の今回はどうかとも思えたが、正攻法からの0秒1差ならこちらも収穫大。まだ馬体は細く映るが、それだけに成長の余地もたっぷり。<br>8着<b style="font-weight:bold;">ホクセイサクランボ</b>(牝4、今井)は障害でストップ。減量騎手起用の平場から55キロ増では勝手が違ったか。ここ最近、△今井千尋からの手替わりをどう見るかが、悩みどころの一つとなりつつある。<br><br>5日の8R(3歳A-1)は他馬より積んでも<b style="font-weight:bold;">キョウエイプラス</b>(牡3、村上)。登坂力でも切れ味でも上回り、次開催3月19日のイレネー記念へ視界良好。<br>2着<b style="font-weight:bold;">マルホンリョウユウ</b>(牡3、金田)は、ハンデがあってもキョウエイおよびタカラキングダムに勝てない現状。先々はともかく、イレネー記念ではどちらかにミスがあった際か。<br>3着<b style="font-weight:bold;">タカラキングダム</b>(牡3、小林長)はゴール寸前でやや緩んだが、ちょっとフワッとしただけで特に問題ない。二走前に障害下で持って行かれた折り合い面も改善された。<br><br>6日のメイン、うお座特別(オープン-2)は<b style="font-weight:bold;">アーティウィング</b>(牝6、坂本)が抜け出し。5月に牝馬限定のカーネーションカップを制し、以降はクラスが上がって相手強化に悩まされていたが、その中でも確実に力をつけた。正攻法の番手付けから障害をまとめ、下りて歩き勝つ好内容で、2組とはいえオープンの特別で結果を出したのは称賛に値する。<br>2着<b style="font-weight:bold;">コウテイ</b>(牡6、槻舘)は変わらず障害安定してデキ良し。その現役屈指の登坂力で、次開催はばんえい記念の1000キロに挑む。<br>3着<b style="font-weight:bold;">オーシャンウイナー</b>(牡5、中島)は、ここで1着になってしまうと次開催の重賞で10キロ増量となる賞金状況。試走に徹したが動きは上々。<br><br><br><br>オーラスの次開催は3月12日(日)に、<u style="text-decoration:underline;">第44回ポプラ賞(BG3)</u>が行われます。明け5歳と4歳のトップ級が激突する、大注目の世代交流重賞です。<br>また、19日(日)には<u style="text-decoration:underline;">第54回イレネー記念(BG1)</u>が行われます。ばんえい記念に次ぐ栄誉と位置付ける関係者も少なくない、2歳シーズンの頂点を決める一戦にご期待ください。<br>そして20日(月)はいよいよ、<u style="text-decoration:underline;">農林水産大臣賞典 第55回ばんえい記念(BG1)</u>。なんだか一年があっという間で驚いてしまいますが、史上初のナイター開催となる今年は、どのような歴史が刻まれるのでしょうか。<br>それでは次開催(もう今日からですが(^^;)もお楽しみに<img alt="ラブラブ" draggable="false" height="16" src="https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/035.gif" width="16"></p>
2023.03.07
キングフェスタ、圧巻の42秒2! 〈第13回スピードスター賞(準重賞)〉
<p>3月5日(日)に行われた今季の最速馬決定戦、第13回スピードスター賞(準重賞)は、スタートからダッシュ良く飛び出した<b style="font-weight:bold;">キングフェスタ</b>(牡4、小北)が一気に駆け抜けて快勝。今季3勝目、通算14勝目を挙げました。<br>馬場水分1.6%で勝ち時計は42秒2。並んで先行したブラックサファイア(牡6、長部)が流れ込んでの2着、タカナミ(牡5、金山)が3着に続いています。<br><br>テンから速く走れるか、末まで脚を使えるか、の勝負なので、もともとグダグダ語るレースではないのですが、キングフェスタの “走り” を見ると、さらに何も言えなくなりました(^^;<br><br>速くて強かった。以上。<br><br>と言いながら、まぁ一応ちょっと語りますけど。<br>馬場に関しては、最近にしては少し重いというのが日曜前半からの印象でした。ただ、私は本場にいましたが、気温と湿度の関係なのか? 理由はよくわかりませんけど、一つ前の10Rあたりから急に黒ずんで見えるようになり、最終のA1も1分33秒台でしたから、短時間で軽馬場に変化したように思います。<br>それでも少し速い程度で40秒台後半かなと、確たる根拠もなくざっくり考えていましたが、なんと42秒2。<br>二年前にメムロボブサップが記録した44秒2を上回るレースレコードとなりましたが、その時はしっかり雨馬場で、それが今回まさか破られるとは。<br><br>真面目に、タイムを見た瞬間、理解が追いつかず、機械トラブルをわずかながら疑ってしまいましたよ(^^;<br>ホーリックスの2分22秒2に立ち会った方も、こんな感じだったのかなぁと思ったり(あっ、中央ネタです)。<br><br>食い下がったブラックサファイアも凄く、タカナミとサクラシュンカはよく走り、ゴールドハンターは障害でスムーズさを欠き、左前肢蹄病で競走除外となったサクラヒメは残念でしたが、とにかく驚異のキングフェスタ。恐れ入りました。</p>
2023.03.05
[3/5 第13回スピードスター賞(準重賞)] 大地が轟く1ハロン
<p>軽量戦の決勝となる準重賞。10月と12月に行われた予選の二戦は、軽馬場だったとはいえ高速決着で、この条件への適性の高い馬が揃った。スピードはもちろんだが、末まで走り切る持続力と心肺機能の高さも求められる激戦。今回は極端に速い馬場ではないが、このメンバーなら今年も40秒台突入の可能性十分。<br><span style="font-size:0.83em;">(定量:500キロ。4歳・5歳10キロ減)</span><br><br>【疾風賞組】<br><b style="font-weight:bold;">・サクラヒメ</b> [軽量戦通算:1-0-0-0 最高時計:44.4]<br>クインカップに加えて天馬賞をも制すなど、今季さらにパワーアップ。久々だった疾風賞では一気に駆け抜けて好時計と、軽量戦への適性も十分。前進気勢が強く、豊かなスピードと緩まない末脚、ここでも能力の高さを見せつける。<br><br><b style="font-weight:bold;">・キングフェスタ</b> [0-1-0-0 44.8]<br>今季は疾風賞から始動し、その後は圧倒的な内容で菊花賞とダービーを制覇。力互角で、7ヵ月ぶりだった予選で示したスピードと切れ味を思えば、四開催空けた不安も皆無。勝てば第2回のオイドン以来となる明け4歳の最速王。<br><br><b style="font-weight:bold;">・ゴールドハンター</b> [1-1-1-0 47.4]<br>今季は不振が続いていたが、疾風賞を切っ掛けに良化を示し、四走前には一気の差し切り勝ちを収めるなど活気戻った。障害を嫌がっていた予選時とはまるでデキが違い、今度は全開可能。身体能力の高さは現役随一で、大勢逆転まで。<br><br><b style="font-weight:bold;">・トワイチロ</b> [0-0-0-1 48.0]<br>2歳時には545キロの一般戦を59秒2で駆けた星があり、疾風賞でもテンから速くハナを奪ったように適性は十分。後半は地力の差が出たが、スピードだけなら引けを取らない。予選より10キロ積む形だが、ここも食らい付きたい。<br><br><b style="font-weight:bold;">・サクラシュンカ</b> [0-0-0-1 49.3]<br>近走こそ相手強化に悩まされているものの、今季大きく力をつけた一頭。もともと軽馬場が合うようにスピードは持っているが、道中で遅れた予選を見ても、他馬がなお速いか。慣れは見込めるにしても入着以上となると。<br><br>【地吹雪賞組】<br><b style="font-weight:bold;">・タカナミ</b> [1-0-0-0 47.2]<br>予選ではスタート良くテンから走り、そのまま押し切って快勝と、条件への適性を示した。その後の一般戦の二戦では障害で気の悪さを出したように一進一退の状況が続くが、潜在能力は高く、思い切って一気に行けるここなら互角。<br><br><b style="font-weight:bold;">・ブラックサファイア</b> [0-1-0-0 48.2]<br>7月に復帰後にオープン入りを果たしたように能力高く、障害に不安を抱えていても切れ味魅力。地吹雪賞では慣れない競馬に戸惑っていた感も多少あったが、二度目ならスムーズに動けて、時計も詰まって不思議ない。要注意。<br><br><b style="font-weight:bold;">・クリスタルホーク</b> [0-0-1-0 51.7]<br>B3格付だが地吹雪賞では格上相手に善戦し、この条件への適性があるということだろう。10キロ増えてさらに相手強化、予選でも終い突き放されたように地力では劣るが、スピードはあるだけに見せ場を作って粘りたい。<br><br><b style="font-weight:bold;">・トワトラナノココロ</b> [0-0-0-1 53.8]<br>地吹雪賞では道中で前に行かれて終いも差を詰められず。自身スピード勝負は得手だが、この条件でこの相手だと周りも速い。条件二度目で慣れは見込めるにしても、予選の着差を埋められるほどとは。入着級か。<br><br><b style="font-weight:bold;">・シンエイボブ</b> [0-2-0-7 51.7]<br>軽量戦にも積極的に参戦し、当レースへの出走は五年連続。経験は豊富だが、予選では上位に食い込んでも本戦では結果が出ていない。明け9歳でも元気だが、時計面での限界はあり、この相手ではどこまで。</p>
2023.03.01
村上慎一調教師、通算1500勝達成!
<p><b style="font-weight:bold;">村上慎一</b>調教師(51歳)は、2月27日の第1競走をアアモンドドラゴンで勝利し、通算1500勝を達成しました。<br>通算1500勝は、現役8人目、史上11人目。2003年4月の初出走以来、開業20年目、12653戦目での達成となりました。<br>重賞では、ニシキダイジンで制した2011年度(12年3月)のばんえい記念など、これまで29勝を挙げています。<br><br>十勝管内足寄町出身で、競馬場に来て初めに入ったのは橋本豊厩舎。その後、橋本調教師が定年を迎えたために服部義幸厩舎に移籍、1995年4月に同厩舎から騎手としてデビュー。<br>橋本厩舎時代の兄弟子にあたるのが、大河原和雄・元騎手(現調教師)で、服部厩舎に移籍したのも同じタイミングだったようです。<br>騎手としては残念ながら目立った活躍はできず、2002年12月に引退するまでの生涯成績は、1238戦93勝。<br><br>早くに調教師に転身してからは、騎手時代をはるかに上回る好成績を残しており、昨年の正月には、帯広記念をキタノユウジロウで、天馬賞をキョウエイリュウで制し、二日連続のG1制覇を遂げたのは記憶に新しいところです。<br>リーディング上位に定着し、前述のとおりばんえい記念もすでに制していますが、当時は有力馬でも転厩の多かった時代で、ニシキダイジンを管理した経験のある調教師は6人もいます。その中で、7歳シーズンと、間を空けて10歳シーズンを任され、有終の美を飾るという責任を果たしましたが、若いころから自ら育てた馬で頂点を制したい気持ちは当然あるでしょう。<br>ちなみに、カネサブラックやニュータカラコマを管理していた時期もあります。<br><br>キタノユウジロウとキョウエイリュウに加え、明け3歳ではキョウエイプラスも擁すなど、重賞級の馬が絶えずに、いまや押しも押されもせぬ名伯楽。<br>平らなところで筋力と心肺機能を強化する “ズリびき” 調教は、軽めの荷物を長めに曳くのが村上流、と聞いたこともありますが、まさにキタノユウジロウなど、早くから素質を示しつつも、古馬になってさらに成長する馬が多いのは、日々の鍛錬の成果でしょう。現在のところ今季未勝利のキョウエイリュウも、決して早熟などではなく、来季は一回り成長した姿を見せてくれるはずです。<br>最近はキョウエイさん(馬主名義は大野昇氏。生産は父の大野信一氏)の馬が多く入っていますが、出身と同じ足寄町の牧場というのも縁でしょうか。蛇足ながらキタノユウジロウも足寄町の生まれです。<br><br>ちょっと個人的&マニアックな話ですが、馬券検討の際にいつも気になってしまうのがカグヤ。ヤマ安定しないし、脚も長く続かないのだけど、切れ味はあるんよね。消した時にこそやられそうで、ついつい押さえてしまう(^_^;)<br>でもそこには、村上厩舎だから、という要素も少し含まれていたり。<br><br>現役の調教師では二番目に若く、1500勝など通過点に過ぎません。これからどれだけ勝つのか、どれだけの馬を育ててくれるのか。<br>同世代の金田勇とともに、今後長く、ばんえい競馬を引っ張って行っていただきましょう。<br>さらなるご活躍を、大いに期待しております。</p>
2023.02.27
コマサンブラック上昇一途 〈然別賞 オープン〉
<p>2月26日(日)に行われたオープン-1組の然別賞は、先手を取った<b style="font-weight:bold;">コマサンブラック</b>(牡7、金田)が第二障害トップ抜けから押し切って快勝。今季5勝目、通算27勝目を挙げました。<br>馬場水分2.4%で勝ち時計は1分32秒1。2着にハンデ頭のメムロボブサップ(牡7、坂本)が続き、マツカゼウンカイ(牡9、松井)が3着。<br><br>ここ最近の充実ぶりを改めて示す、コマサンブラックの見事な勝利でした。<br>スタートを五分に決めると、気合をつけて出して行き、道中では一度も刻まずに第二障害トップ付け。障害もすんなり越えて末まで緩まず、完勝と言って良いでしょう。<br>力のあるところは見せながらも、勝ち味の遅さを拭い切れずに未勝利に終わった昨季。それが今季は5勝、特に12月以降で骨っぽい相手に4勝と、完全に一皮むけた感があります。<br>自分でレースを作り、二走前に続いてメムロボブサップを抑えたのは、たしかにハンデや勝負意識の差があるにしても評価できますし、自信になると思います。<br>昨季も今季も帯広記念で見せ場を作ったように、その登坂力を活かせる高重量戦はむしろ歓迎、1000キロを曳いても楽しめるのではないかと、にわかに存在感を増してきました。<br><br>メムロボブサップは道中刻みながらでしたが、相変わらず反応は良かったですし、障害もスムーズ。25キロ差がありながらも勝ち馬に迫り、ばんえい記念へのステップとしては何ひとつ不満のないもの。昨年以上のデキで臨めるのではないでしょうか。<br><br>マツカゼウンカイはある程度ついて行き、今回も障害一腰からよく伸びました。よほどデキが良いのでしょう。<br>ミノルシャープ(4着)は障害天板でちょっと危ないところはあったものの、なんとか一腰でまとめました。流れ込みにとどまりましたが、内容的にはまずまず。<br>インビクタ(5着)はコマサンに思い切って行かれたのもありますが、さほど無理せず。障害は綺麗に切り、デキは依然として良いと思います。<br>アオノブラック(6着)はじっくり運んで障害を修正。今さら一戦や二戦でどうこう言う馬ではありませんが、不安は少ないに越したことはなく。本番は最高に仕上げてくるでしょう。<br>メジロゴーリキ(7着)はテンに少し出して、あとは人馬の呼吸を合わせる、いつもの特別戦仕様。障害を普通に切れていれば何も問題ありません。<br><br><br>全体的に、各馬が非常に順調な印象を受けました。あとは3月20日の大一番を待つのみです。</p>