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ばんえい競馬士 第001号 コヤノゴー 〈別館〉 - 記事一覧
https://ameblo.jp/banei-koyanogo/
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2025.01.13
[1/13 第48回ばんえいプリンセス賞(準重賞)] 今日から大人 振袖姿のPrincess
<p>明け4歳牝馬限定の準重賞。全馬(取消除く)が出走していた12月のばんえいオークスの再戦だが、オークスの後に行われるようになった過去12年でオークス馬は[1-4-0-7]、勝利したのはダイヤカツヒメだけで、単勝も馬複も平均配当は2000円を超えるほどに、とにかく荒れるレースとして知られる。定量から格付別定に変わり、重量差が生じることが第一の要因だが、オークス馬が一頭だけ30キロ重く、道中もロータリーハローが入るようになった影響も気になる今年も波乱含み。4頭が出走取消<span style="font-size:0.83em;">(除外)</span>となったが、厩舎地区で感冒が蔓延しているとの報もあり、まずは各馬の気配注目。<br><span style="font-size:0.83em;">(別定:オープン=700キロ。A1=690、A2=680、B1・B2=670、B3=660)</span><br><br>オークス馬<b style="font-weight:bold;">スマイルカナ</b>は、ダービーでも障害一腰から5着と、牝馬同士なら力は一枚も二枚も上。30キロのハンデはたしかに大きいが、他馬は4クラス下、経験で上回る自身は前走から35キロ減。飛ばす馬もおらず、末脚上位だけに少し構えても問題ない。障害を無難にまとめれば下りてから地力の違いを見せられる。<br><br>オークス3着の<b style="font-weight:bold;">ヨシノヒメ</b>は障害に注文が付くが、じっくりタメてスムーズに越えたオークスでは終いよく伸びたように、下りての脚では互角以上。今季急成長の上がり馬で、まだ上積みも見込める。前半は位置取りよりも障害重視、一腰が条件とはなるが、スマイルに30キロもらっての追い比べなら決して引けを取らず。<br><br><b style="font-weight:bold;">イワキエンジェル</b>のオークスは、じっくり構えて障害を綺麗に切り、しぶとく歩いての4着。障害に不安を抱えるだけに前半詰めては行けないが、近走は一腰から終いにつなげる形を作れており好調。ここもまずは障害重点だが、追って味あり、末まで長く良い脚を使える。馬場が重くなるのも悪くなく、上位うかがう。<br><br><b style="font-weight:bold;">ホクショウレディー</b>はオークス5着を挟んで昇級したが、その後も障害はまとめているし、前走は強敵相手に接戦を演じるなどデキ上々。夏場の4連勝もあり、血統馬が軌道に乗ってきた。下りて良い脚を使いながらも末まで持たずに緩む場面も見られるだけに、重めの馬場がどうかも、力差はそうない。ここも上位圏内。<br><br><b style="font-weight:bold;">カツエアリー</b>は果敢に行ったオークスでは障害で崩れ、二走前にもヒザを折るなど、まだ甘さは残るが、骨っぽい相手に抜け出した前走優秀。自在性を備え、差す形でも味があるが、タメたい馬が多い今回の組み合わせなら、やはり前か。障害一腰が条件とはなるが、下りてからの我慢も利き、ハンデを活かしての一発注。<br><br><b style="font-weight:bold;">ジェイミユウ</b>はB3へ昇級してから乱れていた障害も良化し、前二走は差のない競馬。そう切れる印象はなくても、終いは確実に歩ける。相手強化となる今回は障害重点で、そう位置を取りには出ないだろうが、道中で息を入れたいタイプだけに、流れが落ち着くのは好材料。少し終いのかかる展開になれば侮れない。</p>
2025.01.12
第20回開催(1/2~1/9)回顧 金杯を制したのはダイヤカツヒメ!/中原蓮が早くも特別勝ち
<p>大晦日に雪があり、1月2日は馬場水分2.5%からのスタート。徐々に乾いてはいったが、前節は時計の出る馬場となった。<br>11Rの初夢特別(B1-1)は、1分36秒1で<b style="font-weight:bold;">トウケイレーヴ</b>(牡5、金田)が鮮やかに逃げ切り。第一障害で内にモタれ気味になることが多く、前走は位置も取れなかったが、ここはスピードの乗り良く道中でハナに立つと、第二障害で引き離し、ソリ二つの差を残しての快勝。今回は軽馬場がプラスに働いたのもたしかだが、秋以降は馬体も充実し、障害巧者が軌道に乗った。<br>2着<b style="font-weight:bold;">ローランド</b>(牡5、槻舘)は連勝成らなかったとはいえ、障害でしっかり腰が入り、末もよく我慢して連確保。能力は現級上位で高値安定、近走の内容なら今後の増量にも対応できるだろう。<br>3着<b style="font-weight:bold;">コマサンリキ</b>(牡5、金田)は昇級初戦の前走は大事に運ばれたが、今回は先行馬の後ろから一腰、下りての脚も上々。二走前のB2特別の勝ちっぷり良く、今季は本格化を示しつつあるが、現級にも目処立ち。<br>4着<b style="font-weight:bold;">エムタカラ</b>(牡5、金田)はテンに置かれ、道中でなんとか押し上げたものの、特別でこの時計になる馬場だとさすがに忙しい。それでも障害はまとめており、デキは引き続き良好。<br>6着<b style="font-weight:bold;">コウシュハテンセイ</b>(牡5、岩本)は3番手でついて行き、障害はスムーズだったが、下りてからがやや案外。タメを利かせて終い伸ばす形のほうが合っているのではないか。<br><br>12R(A2-2混合)は<b style="font-weight:bold;">トワイチロ</b>(セン6、金山)が前付けから抜け出し、2023年10月以来となる勝利を挙げた。1年2ヵ月ぶりの実戦だった前走の地吹雪賞でも存外動けていたが、世代重賞で2着が三度ある実力馬が良い形で戻って来た。休養前より減らしている馬体は使いつつ増えてくるだろうし、再浮上へ。<br><br>3日の5R(3歳C-1)は、障害を綺麗に越えた<b style="font-weight:bold;">アカオビ</b>(牡3、久田)が切れ味で抜けて快勝、デビューは9月と遅かったが、これで6戦4勝とした。外枠もあってか物見をするような場面もあり、今井千尋は折り合い重視で運んだが、余裕十分の勝ちっぷりで素質を秘める。まだまだ若く、馬体もできていないが、相手が強化されていく中で成長を示せれば、来季は面白い存在ともなり得る。</p><p>余談ながら久田守厩舎は、6Rのキタノバンリュウ(今井)、12Rのイナサンヒカル(中原蓮)と合わせ、☆騎手でこの日3勝。<br><br>4日のニューイヤーカップ(A1-2)は6着までが1秒差に収まる大接戦となったが、中団後ろから障害をまとめた<b style="font-weight:bold;">ギンジ</b>(牡8、久田)が歩き勝ち。障害が常に課題となるが、軽量戦の地吹雪賞を挟んで現級特別連勝と、好調期に入ったか。これでオープン再昇級でも、とにかく障害だけで、追い比べの形に持ち込めれば引けは取らない。<br>2着<b style="font-weight:bold;">スイ</b>(牝6、服部)は前走のレディースカップの障害で乱れた直後だったが、同じ720でも修正してすんんなり一腰から鋭く伸びた。速くなり過ぎない稍軽がマッチしたとはいえ、こちらも追い比べになればよく歩く。障害と展開がカギとはなるが、切れ味あって長く脚を使う。<br>3着<b style="font-weight:bold;">ヤマトタイコー</b>(セン8、久田)は障害のカカリ良くスムーズに一腰、最後は決め手負けしたものの自身しっかり歩いているし、近走は好内容が続き、今は本当にデキが良い。<br>4着<b style="font-weight:bold;">アアモンドキーマン</b>(セン8、村上)は、積極策から障害天板で止まることもなく一腰でトップ抜け。うまく形を作れたし、しぶとく粘って自分の力は出している。こちらもデキ良く。<br>5着<b style="font-weight:bold;">ホクセイウンカイ</b>(牡6、松井)は稍軽の馬場も良かったのだろうが、前走よりついて行っても終いまで緩まず。内容的には十分で、経験を積みながら地力が確実に上がってきた。<br>6着<b style="font-weight:bold;">ミノルシャープ</b>(牡11、大友)は障害下でタメて一腰から速い脚を使い、末に緩む面も見せなかった。力は落ちていても、動きに活気ありずっとデキは良い。競走生活の終わりが迫る中、どこかで一つ、との思いはあろう。<br><br>7日に行われたばんえい十勝金杯(準重賞)は、じっくり構えて障害を4番手で下ろした<b style="font-weight:bold;">ダイヤカツヒメ</b>(牝6、久田)が力強い伸び脚を見せて快勝。夏場にひと息入れ10月に復帰して以降は、やや良化に手間取っていたが、三走前に前進を示し、ここで結果を出した。準重賞とはいえA1との混合で、オープン1組に編成された前走より組み合わせは楽だったが、シーズンで特別条件を4勝できる牝馬はなかなかおらず、勝ちっぷりも上々。やはり能力は高いし、二開催後1月26日に行われる今季の最大目標、連覇が懸かるヒロインズカップへ向け、きっちり上向いてきた。<br>2着<b style="font-weight:bold;">マサタカラ</b>(牡7、金田)は障害をまとめて5番手で下ろし、終いは長く良い脚。障害に注文が付き、上がる際でも速く切る馬ではないが、近走は腰の入り良く、ここも止まらず一腰。荷を積むと道中で息を入れたいだけに、前二走より時計がかかったのもプラスに働いた。この形なら上位に食い込める。<br>3着<b style="font-weight:bold;">ダイリンファイター</b>(牡9、小林長)は今回も例によって障害で一旦止まったが、そこから腰が入るのもいつものことで番手抜け。内容は悪くなかったし、今後も同様に他馬が障害で手間取る展開になった際には流れ込み。<br>4着<b style="font-weight:bold;">センリョウボス</b>(牡11、坂本)は障害で止まったが、すぐに二腰目が入り、下りてもジリジリと歩き、まずまずの内容。叩き二戦目で上昇を示し、明け11歳でも元気。<br>5着<b style="font-weight:bold;">シンエイアロイ</b>(牝6、久田)は前々で運び障害トップ抜けも、残り20mで詰まっての後退。前節より重くなった馬場の影響もあっただろうが、一腰で越えて登坂力は示したし、そう悲観する内容ではない。<br>8着<b style="font-weight:bold;">アローリキヒメ</b>(牝6、小林長)は好位で進めたものの障害で苦戦。好調ぶりを示していた近走からすると案外だったが、修正には手間取らないタイプで巻き返し注目。<br><br>8日の新雪特別(A2-1)は、好位から障害をトップ抜けした<b style="font-weight:bold;">コマサンタカラ</b>(牡7、金田)が押し切り。ややヒザの危うさを見せながらも我慢、A2昇級と特別変わりで荷物が増えた近走も好内容が続く。もともと息の入る流れが合うだけに、特別のほうが競馬をしやすい面はあるが、これだけ動けるのがデキの良さであり地力強化。<br>2着<b style="font-weight:bold;">ジャパントップ</b>(牡6、坂本)はテンにモタつくのはいつものことだが、押し上げて障害一腰、下りても十分に歩き、自分の力は出している。近走どうにも勝ち切れないが、それだけ崩れず動けているものと評価したい。<br><br>9日のオリオン特別(B1-2)は、障害を3番手で下りた<b style="font-weight:bold;">サクラジョージ</b>(牡8、金田)が末まで歩き切って抜け出し。4歳シーズンには冬場の特別で3勝を挙げるなど、積むのは存外悪い馬ではないが、それにしても久々の特別でこれだけ動き、11月以降で4勝とは、よほどデキが良いのだろう。<br>これが13勝目となった新人の<u style="text-decoration:underline;">中原蓮</u>騎手(22歳、金田勇厩舎所属)は、早くも特別戦初勝利。デビュー開催の当回顧記事内で、技術的にはかなりの水準に達している大型新人、と書いたが、ここまで期待通りの結果を残しており、依頼もさらに増えることだろう。本馬では2勝目だが、障害天板で気を抜かせず、二走前の平場とは40秒違う競馬でも力を引き出した。<br>2着<b style="font-weight:bold;">ウルトラコタロウ</b>(牡4、槻舘)はダービー帰りで昇級初戦だったが、障害すんなり、下りてもジリとはいえ以前よりしっかり歩けるようになり、地力が一段階上がった印象。晩成型で、これからまだまだ伸びる。<br>3着<b style="font-weight:bold;">ボンヌール</b>(牡8、金田)は末に詰まったとはいえ、障害を二腰で越えると良い伸び脚。相手が強くなっての特別でこれだけ動けるのだからデキ上々。<br>6着<b style="font-weight:bold;">ツガルフジ</b>(牡5、松井)は障害スムーズにトップ抜け、一旦は大きなリードを作ったが終いアラアラ。特別で馬場も重かったが踏ん張り課題で、現状は軽馬場ベターだが、タメて差す形も試すなど工夫しながら成長していければ良い。<br><br><br>次開催より、今開催まで第二障害後に限っていた<u style="text-decoration:underline;">ロータリーハローによる走路整備</u>を、<u style="text-decoration:underline;">第一障害後から第二障害前の箇所においても</u>実施されるとの発表がありました。<br>私見では、と前置きしておきますが、スタート直後や第二障害以降よりも、道中が重くなるほうが、レース全体に及ぼす影響は大きいように思います。<br>道中の流れが落ち着くことは予想されますが、それにより終いの速い競馬になるのか、第二障害前までに体力を削られて我慢比べになるのか、荷物やペースやメンバーで当然違いはありますが、どのような変化が生じるでしょうか。時計ひとつ(10秒)は変わってくると思うのですがね。<br><br>その次開催は重賞こそありませんが、1月13日(月)に<u style="text-decoration:underline;">第48回ばんえいプリンセス賞(準重賞)</u>が行われます。明け4歳牝馬限定戦、12月のオークスの再戦ムードですが、定量から別定に変わり、波乱含みの傾向もあります。オークス馬スマイルカナが下と30キロ差のハンデを克服できるか注目です。</p><p>また、<u style="text-decoration:underline;">田上忠夫</u>調教師が通算1500勝にあと1勝と迫っており、達成の場面が訪れるかもしれません。<br>それでは次開催もお楽しみに<img alt="ラブラブ" draggable="false" height="16" src="https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/035.gif" width="16"></p>
2025.01.09
タカラキングダム、史上6頭目の4歳三冠達成! 〈第18回天馬賞(BG1)〉
<p>1月3日(金)に行われた4歳シーズンの総決算、第18回天馬賞(BG1)は、道中は後方追走から第二障害を4番手で下ろした<b style="font-weight:bold;">タカラキングダム</b>(牡5、村上)が力強い伸び脚で抜け出して快勝。柏林賞、銀河賞と合わせ、史上6頭目の4歳三冠を達成しました。重賞は通算6勝目。<br>阿部武臣騎手は天馬賞2勝目で重賞通算45勝目、村上慎一調教師は天馬賞2勝目で重賞通算35勝目。<br>馬場水分1.9%で勝ち時計は1分34秒1。先に下ろしたマルホンリョウユウ(牡5、金田)が粘っての2着、終いよく歩いたジェイホース(牡5、松井)が3着に続いています。<br><br>だいぶ遅い振り返りとなりますが、タカラキングダムが見事に三冠を達成しました。<br>結果だけ見るなら、二冠馬が単勝1.4倍の支持に応える順当勝ち、ゴール前だけ見るなら、持ち前の末脚を発揮しての差し切り勝ち、ではあるのですけど、いや~、苦しい苦しい競馬で、これはもう薄氷の勝利と言っても良いほどでしょう。<br>テンが速くない馬で、第一障害までに位置を取れないのは想定内ではありましたが、思った以上に進んで行かず、加えて軽馬場で他馬が前がかりになり、武臣さんが気合をつけても道中で押し上げられない厳しい流れ。かなりキツかったと思いますね。<br>勝利インタビューで「泣き泣き一回止めて」とありましたが、馬場と流れに位置取りがマッチしていないのは承知しながらも、障害を考えると刻まないわけにはいかずに泣き泣き、という意味でしょう。第二障害に付いたのは9番手、もう先行馬が障害を上り始めようかというころでした。<br><br>ただし、そこからカカリも良く、下ったのは4番手。<br>これが本当に今回の面白いところで、結果的に言えば、荷を積んでの前半約42秒は馬場を考えても速く、ついて行った組にとってはオーバーペースだったのでしょう。<br>そのために障害で苦戦する馬が思いのほか多く、それに対してスムーズに一腰で切った本馬が、下りてみれば望外とも言える射程圏の位置にいました。<br><br>ここで強調したいのは、なぜそれほどまでに、他馬が前がかりになったのか。<br>軽馬場がもちろん第一の理由ではありますが、それだけではなく、今季ここまでの重賞で、キングダムの強烈な末脚をみんなが見ていたからこそ、ではないでしょうか。<br>同じ位置で下りては、あの馬に敵わない。負かすには、自身が先に下ろすしかない。と思っているところに、軽馬場といった要素が加わり、なお先を取るのが優位に働く状況。この機を活かさんとする騎手心理と、後ろにいるキングダムへの意識が、より速い流れを生んだ、と見ることもできるのではないでしょうか。<br><br>勝負駆けに出た各騎手の判断は、決して間違いではないし、負かしにいった気概も良し。<br>大いに苦しまされたキングダムですが、その流れの中でも嫌気が差すことなく、障害にきちんと向かって一腰、これが今季の大きな成長です。そして下りてから歩き歩き、終わってみればソリ二つ以上突き抜ける強い勝ちっぷり。<br>これだけの馬を負かそうと思えば、他馬もハイペースを承知で出るしかありません。だから、苦しい流れを作ったのは、じつは自身の存在だった、ただし、そのぶん他馬も苦しくなった……とは、言い過ぎでしょうか(^^;<br>まあ、私が勝手に思ってグダグダ書いているだけなんですけど、ここまで考えを巡らせられるほどに、ばんえいは面白いものですよ。<br><br>その強い三冠馬は、2歳時に世代最初の重賞であるナナカマド賞を制していますが、自力先行で速い流れを刻みながら後続を完封した内容が出色で、見た目にはっきりとわかる立派な馬体も相まって、これはかなりの大物が現れたと思ったものです。<br>レースぶりは変わりましたが、若さが抜け脆さが薄れ、安定感を増して障害も格段に良化、いよいよ本物になった今季。<br>今季の残りはかなりのハンデを課せられるだけに、どのようなレース選択をするかわかりませんが、今回含めて速い時計で勝った星も多いものの、本質的には落ち着いた流れのほうが合い、息が入れば増量もまだまだ問題なく、歩き比べになっての強さは言うことなし。来季、さらにはその先に、もっと大きな仕事ができるだけの器だと思っています。<br>今回は安堵の笑顔を見せた武臣さんですが、本馬が古馬重賞戦線へ参入する来季以降、あの馬のパートナーとしていつまで笑っていられるかな。最大級に言えばそこまでの期待を懸けて良いでしょう。<br><br>マルホンリョウユウは決して速い流れを好むタイプではないと思うのですが、ここは引っ張られるというよりも、自身から強く出る勝負駆け。厳しい流れの中でも持ち前の登坂力で一腰、終いも決して止まってはおらず、中身はかなり濃いものでした。<br>今季ここまでの重賞三戦では案外でしたが、結果論的に言えば、デキも100%ではなかったのかもしれません。勝ち馬の末脚に屈したとはいえ、やはり能力の高さは相当のものがあります。<br>早くから活躍し、昨季には二冠も制していますが、年長馬相手に勝ったのはこれまで一度のみで、経験を積みながら本当に実が入ってくるのは、これからでしょう。追う立場へと変わりましたが、まだ伸びしろ大きく、二年三年先を見据えながら地力を蓄えていく時期を迎えます。<br><br>ジェイホースは前について行きながらも息を入れ、障害一腰。下りてからもよく歩き、今季の地力急上昇をここでも示しました。これからどんどん相手が強化されていく厳しさはありますが、今季はクラスが上がってからのほうが内容が良くなったくらいで、一戦ごとに力をつけている印象です。<br>ジェイヒーロー(4着)はこの流れの中で障害トップ付けからトップ抜け。障害で止まることも、ないわけではないのですが、上がる時は本当に綺麗に上がりますし、素晴らしい登坂力を備えています。下りて伸び負けしましたが、よく我慢し、自身の良さと力は出し切りました。<br>アシュラダイマオー(5着)も果敢に行き、障害で一旦止まったものの二腰目がしっかり入り、終いも苦しくなりながらも歩き切りました。ひと頃の不振を脱したイレネー馬、古馬になってもう一段階上げられる松井厩舎、A2に入ると楽ではありませんが、活気が戻ってきました。<br>ホクセイタイヨウ(7着)はまだ良化途上ですが、前走も今回も、内容的には決して悪くないもの。まずは順調に使い込めるようになることが一番ですが、秘める素質高く、実が入れば相当のレベルまで期待できるはずです。今後も注視していきたいと思っております。<br><br><br>3月2日に一つ下の世代との混合となるポプラ賞を残してはいますが、世代の王座を巡る争いはこれにて閉幕。競走馬としての、ひと区切りを迎えました。<br>とはいえ、ご存じのとおり、5歳や6歳でも時には「若馬」に分類されるのが、ばんえいの世界。<br>ばんえい平地問わず、競走馬にはある程度の早熟性も求められるとは心得ておりますが、前日の帯広記念を制したコウテイが示すとおり、ばん馬は100戦してからが本当の勝負、といった一面もあります。<br>みんな、これからまだまだ強くなりますよ。存分に見せていただきましょう。</p>
2025.01.05
コウテイ、正月の大戦を制して天下をうかがう 〈第47回帯広記念(BG1)〉
<p>1月2日(木)に行われた正月の大一番、第47回帯広記念(BG1)は、前々で運んだ<b style="font-weight:bold;">コウテイ</b>(牡8、槻舘)が第二障害を一腰で越えてトップ抜けをはたすと、後続の追撃を凌ぎ切って重賞初制覇を遂げました。<br>2020年12月のばんえいオークス以来、久々の重賞勝利となった西将太騎手は帯広記念初制覇で重賞通算7勝目。槻舘重人調教師は帯広記念7勝目で重賞通算69勝目。<br>馬場水分2.3%で勝ち時計は2分08秒2。番手抜けから追ったハンデ頭のメムロボブサップ(牡9、坂本)が2着、しぶとく食い下がったコマサンエース(牡9、金田)が3着に続いています。<br><br>メムロボブサップの進撃を止めたのは、ここまで重賞未勝利のコウテイでした。明け8歳にして初の重賞制覇、それも古馬最高峰のG1。重賞未勝利馬が帯広記念を制したのは、2013年度(14年1月)のホリセンショウ以来となります。<br>「大金星」と評す報道もあり、それはたしかにそのとおりなのでしょうが、たまたま勝ったのではなく、がっぷり四つに組んでの、堂々たる内容でした。<br><br>今回はテンに遅れる面も見せずに前々で進めると、一番先に仕掛け、現役随一の登坂力を存分に発揮して障害もじつにスムーズ。その時点では、結果がどうなるかはもちろんわからなかったのですけど、最高の形を作った将太お見事と、ヤマを下りる姿を見ながら、もうそこで、シビれましたね。<br>メムロボブサップが追ってきましたが、30キロ差がありましたし、自身もジリでも止まるタイプではなく、最後はジワリと突き放すほどによく歩き、完璧だったと言って良いでしょう。<br><br>ボブサップに30キロもらいが大きかったのはもちろんですが、大晦日の雪で軽くなった馬場も、今回に限っては味方したことと思います。<br>高重量戦向きとの評価は、裏を返せば軽馬場歓迎ではない、ということにもつながりますが、2分08秒2は帯広記念史上2番目に速い決着で、間違いなく軽かった。<br>本馬が軽馬場を得手としないのは、自身がテンに遅く、他馬も刻まない速い流れだと、道中で押し上げて位置を取ることができないこと、さらに障害下りからの速い脚に欠くために、他馬も脚を使える馬場だと切れ負けすること、あたりが理由でしょう。<br>ただし、帯広記念だと、たとえ軽馬場であっても、道中で追走に苦しむ流れとはならず、下りて切れ負けするほど終いも速くならない。なぜなら900キロ級だから。<br>特別条件の軽馬場と、帯広記念の軽馬場とでは、まったく意味が違うのです。<br>荷物への耐性と地脚を備えた前提があればこそですが、むしろ、行っても上がる登坂力と、終い我慢できる末脚が、フルに活きたものと考えます。<br><br>……という見方を、私はメジロゴーリキが制した昨季の帯広記念で学びました(^^;<br>昨季も軽馬場で、前半約73秒-2分10秒0。そして今季が前半約71秒-2分08秒2。<br>細かい馬場差はわかりませんが、非常に酷似した流れで、先に下ろして30キロ重いボブサップを封じたのも同じ。<br>もちろん、誰にでもできるわけではないのですが、重荷と障害に強い馬が、軽馬場でこの形を作ってボブサップを抑えたのは必然だったか。結果論ではありますが、そんな見方もできるかもしれません。<br>そしてゴーリキは、年度末の大一番でどのような結果を出したか、と蛇足ながら付け加えておきます。<br><br>今季9戦目で土がついたメムロボブサップは、もうハンデだけ。<br>北見記念では30キロ軽いコウテイを圧倒してみせましたが、今回は、やはり930自体が簡単な荷物じゃないし、そこにハンデが加わり、さしもの王者も厳しい展開を強いられたように見えました。これも高重量戦の妙でしょう。<br><br>余談となりますが、G1なら帯広記念も定量にすべき、という意見を見聞きすることがあります。でも私は、正直ピンと来ないかなあ(^^;<br>中央さんのハンデ戦のイメージ(G3っぽい?笑)に引っ張られているのかもしれませんが、言うまでもなくハンデキャッパーのいるハンデ戦ではなく別定戦で、いくら稼いだら何キロ増えるか、とシーズン開幕前からわかっていること。<br>私は、今季の収得賞金に応じて<span style="font-size:0.83em;">(重賞に限らず)</span>荷物が加増されるシステムを考えた人は天才だと思っているくらいで、ハンデがあるからこそばんえいは面白いし、別定の基準額に合わせたレース選択をしたり、時には緩めたり、そういったことまで含めて見て楽しむのが、競馬というものだと思っているんですけどね。<br>ただ、<a href="https://ameblo.jp/banei-koyanogo/entry-12850488898.html" rel="noopener noreferrer" target="_blank">オッズパーク杯を勝った時</a>にも書いたのですが<span style="font-size:0.7em;">(手前味噌ながらコウテイについて良いこと書いてた!笑)</span>、重賞の賞金が昨季から据え置きながらも基準額が上がった今季は、帯広記念で40キロ加増を課せられる馬が現れるなどとは思わなかったですよ。<br>ややこしい言い方になりますが、ハンデ戦が基本だからこそ、帯広記念でそこまでハンデを課せられるほどに勝てるとは、とても思っていませんでした。<br>だから、要はメムロボブサップが凄すぎるという話で笑<br><br>レースに話を戻しますが、自身が主導権を握ったというより、30キロ軽い周りに合わせざるを得ない形で、道中も障害も下りてからも、ところどころでの影響はわずかながらも、結果2着として終わらされた、といった感じでしょうか。<br>帯広記念で930を曳いて三年連続2着とは、過去に例を見ないことで、これだけで驚異的。コマサンエースともインビクタとも30キロ差あったことを忘れてはなりません。<br>ばんえい記念の1000キロは、本馬とて苦しい荷物ですが、べつに現役最強の座が動いたわけでもなく、結果として、今季無敗で臨むより多少なりとも重圧が軽減されることでしょう。改めて戦慄の王者の力を誇示する3月16日です。<br><br>コマサンエースはテンから動き、道中で気合をつけながら強気に出て、終始ボブサップに蓋をする形。利貴騎手がうまく運んで、これは武臣さんは結構きつかったと思いますね。<br>障害下ではじっくり我慢させて一腰、下りてもよく歩いたものの差は詰められず、そこは地力の差と認めざるを得ませんが、良い競馬はしました。<br>登坂力があり、切れ味はなくてもしぶとく歩き、高重量戦の適性を改めて示し、ばんえい記念でも期待できるでしょう。<br><br>インビクタ(4着)は馬場が軽くなったことも受けてか、積んでも積極的に前へ。障害でヒザがグラついて苦戦し、やはり900だと少し重い印象ですが、これも勝負に出た結果。ナイスチャレンジだったと思います。<br><br><br>パッと見で、いかにも寂しい5頭立て、中継番組内で解説者さんから「メムロボブサップを負かしにいく馬がいるのか」といった白旗ムードのコメントもありましたが、そこはやはり、帯広記念。<br>そして、槻舘先生も将太も、金田親子も、松井も新も、一人勝ち許すまじ、との思いを、ずっと秘かに抱いていたのでしょう。しっかりと勝負に出ました。ボブサップを負かしに出ました。<br>第一障害後から第二障害までの、ソリ一つほどの差の中で出しつつ抑えつつの駆け引き、そして障害の仕掛け。この間の緊張感、ものすごかった。これが古馬一線級の高重量戦と、震えました。<br>誰かひとりではなく、それぞれが勝利への執念を見せたからこそ生まれた名勝負だったと思います。素晴らしいレースでした。</p>
2025.01.03
[1/3 第18回天馬賞(BG1)] 4歳三冠馬誕生か、逆転の一冠か。
<p>6月の柏林賞、9月の銀河賞に続く、4歳シーズン三冠の最終戦。同路線が整備されたのは帯広単独開催になって以降と、決して歴史は長くないが、二冠を制した過去の5頭はすべて三冠を達成しており、今季も新たな三冠馬誕生のシーンが見られるか。ただし、もちろん一筋縄とはいかず、伸び盛りの4歳シーズンだけあって、今季に大きく力をつけた面々が揃い、非常に活気のある組み合わせ。馬場は引き続き軽めの見込みだが、荷が張っての力勝負で激戦期待、悔いを残さぬ世代最終決戦。<br><span style="font-size:0.83em;">(定量:760キロ)</span><br><br>二冠馬<b style="font-weight:bold;">タカラキングダム</b>は、3歳との混合重賞はまなす賞も制すなど、大器が本格化して充実一途。古馬相手の重賞に挑んだ三走前は障害で手間取ったが、尾を引かず修正できるようになったのが心身両面での成長の証し、前走は障害一腰から終い目立つ伸び脚を見せ、目標へ向け万全。格段に安定感を増し、下りての力強い末脚は一枚上、障害を無難にまとめれば抜け出して三冠。<br><br>昨季の二冠馬<b style="font-weight:bold;">マルホンリョウユウ</b>は今季の重賞では案外だが、速い馬場に泣かされた面も。秋以降はここを目標にじっくり仕上げられているが、三走前には古馬オープン相手に上位に食い込むなど、やはり能力は高いし、デキも一段階上がったと見たい。今回も馬場微妙だが、登坂力活きる増量歓迎、昨季ダービーで三冠を阻まれたタカラと立場が入れ替わり、雪辱期す場面。<br><br><b style="font-weight:bold;">クリスタルゴースト</b>は昨季までは重賞出走すらなかったが、重賞初挑戦となった柏林賞で正攻法から2着に粘ると、はまなす賞も銀河賞も2着。いずれもタカラにハンデを20キロ以上もらっていたとはいえ、昨季終盤から急上昇を示し、いまや世代トップ級。障害苦戦が続いた後でひと息入れての三開催ぶり、臨戦過程も増量も不安だが、軽馬場は大きなプラス。障害修正なら。<br><br><b style="font-weight:bold;">ホクセイタイヨウ</b>は障害良化して先行力も備わった昨季に急成長を示し、3歳三冠戦はすべて2着。今季も6月の世代特別を制すなど、能力は重賞級で将来性も高いが、順調さを欠き、六開催ぶりで臨まざるを得なかった銀河賞は大幅馬体減での大敗。また間隔が空いた前走の内容は存外悪くなかったとはいえ完調手前、力は互角以上だけに、ひと叩きで上向けば侮れないが。<br><br><b style="font-weight:bold;">ジェイヒーロー</b>は取消となった昨季ダービーを除けば、2歳時から重賞に皆勤し、これまで3着が三回あるが、展開がやや窮屈になる世代戦よりも、アローワンスのある年長馬相手のほうが競馬はしやすい。登坂力上位で増量は問題なくても、下りてジリっぽく伸び負けするだけに、積極策から障害勝負に持ち込む形が理想だが、他馬も動ける軽馬場で思惑通りに運べるか。<br><br><b style="font-weight:bold;">ジェイホース</b>は昨季の大賞典以来、二度目の重賞挑戦となるが、今季[6-5-4-7]、特にクラスが上がった秋以降の内容が良く、一気に力をつけてきた最大の上がり馬。もともと2歳の能検時から動きの良さが目立っており、長く歩ける末脚には光るものがあったが、障害安定して位置を取れるようになり素質開花。増量カギでも、最高のデキで自信を持って頂点に挑む。<br><br>2歳シーズンにイレネー記念を制した<b style="font-weight:bold;">アシュラダイマオー</b>は、長らく不振が続き昨季未勝利も、今季は平場とはいえ2勝、銀河賞でも4着に食い込むなど、活気を取り戻しつつある。相手強化に加えて増量と条件は厳しくなるが、近走は障害のカカリが良いし、たとえ一旦止まっても腰を入れ直せるデキにある。イレネーで見せた終い歩ける強みが戻り、存外怖い。複穴。<br><br><b style="font-weight:bold;">ジェイライフ</b>は今季4連勝を含む6勝を挙げており、成長が目立つ一頭。A2へ昇級して荷物が増えてからは障害で苦戦する場面もあり、やや壁に当たっている印象だが、一戦ごとの慣れは見込めるし、直前に軽量戦を一本走らせる意欲策。増量歓迎とは言えないが、速い時計での良績あって軽馬場はプラス材料。障害まとめて下りからの切れ味を活かせる展開になれば。<br><br><b style="font-weight:bold;">サクラヤマト</b>は開幕から5連勝、その後に特別勝ちも加えての今季8勝は、メンバー中最多。柏林賞では障害で苦戦し、夏場にはややデキも落としていたが、馬体も増えてもう不安のない状態。重賞出走さえ叶わなかった昨季からの成長大きく本格化気配十分、まだ経験不足で増量もカギとはなるが、軽馬場は歓迎材料で、障害スムーズなら終いも歩ける。そう差はなく。<br><br><b style="font-weight:bold;">キタノミネ</b>は登坂力上位で増量歓迎。下りてからいかにもジリっぽく、伸び負けして勝ち切れずにB1格付にとどまるが、障害勝負では決して引けを取らないだけに、ここは少し強気に運んでも面白い場面。晩成型で本当に良くなるのはまだ先、速い脚を使えず、馬場も重いほうが良かったが、積極策から早めの仕掛けも十分。前で下ろせば見せ場は作れる。</p><p> </p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20250103/00/banei-koyanogo/5d/c9/j/o1537206215528889037.jpg"><img alt="" height="563" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20250103/00/banei-koyanogo/5d/c9/j/o1537206215528889037.jpg" width="420"></a></p>
2025.01.02
[1/2 第47回帯広記念(BG1)] 厳粛に、古馬最高峰
<p>正月恒例の古馬G1。3月に行われるばんえい記念は別格としても、本場の名を冠したこの高重量戦には、夏のグランプリとも、ほかの四市記念重賞とも一味違う重みと価値がある。今年はいかにも寂しい頭数となったが、今季無敗の王者が連勝を伸ばすかが最大の焦点。少数精鋭の挑戦者は、ばんえい記念への興味を残すためにも、ハンデを活かしてここで一泡吹かせたい。大晦日に降った雪は、馬場にどのような影響を及ぼすか。<u style="text-decoration:underline;">8Rで発走17時00分</u>。<br><br><b style="font-weight:bold;">メムロボブサップ</b>は今季8戦8勝。三開催ぶりで気配注目だが、一戦必勝の構えで、ここも仕上げに関する不安は小さい。今季はまったく隙なく、特に10月の北見記念が、ハンデ頭の880で他を圧倒する戦慄の独り旅。今回も下に30キロ以上与えての930、この荷物で過去に当レースを制した例はなく、はっきりハンデは厳しいが、同じ930で二年連続2着がすでに驚異的。競技史上最高傑作が、古馬重賞完全制覇の歴史的快挙へ。</p><p><br><b style="font-weight:bold;">インビクタ</b>は今季1勝にとどまるとはいえ、古馬重賞2勝の実力馬。障害巧者でも900となると少し重く、当レースでは結果が出ていないが、高重量戦の経験は十分で、道中で息を入れて行ければ対応可能。800キロ台前半までなら自在に動けても、ここは少し大事に構えざるを得ないが、前走で素軽い動きを見せて仕上がり上々。障害でヒザを折らないことが第一だが、軽馬場のプラス大きく、メムロに30キロもらい。地力注目。<br><br>北見記念2着の<b style="font-weight:bold;">コウテイ</b>は、昨季のばんえい記念でも5着に踏ん張っており、現役随一の登坂力を活かせる高重量戦こそが狙い。平場で切れ負けした前走も障害はスムーズに越えており、デキに関しては申し分ない。同じ900で挑んだ昨年の当レースは、障害一腰でトップ抜けから食い下がっての3着で、2着メムロと1秒3差。一年で地力も自信も増し、巨峰に手が届いても不思議ないレベルに達している。今年も強気に出たい。<br><br>北見記念3着の<b style="font-weight:bold;">コマサンエース</b>は古馬になってからの成長大きく、昨季のばんえい記念3着など、積んでの良さを何度も示している。ズブさはあるものの、軽馬場の特別で時計が速くなった前走でも素軽く前付けから2着と、絶好調と言って良い状態。登坂力としぶとさが存分に活きる高重量戦歓迎、今のデキなら、メムロに30キロもらいとなる今回は展開面での主導権も握れるか。一矢報いたい金田、積極策から勝機を見いだす。<br><br><b style="font-weight:bold;">コマサンブラック</b>は前走こそ案外だったものの、近走は動きに素軽さを増し、得意の冬場を迎えて上向きたしか。一昨年の当レースでは障害トップ抜けから見せ場たっぷりの3着と、デキと登坂力さえ戻れば、高重量戦での適性も示せる。一線級が相手になると地力でやや劣るのはたしかだが、ハンデもあるし、差のない競馬に持ち込みたい。</p><p> </p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20250102/09/banei-koyanogo/f1/d6/j/o1293176215528590080.jpg"><img alt="" contenteditable="inherit" height="572" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20250102/09/banei-koyanogo/f1/d6/j/o1293176215528590080.jpg" width="420"></a></p>
2025.01.01
第19回開催(12/21~12/30)回顧 ブラックサファイア48秒6/発売金額レコード更新
<p>12月21日のカトレア特別(B1-1)は、道中で先手を取った<b style="font-weight:bold;">ローランド</b>(牡4、槻舘)が障害トップ抜けから押し切り、特別戦初勝利。それが意外に思えるほど今季は高いレベルで安定、特別経験が増えたことでさらに地力強化、徐々に荷が張っていく中でも対応できている。素質馬が軌道に乗り、まだまだ上を望めるだろう。今後も注目。<br>2着<b style="font-weight:bold;">コウシュハテンセイ</b>(牡4、岩本)は番手でついて行き、障害下でじっくりタメて一腰。道中で急がせるのは好まないが、特別の流れのほうが合うし、下りてよく歩き、好内容が続く。今季これまで掲示板を外したのは一度だけで、こちらも地力強化が目立つ一頭。勝ち馬との力差はほとんどない。<br>3着<b style="font-weight:bold;">エムタカラ</b>(牡4、金田)はテンに置かれるのは現状では仕方ないが、道中で押し上げて好位付け、障害も一腰。今回は終いの速い競馬に持ち込んだ勝ち馬がよく動いたが、自身も脚を使って詰め寄り、現級ではいつでも勝ち負け可能。もう少し時計かかればベター。<br>4着<b style="font-weight:bold;">トウケイレーヴ</b>(牡4、金田)は第一障害までフワフワし、また勝ち馬が積極的に出て行ったこともあり、やや位置を取るのに苦労したが、障害スムーズで終いもしっかり歩き、内容的には決して悪くない。障害安定、すぐにチャンスが巡ってくる。<br>天馬賞に出走の叶わない4歳の第二グループだが、今季の成長を示す馬が多く、レースも締まった流れになり、非常に面白い。今後も楽しみ。<br><br>12R(オープン-1)は、障害をスムーズに越えた<b style="font-weight:bold;">キングフェスタ</b>(牡5、小北)が下りから一気に突き抜けて連勝。平場で障害をまとめれば切れ味断然で、デキも良い。あとは荷を積んだ際の障害だけだが、今季の残りはどのようなレース選択をするのか注目。<br>2着<b style="font-weight:bold;">オーシャンウイナー</b>(牡6、中島)は障害すんなり、勝ち馬の切れ味は仕方ないが、自身もしっかり歩いた。末に我慢が利かない課題は依然として残るが、夏以降は内容が安定し、確実に地力が一段階上がったと見たい。<br>3着<b style="font-weight:bold;">タカラキングダム</b>(牡4、村上)は次開催1月3日に天馬賞を控えて内容重視。前二走でモタついた障害でしっかり腰が入りスムーズに越えると、下りてグイグイ。三冠へ向けて最高のステップに。<br>4着<b style="font-weight:bold;">ツガルノヒロイモノ</b>(牡5、長部)は障害天板近くで一旦止まったが、すぐに返事をして二腰。下りても歩いており内容的には悪くない。好調維持。<br>7着<b style="font-weight:bold;">インビクタ</b>(牡8、松井)、8着<b style="font-weight:bold;">コウテイ</b>(牡7、槻舘)は、下りてから切れ負けしたものの、いずれも前付けして障害はじつにスムーズ。1月2日の帯広記念へ好仕上げ。<br><br>22日のノエル特別(A2-1)は、<b style="font-weight:bold;">ジェイホース</b>(牡4、松井)が前々から障害トップ抜け、末まで脚色衰えずに歩き切り、現級連勝。当回顧記事でも何度も取り上げているが、ここに来て素晴らしい充実ぶりを示している。1月3日、自信を持って天馬賞に挑む。<br><br>23日のホワイトクリスマス賞(A1)は、単騎で先行した<b style="font-weight:bold;">アアモンドキーマン</b>(セン7、村上)が、障害で一旦止まりながらもトップ抜けをはたすと、まんまと逃げ切り。昨季あたりから、障害一腰とはいかずに一旦止まる場面が目立つようになったが、二腰目は入る馬。それは渡来心路も織り込み済みで、止まる前提で飛ばして行ったのが奏功、会心の勝利だろう。<br>2着<b style="font-weight:bold;">ホクセイウンカイ</b>(牡5、松井)は後方からじっくり運ばれ、終いは長く良い脚。好位で下ろして終い詰まった前走とは違う競馬で、強敵相手で楽ではない中でも、試行錯誤されながらよく戦っている。<br>3着<b style="font-weight:bold;">ヤマトタイコー</b>(セン7、久田)は障害スムーズ、ジリでも下りてしっかり歩いているのだが、今回は勝ち馬にうまく運ばれたか。それでも近走はデキの良さ目立ち。<br><br>後節28日の第14回地吹雪賞(選抜)は、<b style="font-weight:bold;">ブラックサファイア</b>(牡7、長部)が大きなストライドで駆け抜けて48秒6。これまでの軽量戦は四戦すべて2着だったが、ここで順当に初勝利。2月24日の本戦スピードスター賞で、サクラヒメやキングフェスタとの激突が見もの。<br>2着<b style="font-weight:bold;">ギンジ</b>(牡7、久田)は初の条件だったが、道中からスピードに乗り、障害でも緩まず、末まで速い脚。勝ち馬には完敗でも適性十分。<br>3着<b style="font-weight:bold;">トワイチロ</b>(セン5、金山)は1年2ヵ月ぶりで馬体重マイナス63キロ。それでも末まで伸び切り、適性があるし、叩いての一般戦でも注目。<br>4着<b style="font-weight:bold;">ヤマカツエース</b>(牡5、金田)はスピードは見せたが、下りて伸び負け。適性がないわけではないが、今回は周りがよく動いた。<br><br>12R(オープン-2混合)は、シンガリ待機の<b style="font-weight:bold;">ゴールドハンター</b>(牡7、金田)が持ち前の末脚を発揮して一気の差し切り勝ち。重賞では障害で崩れていたが、前走で修正して再びの平場、今回も後方からだったとはいえ、前走ほど離れていない位置取りだったし、ジリ脚タイプが多い中で障害をまとめれば決め手が違った。<br>2着はA1格付の<b style="font-weight:bold;">アローリキヒメ</b>(牝5、小林長)。格上馬相手に積極策、勝ち馬の切れ味に屈したとはいえ、前で下ろしてしぶとく歩く自分の形で好内容。秋以降は骨っぽい相手でも安定しているし、地力強化とデキの良さが目に付く。<br>3着<b style="font-weight:bold;">カイセドクター</b>(牡7、坂本)は障害をまとめて終いも歩き、内容上々。現状では一線級相手だと厳しいところはたしかにあるが、二番手グループならこれくらいは動ける。<br>4着<b style="font-weight:bold;">リュウセイペガサス</b>(牡7、久田)は、A2を勝ち切れないままの昇級初戦で格上との混合と厳しい条件だったが、道中で押し上げて障害一腰、下りても自身なりに歩き内容十分。非常にデキが良い。<br>8着<b style="font-weight:bold;">コマサンブラック</b>(牡8、金田)は好位から障害をまとめ、一旦は2番手に上がるかの場面もあったが、存外伸び切れずに残り10mで詰まった。やや物足りないが、着順ほど悪い内容でもなく。<br><br>30日の'24ファイナルカップ(B2-1)は、長く良い脚を使った<b style="font-weight:bold;">フナノギムレット</b>(牡10、鈴木)が差し切り、10歳暮れにして特別戦初勝利。もともと下りてから歩ける馬ではあるが、追っての味がフルに活き、末にひと伸び。<br>2着<b style="font-weight:bold;">ツカサマーチ</b>(牡7、谷)は障害一腰、やや緩みながらも末まで我慢。障害良化した前走で現級への目処は立っていたが、増量でもよく踏ん張り、確実に上向き。<br>偶然ではあるが、10月に他界した山本正彦・元調教師が管理していた馬のワンツーとなった。<br><br>12月30日の勝馬投票券発売金額は、<u style="text-decoration:underline;">8億7127万3600円</u>となり、2023年12月30日の8億1958万1700円を上回り、ばんえい競馬史上最高発売金額を更新。<br>また、同日11Rの第53回ばんえいダービーの発売金額は、<u style="text-decoration:underline;">2億134万5300円</u>で、1レースあたりの発売金額としては初めて2億円を超え、こちらも史上最高となった。<br><br><br>……というわけで、馬券の売上も好調なのですが、個人的には大変バタバタと年末年始を過ごしております(^^;<br>すぐに迎える次開催ですが、1月2日(木)には正月恒例の古馬最高峰、<u style="text-decoration:underline;">第47回帯広記念(BG1)</u>が行われます。5頭立てとは正直寂しいのですけど、メムロボブサップがハンデを克服するか、他馬がハンデを活かすか、一気に正月気分が吹き飛ぶ大一番です。<br>翌3日(金)には、4歳シーズン三冠の最終戦、<u style="text-decoration:underline;">第18回天馬賞(BG1)</u>が行われます。タカラキングダムの三冠成るかが最大の焦点ですが、逆転の一冠へ燃える他馬も譲らずの激戦を期待します。<br>また、次開催から<u style="text-decoration:underline;">薄暮開催</u>となり、<u style="text-decoration:underline;">発走時刻が早まります</u>ので、ご確認とご注意をお願いいたします。そして<u style="text-decoration:underline;">後節は7日からの火水木開催</u>と、変則開催が続きます。<br>それでは次開催もお楽しみに<img alt="ラブラブ" draggable="false" height="16" src="https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/035.gif" width="16"></p>
2024.12.31
復活ライジンサンが3歳でも頂点!〈ダービー〉/ スーパーシン、圧勝で重賞初制覇!〈ヤングCS〉
<p>12月30日(月)に行われた3歳の最高峰、第53回ばんえいダービー(BG1)は、積極策から先に障害を下ろした<b>ライジンサン</b>(牡3、大河原)が押し切り、今季の初勝利、重賞通算4勝目を挙げました。<br>鈴木恵介騎手はダービー6勝目で重賞通算101勝目、大河原和雄調教師はダービー初制覇で重賞通算4勝目。<br>馬場水分1.1%で勝ち時計は1分57秒6。3番手から追いすがったミチシオ(牡3、槻舘)が2着、中団から脚を伸ばしたウルトラコタロウ(牡3、槻舘)が3着に続いています。<br><br>昨季に重賞3勝を含む5連勝で世代の頂点に立ったライジンサンが、3月のイレネー記念以来となる復活の勝利を挙げました。<br>今季は歯替わりの影響があったとも聞きますが、ぶっつけで臨んだ7月の大賞典は終い伸び切れず、その後のはまなす賞に至っては、障害を上がれず下りて歩けず、とても世代王者とは思えない姿で、これは立て直しに時間を要するのでは、との印象を抱いたものです。<br>そこから二ヵ月後の菊花賞に出てきた際にも馬券的にはノーマークでしたが、馬体を増やして戻ってきて、レースぶりも驚くほどに見せ場を作る内容。その後も順調に三戦を挟み、一戦ごとに上向いているのが見て取れましたし、今回はもう本調子だったことでしょう。<br>ここを目標と定め、カワと恵介が狙い澄ましての復活劇。お見事の一言ですが、その過程を見られるのも、競馬の醍醐味ではないかと思います。<br><br>昨季の重賞3勝は中団からの終い抜け出しでしたが、今回は第一障害を素軽く越えると、第二障害にトップ付けしようかというほどの積極策。<br>恵介の決意と自信だったのでしょうが、すんなり一腰で越えた時点で、勝負あり、でしたね。ゴール前で一旦詰まり、そこはやはりダービーは簡単には勝てないのですけど、内容的には一枚上の力を示したと言って良いでしょう。強いイレネー馬が戻ってきました。<br><br>ミチシオはテンの遅れも想定の範囲内で、道中うまく押し上げ、ほぼプラン通りの競馬はできたのではないかと思います。<br>障害天板でほんの少しだけモタついたものの一腰、切れ味で差を詰め、追われてよく伸び、ライジンサンが詰まり、届くっ! と菊ちゃんも思ったんじゃないかなあ……。それが同じように自分も詰まり、この荷物と乾いた馬場と締まった流れで、それだけ厳しい競馬だったということでしょうが、これで今季三冠は2・3・2着。少し湿りがあればまた違ったか、という気もしないではないのですが、障害も末脚も良くて、力は間違いなく重賞級。あとは勝ち運だけですが、来季こその期待です。<br>その前に、4歳との混合であるポプラ賞が3月2日にありますが、そこはハンデももらえるので、狙いどころとなるかもしれません。<br><br>ウルトラコタロウは障害すんなりと、持ち前の登坂力を示し、終いも長く歩いて接近。やはり増量がプラスに作用しましたし、障害下りからの速い脚には欠けますが、ずいぶんと歩けるようになってきました。<br>2歳時から上で善戦していて、五度目の重賞3着となりましたが、本当に良くなるのは、4歳あるいは古馬になってから、との見立てもあり、先々まで含めて期待できるでしょう。<br><br>カフカ(4着)は中団から障害一腰、下りてからは末までよく伸び、ここも掲示板確保。今季の大きな成長ぶりを牡馬相手でも示し、充実していますね。まだまだ上が見えるでしょう。<br>スマイルカナ(5着)は菊花賞以来、四戦ぶりにブリンカー着用。道中は息を入れ、タメて障害を一腰でまとめると、終いは長く良い脚を使って、末まで伸びています。内容的には全然悪くありませんし、自分の力は出せているのですが、やはり定量の710だと、競馬の流れに合わせて運ぶのが難しいというか、位置取り以上に後手に回った感はあります。それでも、増量でしっかり動いているのは立派ですし、健闘を称えて良いでしょう。<br>ユーフォリア(6着)は障害下でじっくりタメて一腰、終いもよく歩きました。末に苦しくなったのは現状の力関係で、菊花賞と同じ着順でしたが、レースぶりは上々で、今季の成長十分です。これからもっと良くなりますし、来季はもう一歩上まで期待したいところです。<br>ホクセイハリアー(7着)はライジンサンが想定以上に出て行ったぶん、展開的に難しくなった面はありましたが、障害トップ付けの形を作り、素晴らしい登坂力も示しました。終い止まりましたが、自分の形で勝ちに出た結果。大賞典を制した際に金山先生が「良くなるのはもっと先だと思っていた」と話されていましたが、再鍛錬して、またひと回り成長した姿を見せてくれることでしょう。<br><br>改めてライジンサンが世代の中心であると示す結果となりましたが、好素材が揃い、かつ晩成型が多い世代という印象を、私は抱いています。<br>王者と、数多くの挑戦者、それぞれの立場で来季の三冠戦を迎えることとなりますが、これからさらに力をつけ、今回同様の激戦をまた繰り広げてくれることでしょう。そしてそれだけでなく、もっと先までの期待も懸けたい。そんな世代です。<br><br>**************<br><br>12月29日(日)に行われた2歳の二冠目、第26回ヤングチャンピオンシップ(BG2)は、好位から第二障害をすんなり越えた<b>スーパーシン</b>(牡2、長部)が後続を突き放す圧勝で重賞初制覇を遂げました。<br>藤野俊一騎手は当レース4勝目で重賞通算70勝目、長部幸光調教師は当レース初制覇で重賞通算5勝目。<br>馬場水分1.1%で勝ち時計は1分21秒0。障害一腰から下りても歩いたウンカイダイマオー(牡2、松田)が2着、ゴール前で詰まりながらもアバシリタカラコマ(牡2、金田)が3着に続き、ナナカマド賞の勝ち馬キョウエイエース(牡2、村上)は4着。<br><br>ばんえい甲子園の決勝を制したのは、十勝地区代表、幕別町産のスーパーシンでした。<br>レース内容は、もう強いの一言。余裕十分に前で流れに乗って障害すんなり、あとは突き放しての圧勝と、私が語ることは何もないです(^^;<br>しゅんこさんもかなり高く評価して自信を持っているようですが、相当スケールが大きいですね。ナナカマド賞では末に緩んでキョウエイエースに差されましたが、一気に評価が逆転したような気もします。あとはとにかく、順調に成長してくれれば、期待通りの結果がついて来るでしょう。<br><br>ウンカイダイマオーも綺麗に障害一腰、終いに甘くなるのがこれまでの課題で、今回も緩みかけましたが、ひと踏ん張り。恵介がよく我慢させたと思いますが、それだけの力もつけているのでしょう。障害巧者で先々まで楽しめます。<br>アバシリタカラコマは下りから速い脚を使い、一旦は2番手。そこから末に緩むのは、これまでにもあったシーンで、現状の課題ですが、デキは一段階上がってきましたし、経験を積みながら地力を増していくだけです。<br><br>キョウエイエースは障害トップ付け、そこで少しタメるのも、スーパーシンを追いかける形も、想定内だったと思いますが、突き放されて最後はアラアラ。思った以上にトップハンデがこたえた感もありますが、今回は勝ち馬も良過ぎました。<br>デビュー間もなくからスーパーシンと何度もソリを並べていて、最初はスーパーシン優勢、青雲賞とナナカマド賞はキョウエイエースが連勝、産駒特別と今回はスーパーシン。まだまだ続く対戦ですが、今後どのような結末を生むでしょうか。<br><br>シンザンパワー(5着)とアグリホープ(6着)は、ともに末に詰まったとはいえ、中団から障害をまとめて脚を使い、差を詰める場面もありました。現状の完成度では劣りますが、先へつながる内容だったと思います。<br><br>**************<br><br>詳細はまた後日に触れますが、年末の二日間は売上も好調で、特にダービーデーは、1日あたり、1レースあたりの最高発売額を更新するほどで、大きな盛り上がりを見せているばんえい競馬。<br>これで年が明けると、帯広記念と天馬賞があるってんだから、あー忙しい笑<br>というわけで、今回は二本立てでお送りいたしました(^^;</p>
2024.12.30
[12/30 第53回ばんえいダービー(BG1)] 二冠か女王か悲願か復権か 小晦日ダービー!
<p>7月のばんえい大賞典、11月のばんえい菊花賞の勝ち馬はともに順調だが、ここでの逆転を狙う実力馬、急上昇示す伏兵陣も加わり、上位拮抗ムード。もちろん全馬が初めての荷物となるが、時計は出ても決して軽くない馬場、総合力を問われる締まった流れで、ゴール前は手に汗握る攻防。2024年の日本競馬を締め括る年末最大の好カード、世界で最も重みのあるダービーに新たな歴史が刻まれる小晦日決戦。<br><span style="font-size:0.83em;">(定量:730キロ)</span><br><br>大賞典馬<b style="font-weight:bold;">ホクセイハリアー</b>は、菊花賞でも障害トップ抜けからの2着惜敗。末脚強化されて今季素質開花、自己条件の前三走はいずれも着外でも障害は綺麗に越えており、ここも良いデキで臨める。定量変わりでハンデの恩恵はなくなるが、持ち前の登坂力を活かせる増量歓迎、菊花賞同様に厳しい流れに持ち込み、まずは障害勝負、後続の切れ味を封じる形を作りたい。渡来が二冠へ強く出る。<br><br>菊花賞を制した牝馬<b style="font-weight:bold;">スマイルカナ</b>は、特別とオークスも含めれば世代限定戦を3連勝中と、力は本物。自己条件では障害重点に徹しているが、目標へ向けて好仕上げ。この時期の牝馬にとっては過酷な710と増量カギ、障害への意識は強くなりそうだが、近走はカカリが良いし、下りての切れ味で上回り、追い比べでも長く脚を使える。障害を無難にまとめれば、19年ぶりの女王誕生の場面十分。<br><br><b style="font-weight:bold;">ミチシオ</b>は大賞典2着、菊花賞3着と、まだ重賞には手が届いていないが、賞金順位では世代2番手と、実績も力も上位。ややテンの遅さはあるが、今度は中枠でホクセイの隣り。高いレベルで経験を積み、馬体も成長した今なら増量に不安ないし、ハンデを課せられてきた格付上位馬で定量変わりもプラス。湿った馬場ベターでも、一番強い相手と戦ってきたのは本馬、悲願の初重賞で頂点へ。<br><br>昨季のイレネー記念馬<b style="font-weight:bold;">ライジンサン</b>。今季は順調さを欠いていたが、久々だった菊花賞でもハンデ頭ながら見せ場を作っての小差4着。その後は三戦を消化し、馬体増が示すように、今回のほうがはるかにデキが良い。今季前半に使い込めなかったぶん、他馬に比べて成長力で劣るのは否めないが、昨季圧巻の5連勝で頂点に立った2歳シーズン王者が、復権へ向けて態勢を整えつつある。<br><br><b style="font-weight:bold;">ウルトラコタロウ</b>は重賞で3着四回。下りてからジリっぽく決め手に欠け、これまで4勝にとどまるが、登坂力では世代随一で、前走の自己条件は前で下ろして完勝と、デキの良さも目立つ。菊花賞では障害で手間取ったように、世代重賞だと展開がやや窮屈にはなるが、増量歓迎、厳しい流れの中でも少し強気に出たい。他馬が障害で止まった際には流れ込みも可能で、注意必要。<br><br>まだ線の細い<b style="font-weight:bold;">アヤノダイマオー</b>だが、春先よりも障害が良化してきたし、前走のB2特別では終いよく伸びて2着と、680にも対応して確実に地力アップ。馬体に実が入れば出世が見込める好素材、さらに増量となる今回は、前半そう詰めて行けずに、障害重点で後半勝負に構えるだろうが、追って味があり、下りてからは長く良い脚を使える。障害をまとめれば上位進出も可能で。<br><br><b style="font-weight:bold;">ユーフォリア</b>はB3とはいえ3連勝中で、いずれも下りてから力強い末脚を見せる着差以上の完勝。好馬体の持ち主で、もともと将来性は高く評価されていたが、徐々に若さも抜け、本格化気配十分。ここまで世代のトップ級相手には足りておらず、増量もカギだが、6着だった菊花賞後の上昇急で、差は詰まる。本当に良くなるのは来季でも、どこまで食い込めるか注目。<br><br><b style="font-weight:bold;">ホクセイポルシェ</b>は昨季のナナカマド賞の勝ち馬。速い流れを自力先行から押し切った中身は濃く、将来を嘱望されたが、その後は未勝利と大スランプ。自己条件ではある程度動けるようになり、ひと頃より活気が戻ってきた印象はあるものの、菊花賞シンガリ負け。このまま終わる馬ではないが、好調馬が揃ったここでは勢いで見劣る。現状では入着あれば上々。<br><br><b style="font-weight:bold;">カフカ</b>は今季[5-7-2-3]、一度も掲示板を外していない上がり馬で、オークスも2着。行きたがる面があり、道中の折り合いには気を使うが、それだけ前向きで力もつけたとプラスに解釈したい。さすがに牡馬相手の重賞では地力で劣るが、障害が安定して荷物には対応可能だし、ジリでも終い歩ける。まだ良化余地が大きく、今後へ向けての経験となるが、ここも善戦可能。<br><br><b style="font-weight:bold;">フレイムファースト</b>は5月に世代特別勝ち、昨季のヤングCSで2着の星もあり、小柄ながらも能力を秘める。ただ、今回は左後肢破行での取消明けで重賞と厳しい条件。大賞典も菊花賞も一腰でまとめているように、障害は巧者の部類だが、まだ末脚が頼りないだけに、さらなる増量は歓迎とは言えず、じっくり構えての後半勝負か。好素材だが本格化手前で、どこまで。</p><p> </p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20241229/12/banei-koyanogo/dc/79/j/o2067244815527011499.jpg"><img alt="" height="497" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20241229/12/banei-koyanogo/dc/79/j/o2067244815527011499.jpg" width="420"></a></p>
2024.12.29
[12/29 第26回ヤングチャンピオンシップ(BG2)] 熱闘甲子園 熱狂のアルプススタンド
<p>産地別の地区予選を突破してきた10頭による、ばんえい甲子園の決勝にして2歳の二冠目。過去の25回では、十勝12勝、釧路6勝、北見3勝、北央3勝、南北海道1勝。各地区のレベル比較が大きなポイントとなるが、今季は例年にも増して十勝上位がはっきり。産駒特別に続いての一騎打ちムードも漂うが、割って入れる馬がいるか、三連系での紛れは起こるか。<br><span style="font-size:0.83em;">(別定:590キロ。収得賞金230万円につき10キロ加増)</span><br><br>ナナカマド賞を制した十勝<b style="font-weight:bold;">キョウエイエース</b>は、予選は2着での突破となったが、あくまで目標は決勝の今回。他馬が緩む中を一頭歩き切ったナナカマド賞の内容優秀で力は一枚上、前走平場も速い流れから抜けて好仕上げ。下との重量差が広がり楽ではないが、追って味があり我慢も利く。二冠へ。<br><br>十勝<b style="font-weight:bold;">スーパーシン</b>はナナカマド賞2着の後、産駒特別も含めキョウエイを封じて連勝。終いフワフワするなど若さは残るが、スピードも登坂力も備えており素質互角。ナナカマド賞では末に緩み、増量がカギとはなるが、体力面より集中力の問題か。ここも10キロもらいで、今度は押し切りたい。<br><br>北見<b style="font-weight:bold;">アバシリタカラコマ</b>はナナカマド賞では障害で苦戦したが、当時は9月に左前肢跛行での除外もあっての良化途上。馬体が増えた予選快勝と、デキに関しては今回のほうが上。道中で急がせると末まで脚が続かず、少しタメたいが、増量で多少なりとも息が入るのは悪くない。ここも圏内。<br><br>北央<b style="font-weight:bold;">シンザンパワー</b>は産駒特別を豪快な差し切り勝ち。障害で苦戦する場面もあるが、下りてからは長く良い脚を使ってよく歩く。上に入ると展開が忙しくなるが、まずは障害重点で、じっくりタメての後半勝負に構えるか。終いがかかる流れになった際には上位食い込みがあっても。<br><br>釧路<b style="font-weight:bold;">ジェイオージョ</b>の産駒特別は、障害トップ抜けからしぶとく歩き勝ち。最後は我慢比べとなる中を止まらなかった点は評価できるが、上に入ったその後の三戦は大敗続きと、対戦比較で劣る。切れ味に欠けるし、相手強化では伸び負けしそう。重賞に入るとどこまで。<br><br>北見<b style="font-weight:bold;">アグリホープ</b>はナナカマド賞で6着。終い突き放されたとはいえ、障害をまとめて脚も使い、決して悪くない内容だった。現状では完成度で劣るが、予選も障害トップ抜けから緩んでおらず、好素材で素質十分。増量もそう不安なく、ハンデ有利。さらに前進可能で上位圏内。<br><br>北央<b style="font-weight:bold;">ウンカイダイマオー</b>はここまで2勝にとどまるとはいえ、障害巧者ぶりは目を引き、将来性十分。下りから速い脚も使えるが、そう長くは続かず、現状では歩き比べになると分が悪い。それでも増量には不安がないだけに、脚の使いどころひとつ。鈴木恵がどう御すか。<br><br>産駒特別では末に詰まった釧路<b style="font-weight:bold;">プロサングエ</b>だが、障害の上がり方良く好素質、ずっと大崩れなく、デキも申し分ない。相手強化で前半の位置取りは後ろとなりそうだが、増量のここでも一腰可能。ナナカマド賞出走馬に力では劣るが、自身スムーズに運べば入着十分。<br><br>南北海道<b style="font-weight:bold;">コウイッテン</b>は、9月のいちい賞で乱れた障害を修正し、産駒特別はトップ抜けから粘って2着確保。その後も障害安定し、確実に成長している。前走も終い詰まったように、相手強化のここで勝ち負けまでは望めないが、増量にも対応可能、先への経験に。<br><br>産駒特別の勝ち馬が回避し、南北海道<b style="font-weight:bold;">ビックコンボ</b>は予選3着からの繰り上がり。新馬戦の勝ちっぷり上々の素質馬、障害は巧者の部類で、切れ味も水準以上。まだ末まで伸び切れずに完成度で劣り、上での経験も少ないが、先々への楽しみが広がる内容を示したい。</p><p> </p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20241229/12/banei-koyanogo/dc/79/j/o2067244815527011499.jpg"><img alt="" contenteditable="inherit" height="497" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20241229/12/banei-koyanogo/dc/79/j/o2067244815527011499.jpg" width="420"></a></p>