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ばんえい競馬士 第001号 コヤノゴー 〈別館〉 - 記事一覧
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2025.06.29
[6/29 第19回柏林賞(BG3)] 激闘みたび 4歳トリプルクラウン
<p>4歳の一冠目。これまでの二季で、ある程度は各馬の特性と力関係が見えつつあるが、まだまだ大きく変わってくる馬もいる時期。二開催前6月2日に行われた世代特別ライラック賞がまずは重要な参考となるが、そこに加わる昨季ダービー馬と、重量関係の微妙な変化をどう見るか。今節も金曜にロータリーが入り、土日は真夏日に達するかというほど気温が上がり、散水があっても力の要る馬場。シーズンが進み、デキ上向きを示す馬も多く、激戦期待。<br><span style="font-size:0.83em;">(別定:オープン=720キロ。A1=710、A2=700、B1・B2=690、B3=680)</span><br><br>ダービー馬<b style="font-weight:bold;">ライジンサン</b>は3月以来で今季初戦となるが、5月中旬の時点で本走路に入れていたと伝わり、調整遅れではなく意図的な選択にも映る。まずは気配注目だが、昨季の菊花賞でも2ヵ月以上間隔が空いていながら小差4着と鉄砲は利く。ただ、やはり使い込んでからのダービーのほうが動いたし、いきなりの重賞でハンデ頭。末まで息が持つかの不安もあり、主力視までは。</p><p><br><b style="font-weight:bold;">スマイルカナ</b>は昨季の菊花賞&オークス馬。オークス後の成績は一歩だが、ハンデと相手関係で慎重に構えざるを得ない状況が続いてのもの。ライラック賞10着では強気になれないが、前走は障害スムーズ、下りてからの速い脚も見せ、確実に状態アップ。ハンデは厳しいが、昨季から世代戦に照準を合わせたレース運び。ここは変わって不思議ない場面で、安易な軽視禁物。<br><br>昨季の大賞典を制した<b style="font-weight:bold;">ホクセイハリアー</b>は、菊花賞でも自力先行からの2着。ダービーでは7着と崩れたとはいえ、やはり世代屈指の実力馬だし、もとより晩成型の評価。今季のデキ良く、下りてのジリっぽさはあるものの以前より我慢が利き、少し渋めの馬場も悪くない。障害巧者で増量歓迎、僅差2着だった前哨戦から重量関係も好転し、自分で流れを作れる。好機の一冠目。<br><br><b style="font-weight:bold;">カフカ</b>は5月のカーネーションCで年長牝馬を破って重賞初制覇。ハンデと展開に恵まれたのはたしかでも、下りてから長く脚を使える強みを活かしたもので成長一途、ライラック賞を制して臨む今回も堂々の主役候補。増量となるだけに障害下で折り合いを欠きたくはないが、今はそう不安なく障害安定、前哨戦より10キロ積む立場になっても充実度で上回る。引き続き好勝負。<br><br><b style="font-weight:bold;">ウルトラコタロウ</b>はここまで重賞で3着六回。とりわけ昨季ダービーおよびポプラ賞が好内容で、重賞に手が届くレベルに達している。今季は障害で苦しんでいたが、前走は少しタメたとはいえスムーズに一腰と、ようやく良化を示して目標に間に合った。本来は登坂力随一の存在だし、昨季後半から末脚の強化も見られ、晩成型が本格化気配十分。まだ上積みも見込め、小差。<br><br><b style="font-weight:bold;">ショータイム</b>はライラック賞で僅差の3着。障害を一腰でまとめると、終いは良い脚を長く使って追い上げる好内容で、デキの良さが目立つ。B2勢は前哨戦より10キロ課せられる点がカギとはなるが、少しタメたいタイプだけに、流れが落ち着くのは悪くない。ここも後半勝負に構えるだろうが、追って味があり、展開次第では再度の上位進出も可能で。<br><br>ライラック賞4着の<b style="font-weight:bold;">フレイムファースト</b>は、障害も安定しており今季好調。2歳時のヤングCSで2着、昨季には世代特別勝ちもあり、素質では決して引けを取らない。まだ本格化手前の印象で、現時点では増量歓迎と言えず、前半から強気には行かないだろうが、スムーズに後半につなげられれば善戦可能。実が入れば化ける可能性も秘め、注目の今季。<br><br><b style="font-weight:bold;">ユーフォリア</b>は馬体の良さが目に付くし、追い比べから抜けた前走の内容も良くデキ上々。素質は秘め、今後の成長期待だが、現時点ではショータイムとの対戦比較でも見劣るし、世代一線級に入ると少し足りない力関係。5着だったライラック賞の内容は悪くないが、追い比べで置かれ、まだ上位勢との差はある。重賞では入着級か。<br><br><b style="font-weight:bold;">アヤノダイマオー</b>は徐々に馬体も増えて成長十分だが、重賞では障害で止まる場面も多く、増量歓迎とは言えない。ライラック賞で止まった後の前走で即修正はしたが、690となる今回は障害に重点を置かざるを得ないか。手替わり魅力、下りてからは脚を使えるだけに、まずは障害をまとめて後半につなげたいが、ここで入着以上となると。<br><br><b style="font-weight:bold;">ホクセイポルシェ</b>は2歳時に世代最初の重賞ナナカマド賞勝ち。その後は不振に陥っていたが、四走前に久々の勝利を挙げるなど、活気を取り戻しつつある。ただ、昨季の菊花賞もダービーもシンガリ負けと成長力で劣るし、下りてからの脚も物足りない。最軽量とはいえ、どこまで食い下がれるか。</p><p><br><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20250629/09/banei-koyanogo/5b/ed/j/o1145359015625235587.jpg"><img alt="" contenteditable="inherit" height="690" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20250629/09/banei-koyanogo/5b/ed/j/o1145359015625235587.jpg" width="220"></a></p>
2025.06.22
第5回開催(6/7~6/16)回顧 素質秘める2歳が続々登場/白眉はキングウンカイ
<p>6月7日のジュノー特別(A2混合)は、B1格付の<b style="font-weight:bold;">トワイチロ</b>(セン6、金山)が第二障害天板でヒザをつく場面こそあったものの、すぐに立て直すと下りてから後続を引き離す完勝で、年度を跨いでの5連勝とした。2023年10月から一年以上の休養を挟んだがパンとして本格化、スピード上位で今の軽い馬場も合っているし、昇級しても見劣らない。<br>2着もB1格付の<b style="font-weight:bold;">キョウエイリュウ</b>(牡8、村上)。重賞5勝は過去のものとしても、現級では力上位たしか。今回は勝ち馬が動き過ぎたが、自身もスムーズな競馬はしておりデキ安定、引き続き勝ち負けに。<br><br>9日のシルバーカップ(オープン・A1混合)は、<b style="font-weight:bold;">オーシャンウイナー</b>(牡7、中島)が好位から綺麗に抜けて快勝。使い出しの二戦は障害でモタついていたが、もう不安ないし、二番手グループなら力上位。あとは重賞でどこまで戦えるかが焦点となるシーズン。<br>2着<b style="font-weight:bold;">ヤマカツエース</b>(牡6、金田)は天板でしっかり腰が入り、相変わらず障害は安定しているし、終いもよく我慢。開催二度使いとなった後節の北斗賞でも障害は一腰で越えたように、地力強化たしか。一枚落ちの相手ならいつでも勝ち負け。<br>3着<b style="font-weight:bold;">カイセドクター</b>(牡8、坂本)は、もともと最外枠に入るとテンの行き脚がつかない傾向にあるが、ここも後方から。それでも道中でうまく押し上げ、下りてからは長く良い脚。格下相手の前二走は速い時計で連勝したが、本来は落ち着いた流れを好む。<br>8着<b style="font-weight:bold;">スマイルカナ</b>(牝4、鈴木)は今回も後方からだったが、障害をスムーズにまとめると終いは良い伸び脚。前走も今回も着順ほど内容は悪くなく、デキは確実に上向いている。次開催6月29日の柏林賞もハンデが楽ではないが、変わり身を望める。<br><br>後節14日の2R(2歳新馬)は、障害を2番手で下った<b style="font-weight:bold;">ヒゴサクラ</b>(牝2、金田)が末までしっかりした脚色で歩き切りデビュー勝ち。道中は金田利貴がなだめながら進め、まだまだ若さが目立つが好素質。<br>3着<b style="font-weight:bold;">キタノレンザン</b>(牡2、槻舘)は障害すんなり、下りからも速い脚を見せた。残り10mから苦しくなり詰まったが、こちらも好素材で将来性は十分。<br><br>3R(2歳新馬)は<b style="font-weight:bold;">ツガルミサキ</b>(牡2、長部)が終いのかかる流れの中で歩き勝ち。2分10秒1と時計平凡とはいえ、我慢比べを制した。最外枠もあってかテンはフワフワしていたが、中枠ならもう少し行き脚がつくか。<br><br>4R(2歳新馬)は<b style="font-weight:bold;">ザッチカラ</b>(牡2、小北)が障害トップ抜けから終い突き放して押し切り。赤磨秀人氏所有・金福畜産生産と、いかにも小北厩舎らしいが、競走馬時代に管理していた新種雄馬イノリノチカラ産駒。<br><br>6R(2歳受賞-1)は<b style="font-weight:bold;">ホクセイイワキヤマ</b>(牡2、坂本)が障害すんなり、下りから速い脚を使い、末まで緩まず快勝。新馬戦の時にも書いたが、障害の上がり方が良く、先々まで期待できる。<br>2着<b style="font-weight:bold;">ジェイノホマレ</b>(牝2、坂本)も追い比べで最後劣ったとはいえ好素質。今季の坂本厩舎は粒ぞろい。<br><br>メインのムーンストーン特別(B1-1・2決勝)は、後方待機の<b style="font-weight:bold;">マサタカラ</b>(牡7、金田)が終い突き抜けて3連勝。ここは勝ち得の一戦だったが、もともと目立つ末脚に加え、今季は課題の障害もまとめており本格化。再昇級で流れへの対応がカギとはなるが、今の勢いなら。<br>2着<b style="font-weight:bold;">タイタス</b>(牡6、金山)は特別変わりでも切れ味を活かし、末までしっかり。軽めの馬場も合ったが、デキの良さが目立つ。<br>3着<b style="font-weight:bold;">キタノミネ</b>(牡5、槻舘)は障害巧者らしくトップ抜け、切れ味で劣ったとはいえ、末までしぶとく歩いて好内容。相手強化の5歳シーズン、勝ち味の遅さはあるが、自慢の登坂力が活きてくるのはこれから。<br>4着<b style="font-weight:bold;">リュウセイペガサス</b>(牡8、久田)は、テンの遅さはもう仕方ないにせよ、だいぶ素軽さが戻ってきたし、確実にデキ上向き。<br>5着<b style="font-weight:bold;">ホクセイハリアー</b>(牡4、金山)は障害スムーズ、終いもよく歩き、上々の内容。次開催の柏林賞へ向け態勢整う。<br>10着<b style="font-weight:bold;">マルモタイショウ</b>(牡7、森)は障害で苦戦。これまで何度も特別勝ちがあるとはいえ、ベストは軽馬場の平場で、特別だと安定感に欠けて扱いが難しい。<br><br>15日の2R(2歳新馬)は、<b style="font-weight:bold;">フェアリーマーチ</b>(牝2、坂本)が障害トップ付けからトップ抜け、末まで緩まず押し切り。能検も含めて、そう切れる印象はなく、早い時期は切れ負けすることもあるだろうが、積んでから良さが出そう。能検の公式配信で解説者も触れていたが、三代母の父がアングロアラブのローゼンホーマ、さらに牝系を遡ると、テスコボーイやシンザンといったサラブレッドの名前も出てくる。<br><br>3R(2歳新馬)は<b style="font-weight:bold;">ホクセイタケコ</b>(牝2、平田)が障害を下りてから抜けてデビュー勝ち。抜けた後に少しフワッとする面は見られたが、末までしっかりとした脚取り。平田厩舎が新馬戦で鈴木恵介を配すのは珍しいが、黒ユリ賞馬ピュアリーナナセの半妹、それだけ期待も大きいのだろう。<br><br>4R(2歳新馬)は<b style="font-weight:bold;">キングウンカイ</b>(牡2、松井)が障害を先頭で下ると、あっという間に後続を突き放して圧勝。能検は障害で手間取り、下りても切れ味が続かなかったが、スケールアップし、ここまでの新馬戦では抜けて一番の勝ちっぷり。1分37秒2と時計も優秀で、大物の予感が漂う。<br><br>5R(2歳新馬)は離れた3番手で障害を下った<b style="font-weight:bold;">フェスタクィーン</b>(牝2、小北)が切れ味を見せて鮮やかな差し切り勝ち。ヒロインズカップ馬クインフェスタの仔、すなわちコマサンエースとキングフェスタの半妹だが、本馬も素質を秘める。今後も注目。<br><br>16日の2R(2歳新馬)は<b style="font-weight:bold;">ジェイノヒメ</b>(牝2、金山)が障害下りからスパッと切れて快勝。第4回能検でも一気に突き放す速い脚を見せていたし、全兄ジェイヒーローとは違い、切れを活かすタイプに成長するか。末もまだ余裕があり、今後が楽しみ。<br><br>3R(2歳新馬)は障害下でタメた<b style="font-weight:bold;">ホクセイキレイズキ</b>(牝2、金山)が天板で腰が入りトップ抜けをはたすと、終い二度詰まりながらも押し切り。ただ、2分17秒2と時計平凡で、相手強化では少し苦労するかもしれない。<br><br>4R(2歳新馬)は離れた3番手で障害を下った<b style="font-weight:bold;">マイトレジャー</b>(牡2、金田)が長く良い脚を使い、競り合いを制した。上にアバシリサクラ(半姉)とアバシリタカラコマ(全兄)、父トレジャーハンターという厩舎ゆかりの血統、どのように育つか。<br><br>昨季の勝利数上位馬による第16回ゴールドトロフィー(選抜)は、<b style="font-weight:bold;">ローランド</b>(牡5、槻舘)が接戦を制した。一昨季に喘鳴症の治療を行ったと伝わるが、昨季終盤には世代特別で2勝を挙げるなど、素質馬が軌道に乗った。相手強化の5歳シーズン、これで昇級ともなり、ここから先は楽ではないが、まだまだ伸びしろたっぷり。<br>2着はB3格付の<b style="font-weight:bold;">スカーレット</b>(牝4、大橋)。前走は速い流れの中、最外枠もあってか集中力を欠き競馬にならなかったが、ここはハンデをもらっていたとはいえ下りてからよく歩き好内容。馬体も増えて昨季後半から充実、先には世代牝馬重賞への挑戦も視野に入る。<br><br><br>とっくに開催が移っているのですが、私の覚え書きの公開とお受け取りください(^^;<br>さて、第6回開催の後節6月29日(日)には、4歳一冠目の<u style="text-decoration:underline;">第19回柏林賞(BG3)</u>が行われます。6月2日に行われた世代特別=ライラック賞がまずは重要な参考となりますが、今季初戦となる昨季ダービー馬ライジンサンが加わり、さらにハンデもあって興味深い一戦です。<br>また、8月10日に行われる第37回ばんえいグランプリのファン投票もすでに始まっておりますので、こちらもぜひともご参加ください。<br>それでは引き続きお楽しみに<img alt="ラブラブ" draggable="false" height="16" src="https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/035.gif" width="16"></p>
2025.06.21
充実の9歳、コマサンエースが重賞連勝! 〈第33回北斗賞(BG3)〉
<p>6月15日(日)に行われた古馬重賞の第33回北斗賞(BG3)は、道中先行した<b style="font-weight:bold;">コマサンエース</b>(牡9、金田)が障害を下りてから力強い脚で抜け出し快勝。5月のばんえい十勝オッズパーク杯に続く重賞2勝目を挙げました。<br>金田利貴騎手は当レース初勝利で重賞通算10勝目。今季重賞3連勝となった金田勇調教師は当レース3勝目で重賞通算42勝目。<br>馬場水分1.1%で勝ち時計は1分48秒5。インビクタ(牡9、松井)が障害トップ抜けから食い下がっての2着、中団から追い上げたクリスタルコルド(牡6、西)が3着に続いています。<br><br>レース直前に霧雨が舞い始めましたが、それより前から、極端に言えば1レースからずいぶんと時計が出ており、水分量表示はともかく、オッズパーク杯(1.7%)の時よりも軽い馬場。その中でコマサンエースがまたも強さを示しました。<br>個人的な話をすると、もちろん今回も首位候補と思いながらも、ハンデを10キロ積む点から、オッズパーク杯より印を下げたのですが、かつての善戦マンのイメージを改めなくてはいけなかったな。<br>内容的にはオッズパーク杯と良い意味で変わりのないもので、ここで特段に強調して語ることはしませんが、利貴騎手のコメントどおりに10キロ積んでも少し引っ張り、押して行って上がる登坂力と下りての粘り強い末脚を存分に活かす見事な勝ちっぷり。悲願の初重賞からの重賞連勝で、9歳にして今が一番強いと言い切っても良いでしょう。<br>二開催後7月13日の旭川記念も、今回と同じ10キロ加増にとどまりますし、基礎重量20キロ増は何もマイナスになりません。V3も十二分に見える充実ぶりです。<br><br>インビクタは高速馬場までいかない軽馬場もマッチし、素軽く前々、障害もすこぶるカカリ良く先に抜け、デキの良さが目立ちます。下りた時点では、コマサンエースに10キロもらいなら、と新は思ったことでしょうし、末まで緩んでいないのですが、今回は勝ち馬が動き過ぎました。<br>それでも、やはり地力があり、一年以上勝ち星がないとはいえ衰えたわけでもない。800キロ台後半以上の荷物になると、いろいろ気を使う面が出てくるのはご存じのとおりですが、それはまだ先の話ですし、引き続き存在感を示してくれることでしょう。<br><br>クリスタルコルドはタメつつ中団からでしたが、行きっぷりも良くなり、やはり明らかに上向いています。障害の腰の入り良く、終いは長く脚を使って追い上げました。<br>今季ここまでが案外で、今回は人気薄でしたが、昨季に重賞連勝した力は本物ですし、本質的には積んでこそ終いがかかってこその馬。昨季は自重した帯広記念およびばんえい記念も、今季は使ってくるのではないかと思いますが、そこでの勝ち負けも望めるほどと私は期待しています。<br>意外と地味?に映るかもしれませんが、これからまだまだ良くなりますよ。今後も注目です。<br><br>キングフェスタ(4着)はダッシュ良く飛び出したものの、道中でタメて後方に構え、障害下でもじっくりと待ちましたが、天板でストップ。恵介がヒザを折らせませんでしたが、三腰ほどを要しました。<br>障害を越えたのは、前が残り20mに達するかの時点。そこから一気に、3着に届くかの勢いで差し込んできた切れ味は、本当に素晴らしい。間違いなく現役一番ですし、競技史上でも有数のものと思います。<br>ただ、それは決して古馬重賞で求められるものではないんよなあ。<br>4歳後半から顔をのぞかせていた障害の甘さが、古馬になってから、特に重賞ではより目立つようになり、速くなると厳しい、積んでも厳しい。<br>4歳三冠を含む世代重賞8勝の実績はあっても、1着という意味に限れば特別までの馬、それが現状の評価です。特別では前走のような鮮やか一閃を見せてくれる場面が今後もあるでしょうけど。<br><br>コウテイ(5着)は戦前に個人的本命としていたのですが、当日の平場のレースを見ている段階で、間違ったな、と思いました(^^;<br>道中で押し上げて登坂力で勝負したい馬が、前に引っ張られる展開では良さが出ません。行きっぷり自体ももうひとつだったのは、結果論的に言えば最外枠の影響も多少あったかもしれませんが、障害はいつものように一腰で、離されたとはいえ5着なら、今回のところはまずまずと言って良いでしょう。道中落ち着く流れになれば巻き返しです。<br><br>マルホンリョウユウ(6着)を前を見ながらついていき、障害も天板でしっかり我慢して一腰、終いもよく歩いて内容十分。今季まだ四戦しただけですが、厩舎頭のバトンを引き継ぐための準備段階として、ここまでは本当に良いシーズンとなっています。<br>タカラキングダム(8着)はスタート直後にササり気味になりながらもそう置かれず、心路が刻まず行かせて障害にトップ付けするほど。障害巧者の上位2頭と同じペースでは、障害で止まったのも致し方ありませんが、馬場に合わせにいったのか、止まって二腰でも間に合うようにあえて先に出したのか。そのあたりは想像するしかないのですけど、結果だけ見ると大きく後れを取りました。<br>それでも動きは素軽くなっていますし、心路も徐々に感覚をつかんでくるはずです。昨季の4歳三冠はすべて速い時計で制しましたが、本来は少しタメられる流れのほうが良いでしょう。荷物自体は、少なくとも800キロ台前半くらいまでは問題ないと思いますので、引き続き注目です。<br>リョウユウとも共通しますが、旭川記念が行われる開催には5歳牡馬限定特別=瑞鳳賞も組まれており、どちらを選択するかも興味深いところです。<br><br><br>馬インフルエンザの発生により、本来は4月27日に予定されていたオッズパーク杯が、5月18日へ日程変更したうえで行われましたが、それに伴い、始まったと思ったらバタバタバタとシーズンが進んでいる印象で、ちょっと焦ってもおります(^^;<br>これは8月のグランプリまで、あっという間だな笑<br><br>北海道も気温30℃に達する日が見られるようになりましたが、夏本番は、これから。<br>ばんえいの夏、ぜひともお楽しみください。</p><p> </p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20250621/00/banei-koyanogo/4f/35/j/o1992293715620375605.jpg"><img alt="" contenteditable="inherit" height="590" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20250621/00/banei-koyanogo/4f/35/j/o1992293715620375605.jpg" width="400"></a></p>
2025.06.15
[6/15 第33回北斗賞(BG3)] 開戦、ばんえい夏の陣
<p>馬インフルエンザ発生に伴う日程変更で、今季は5月18日に行われたばんえい十勝オッズパーク杯から一開催を挟んだのみで迎える古馬根幹重賞の嚆矢。乾いていても存外に時計の出る馬場だが、基礎重量が一気に50キロ増える点が大きなカギに。お馴染みのビッグネーム、今季さらなる飛躍を誓う6歳、さらには5歳と牝馬も加わっての好カードだが、各馬のデキもそろそろ整ってくるころで上位拮抗。ここから8月下旬のはまなす賞まで、古馬重賞と世代重賞が交互に連なる “ばんえい夏の陣”。激戦の火蓋が切られる。<br><span style="font-size:0.83em;">(別定:770キロ。本年度収得賞金250万円につき10キロ加増)</span><br><br><b style="font-weight:bold;">コマサンエース</b>はオッズP杯で悲願の重賞初制覇。障害を下りてからの追い比べで一頭抜けた勝ちっぷりは強いの一言で、9歳にして完成期を迎えた印象。今回は10キロ積む立場、反応が良い馬ではないだけに要所要所で窮屈となる恐れもはらむが、ここも金田利が自信を持って臨む。道中の捌きがカギとはなるが、増量自体は悪くないし、今の充実ぶりなら克服も可能で。<br><br>オッズP杯2着の<b style="font-weight:bold;">コウテイ</b>。軽荷の軽馬場と、決して適した条件ではなかったが、道中で押し上げ2着を確保したのが地力強化の証し。770でもまだ軽いくらいだが、現役随一の登坂力を活かせる増量歓迎、流れが落ち着けば位置も取りやすい。雨馬場の特別で後手に回った前走はあくまでステップ、叩き良化型でデキ上昇を見込めるし、昨季後半から末脚強化も目立つ。ここ好機。<br><br><b style="font-weight:bold;">インビクタ</b>はオッズP杯3着、前走も切れ負けしたとはいえ特別2着とデキ良く、やはり春先は動く。昨季の当レースではハイペースの中で障害トップ抜けから2着など、増量も770なら問題ないし、今回も前で流れに乗れるか。稍軽ベターでも、前で下ろせばしぶとく我慢の利く荷物、島津が仕掛けのタイミングを見極める。実績も地力も上位の存在で、引き続き好勝負。<br><br>昨年の覇者<b style="font-weight:bold;">クリスタルコルド</b>。オッズP杯は障害で止まったが、前走の特別では後方からとはいえ一腰と、馬体も戻り上昇気配に転じてきた。積んで良いタイプで、先の高重量戦でも期待が高まる今季。道中どこまで位置を取れるかがカギとはなるが、下りてから長く脚を使えるだけに、終いのかかる流れになった際には浮上可能。オッズP杯の時とはデキが違い、一変警戒。<br><br><b style="font-weight:bold;">キングフェスタ</b>は一昨季の4歳三冠馬だが、過去の三冠馬と違い、5歳シーズンでの重賞制覇は叶わず。今季が勝負となるが、前走は障害を下ってから切れに切れ、鮮やかな後方一気。今回は増量に加えて前の組に障害巧者が揃い、B2格付馬が先行した前走とは異なる厳しい流れ、まずは障害で甘さを出したくない。切れ上位でも末まで脚が続かない面もあり、真価問われる場。<br><br>5歳<b style="font-weight:bold;">タカラキングダム</b>は昨季の4歳三冠馬。前走の特別では障害でヒザを折ったが、カカリが良くなってきた証拠でもあり、確実に上向き。テンが速くなく、前半の入りもカギとなるが、渡来も感触をつかみつつあるし、障害を下りてからは速い脚が長く続き、平らな所で曳く力は歴代でも上位級。増量も決して悪くなく、二腰で間に合う。まとめて面倒見るシーン十分。<br><br><b style="font-weight:bold;">ツガルノヒロイモノ</b>の前走は、障害番手抜けから速い脚を使って先頭に立つと、いっぱいいっぱい押し切り。ここまでの勝ち星の大半は、軽馬場かつ終いの速い展開になった際でライトな競馬が合うタイプ、積んで厳しい流れになる重賞でどうかだが、昨季は特別5勝を挙げるなど、確実に成長。末のひと押しの課題は残るが、根幹重賞に挑むシーズンで試金石。<br><br><b style="font-weight:bold;">ヤマカツエース</b>は繰り上がりの出走。昨季の重賞では歯が立たなかったが、線の細かった馬体も増え、上で揉まれた経験を糧にして実が入った。それでも相手が強い今回は展開面で窮屈とならざるを得ないが、障害巧者で770でも対応可能。現段階でどこまで食い下がれるかだが、本格化気配十分で、昨季より成長した姿を示したい。<br><br>5歳<b style="font-weight:bold;">マルホンリョウユウ</b>は、相手が強化された今季も障害を前めで下ろす形を作れており、デキ上々。下りてから伸び負けするあたりが現状の地力の差だが、まだ結果よりも経験重視の段階で、本当に良くなるのはこれから。積むのは自身悪くないし、高いレベルでの厳しい競馬は先へつながる。ここも挑戦者らしく積極策で。<br><br>牝馬<b style="font-weight:bold;">サクラヒメ</b>は、前走の限定重賞では雨馬場の速い流れとハンデ頭で乱れたが、セックスアローワンスとはいえ他馬より軽い今回は競馬がしやすく、今井千も普段と近い感覚で運べる。相手強化で、そう強気には出て行かないだろうが、750なら対応できる範囲内だし、タメて差す形でも終い伸びる。デキ上昇も見込め、今回のほうが怖い。</p><p> </p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20250615/09/banei-koyanogo/f3/43/j/o1309400015617118170.jpg"><img alt="" contenteditable="inherit" height="672" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20250615/09/banei-koyanogo/f3/43/j/o1309400015617118170.jpg" width="220"></a></p>
2025.06.11
スターイチバン、大賞典へ前進 〈第19回とかちダービー〉
<p>6月8日(日)に行われた3歳限定特別の第19回とかちダービーは、好位から第二障害を先頭で下った<b style="font-weight:bold;">スターイチバン</b>(牡3、坂本)が終い後続を突き放して快勝。今季4勝目、通算9勝目を挙げ、7月20日に控えるばんえい大賞典に弾みをつけました。<br>馬場水分1.2%で勝ち時計は1分42秒7。第二障害を番手で下ったココロノニダイメ(牡3、槻舘)が流れ込んでの2着、中団から脚を伸ばしたイレネー記念馬キョウエイエース(牡3、村上)は3着まで。<br><br>ここは1番人気にも推されていましたが、スターイチバン、良い勝ちっぷりでした。<br>行きつつタメつつ好位追走、障害はじつにスムーズ、終いもしっかり歩いて2着以下に約8秒差と文句なし。昨季の第1回能検の一番時計馬でありますが、素質どおり、期待どおりの成長を示しています。<br>早くから大きかった馬体がさらに増えて1100キロ台にも乗り、私は三走前に本場でパドックから見ていましたが、(結果は4着だったとはいえ)年長馬に負けないほどの悠々とした姿で周回していました。<br>今回の勝利でB2へ昇級、すなわち大賞典ではキョウエイエースとの差が20キロに縮まり、他馬には10キロ与える立場となりますが、障害はすこぶる安定しており、基礎重量の増加も含めてさして問題になるとは思えない充実ぶり。キョウエイエースと、今回はいなかったスーパーシンを封じた翔雲賞の再現を、7月20日にも望めるのではないかと思います。<br><br>ココロノニダイメは障害一腰、終いも歩いており、内容は不満のないものでしたが、勝ち馬より先に脚色が鈍りました。こちらはまだ線が細く映るくらいですが、それでも今季は非常に好調で成長も感じます。本番で今回の勝ち馬にもらえる10キロをどう活かせるかでしょう。<br>キョウエイエースは少し慎重に運ばれましたが、下ってからはしっかりとした脚色。今季はハンデ面で本当に大変な立場なのですけど、ここはあくまでステップとして大過なくまとめました。無理をいとわない大賞典では、スターイチバンとは10キロ縮まりますし、厳しいのはたしかでも、決して克服が不可能なものではない、との思いも抱いたのではないでしょうか。<br><br>ホクセイテンリュウ(4着)は前付けから障害一腰も、終い詰まり、現状では上とはっきり差があります。それでも将来性では見劣りませんし、今は軽馬場の助けがほしい段階ですが、今季良くなりますよ、この馬は。<br>ホクセイヒラリ(5着)は自己のリズム重視で後方からでしたが、障害を修正できた点がまず好感。牡馬も交えたトップ級相手でどうこうなるとは思えませんが、順調に使えていれば11月末のオークスが見えてきます。それくらいの意識でしょう。<br>アバシリタカラコマ(6着)は障害でヒザがグラついて後れを取りました。荷が増していく今季は、飛び付くのではなく常歩<span style="font-size:0.83em;">(なみあし</span>)に近い形でカカることも求められますが、馬体の成長も含めてこれからです。<br>アルイテイコウ(7着)は障害でストップ。相手強化と増量のぶんで、まだ正攻法では厳しい力関係。切れ上位で将来性も十分ですが、現時点では上に入ると後半勝負で展開の味方待ちが現実的でしょうか。<br>ウンカイダイマオー(8着)も障害で苦戦。昨季の重賞で2着が二度ありますが、いずれも一腰から後半につなげたもので、本来は優位に立つべき障害で後れを取っていては勝負になりません。デキ不満ですが、馬体増に転じたのはプラスと見て良く、本番までの一戦もしくは二戦でどれだけ上積みを示せるか注視します。<br><br><br>今回の上位馬3頭プラス前開催から復帰したスーパーシンが、まずは核となりそうなばんえい大賞典ですが、ここから間に二開催挟みます。<br>短期間での成長と変わり身が大きいのが、この時期の3歳でもありますし、馬インフルエンザの影響で助走期間が各馬異なる今季は、なおさらでしょう。次の一戦二戦も重要になりますが、7月20日のばんえい大賞典、ぜひともご期待ください。</p>
2025.06.08
[6/8 第19回とかちダービー 3歳] 大賞典トライアル
<p>三開催後7月20日に行われる3歳一冠目=ばんえい大賞典の前哨戦となる世代限定特別。過去10年の勝ち馬のうち7頭がその後に重賞を制しているように、本番あるいは先々へつながる傾向。まずは昨季の重賞勝ち馬に注目だが、格付差が大きく、それに伴ってのハンデもあって波乱十分。主役候補へ名乗りを上げるのは。<br><span style="font-size:0.83em;">(別定:オープン=680キロ。A1=670、A2=660、B1・B2=650、B3・B4=640、C1=630)</span><br><br><b style="font-weight:bold;">キョウエイエース</b>が制したイレネー記念は、時計も優秀で中身の濃いもの。今季も骨っぽい古馬相手に前走2着など伍して戦っており、同世代同士では力は一枚上。問題はハンデで、下に30キロ以上与えるだけにやはり楽ではなく、また無理をする場面でもないが、大賞典でも同様の重量関係となるだけに力を示したい。<br><br>翔雲賞馬<b style="font-weight:bold;">スターイチバン</b>は今季4戦3勝。正攻法から抜け出す勝ちっぷり良く、さらに地力を増し、馬体も目立つ。障害巧者で増量も歓迎だし、キョウエイに30キロもらいは、自力先行から押し切った翔雲賞よりも大きくハンデ有利。昇級が目前に迫る賞金状況だが、本番で20キロ差あれば十分だけに緩めず、3連勝へ。<br><br>牝馬限定の黒ユリ賞を制した<b style="font-weight:bold;">ホクセイヒラリ</b>は、本来は登坂力と粘り強さが武器だが、前二走は障害でヒザを折るなど、良さを出せていない。下りてから速い脚を使えないだけに、まずは障害修正が喫緊の課題。好調馬が揃ったここで勝ち負けまでは望めないが、早いうちに自身のリズムは取り戻しておきたい。<br><br>今季4戦4勝の<b style="font-weight:bold;">ココロノニダイメ</b>。翔雲賞2着の星もあり、昨季から素質を示していたが、障害安定、終いもよく歩く。まだ線は細く映るが、徐々に実が入りつつあるし、成長たしか。本質的には少しタメたいタイプだが、今季は好位で流れに合わせた競馬ができており、増量も悪くない。引き続き争覇圏で注目。<br><br>同厩<b style="font-weight:bold;">アルイテイコウ</b>は今季2勝、前走も障害トップ抜けから押し切ったように好調で、昨季は世代の一番上に入ると入着止まりの力関係だったが、成長十分。下っての切れ上位でも長く脚が続かない面があり、脚の使いどころは難しいが、初コンビとなる島津はこの手のタイプを御すのが得手だし、ここも上位争い可能。<br><br><b style="font-weight:bold;">ウンカイダイマオー</b>はヤングCSとイレネー記念で2着の実績があり、力互角。今季三戦は物足りないが、休催期間に減らした馬体も戻っておらず、まだ良化途上か。世代随一の障害巧者で、昨季後半は末脚強化も示しており、本来のデキを取り戻せば引けを取らない。上積みは見込め、本番へ向けても気配と内容注目。<br><br><b style="font-weight:bold;">アバシリタカラコマ</b>も馬体を減らして迎えた今季初戦から上向かせている段階だが、確実に内容は良くなっている。イレネー記念でも前付けから障害一腰と登坂力上位で、切れ味も水準以上、ただし世代トップに入ると末まで脚が続かない点がネックに。素質では見劣らないが、追い比べで食い下がりたい今季。<br><br><b style="font-weight:bold;">ホクセイテンリュウ</b>は1分29秒4で抜けた二走前の内容が良く、スピード上位。まだ上とは地力の差があるが、下りてから置かれたイレネー記念でも障害は一腰で越えていたし、素質は秘めており今季注目を要する一頭。今後の成長次第で侮れない存在となり得るが、まずは荷物の軽い時期に目処を立てられるか。</p>
2025.06.07
第4回開催(5/24~6/2)回顧 新馬戦始まる/充実一途カフカ
<p>前開催後節から開催再開となったが、土日月+土日月の通常開催は久々。<span style="font-size:0.7em;">(ということで当記事も(^^;)</span><br>初日5月24日の黒岳特別(B2-1)は、<b style="font-weight:bold;">タイタス</b>(牡6、金山)が好位から抜けて快勝。障害下でひとタメするのはいつものパターンだが、6歳シーズンを迎えて降級、周りが特別実績に乏しい組み合わせで地力が活きた。これでB1へ再昇級するが、馬場が軽くなった際の切れ味も備えており、決して見劣らない。<br><br>25日は細かい雨が降り続き、かなり速い馬場に。第48回大雪賞(オープン・A1混合)は、<b style="font-weight:bold;">ツガルノヒロイモノ</b>(牡6、長部)が障害下りから速い脚を使い抜け出し。末はやや緩んだが、特別条件の軽馬場なら崩れることは少ない。流れは選ぶが、昨季よりも重賞出走が増えるであろう今季、もう一段階上の成長を示せるか。<br>2着<b style="font-weight:bold;">インビクタ</b>(牡9、松井)は、道中で刻まず障害番手付けからすんなり一腰、勝ち馬に切れ味で劣ったが末まで脚色しっかり。もともと春先は動く馬だが、昨季は特別1勝にとどまったとはいえ地力はやはりあり、次開催6月15日の北斗賞でも上位圏内。<br>3着<b style="font-weight:bold;">オーシャンウイナー</b>(牡7、中島)は第一障害を先頭で下りたが、道中で二度刻んで少しタメ気味。前走乱れた障害をスムーズに越え、終いも歩き、内容十分。<br>4着<b style="font-weight:bold;">コマサンエース</b>(牡9、金田)と5着<b style="font-weight:bold;">コウテイ</b>(牡8、槻舘)は他馬が速い脚を使う展開だと切れ負けするが、ともに特別より重賞勝負の意識と立場。大過なく動いており、北斗賞へ向け順調。<br>6着<b style="font-weight:bold;">クリスタルコルド</b>(牡6、西)は障害下でじっくり構え、スムーズに一腰。馬体増も好感で、ここから上昇に転じそう。昨年制した北斗賞で変わり身あるか。</p><p> </p><p>26日も小雨が降る時間があり、引き続き軽馬場。メインの地上最強ばん馬刃牙記念ッッ(A2混合)は、道中3番手で運んだ<b style="font-weight:bold;">カイセドクター</b>(牡8、坂本)が障害トップ抜けから突き放す快勝。決して速い馬場を好むタイプではないが、逃げ馬について行きながらも一度刻んだ藤本匠の感覚もピタリ、昨季から2クラス下がった現級で特別連勝。これでA1へ再昇級となるが、もともとの実績上位で。<br>2着<b style="font-weight:bold;">キョウエイエース</b>(牡3、村上)は道中で二度刻んだが、年度替わりでいきなり強くなった相手関係を考慮し菊池一樹が慎重に運ぶ中でも、障害一腰から切れ味を見せ、なんら不満なしの内容。次開催以降に控える世代限定戦ではハンデが大きなカギとはなるが、力はやはり世代トップ。<br>3着<b style="font-weight:bold;">トウケイレーヴ</b>(牡5、金田)は持ち前のスピードを活かして障害トップ付け、一腰で上がる登坂力も上位。楽ではない5歳シーズンだが、それ以上に成長力が上回る。今後も注目。<br><br>後節31日の水無月特別(B1-1混合)は、障害を3番手で下った<b style="font-weight:bold;">トワイチロ</b>(セン6、金山)が切れ味で鮮やかに抜け出し、年度を跨いでの4連勝とした。2023年10月から一年以上の休養を挟んだが、復帰後は10戦7勝の快進撃。過去に世代重賞で2着の星があるが、見るからに線の細かった当時よりもずっと馬体に幅を増し、別馬の感。どこまで上がれるか注目。<br>2着<b style="font-weight:bold;">ネオキングダム</b>(牡7、坂本)は、障害トップ抜けをはたしたものの勝ち馬にあっさり交わされたように、切れ味勝負では分が悪い。それでも現級では力上位、もう少し時計を要したほうが合うのはたしかだが、次走以降も主力級。<br>3着<b style="font-weight:bold;">キョウエイリュウ</b>(牡8、村上)は障害番手抜けから末までしっかり、まったく悪い内容ではなく、次走以降も上位圏内だが、過去の輝かしい実績をそう強調できないのが現状の力関係。<br><br>馬インフルエンザ流行の影響で例年より遅くはなったが、6月1日から新馬戦が始まり、2R(2歳新馬)で一番勝ちを収めたのは<b style="font-weight:bold;">カブトダイヤ</b>(牝2、坂本)。存外人気はなかったが第1回能検で良い動きを見せていたし、競馬にいっても障害スムーズから末しっかりで好素質。<br>2着<b style="font-weight:bold;">ディレクティオ</b>(牡2、長部)は能検の時計上々も、障害でやや手間取った。終いも苦しくなったが、他馬が止まる中で歩き切った点は評価できる。<br>7着<b style="font-weight:bold;">アオノメビウス</b>(牝2、金田)は障害で止まったが、能検でも能力の高さとともに若さを強く見せていたし、まだまだこれから。<br><br>3R(2歳新馬)は<b style="font-weight:bold;">ホクセイイワキヤマ</b>(牡2、坂本)が終い突き放してデビュー勝ち。障害下で渡来心路が我慢させていたが、それだけ手ごたえも良かったのだろう。障害の上がり方が良く、今だけではなく先まで長く楽しめそう。<br><br>10R(B3-1・2決勝)は<b style="font-weight:bold;">スターイチバン</b>(牡3、坂本)が好位から抜け出し、早くも今季3勝目。障害天板近くでやや危なっかしい場面はあったがヒザをつかずに我慢、年長馬の中に入っても馬体の良さは目立ち、デキも上々。次開催6月8日の世代特別とかちダービーから世代一冠目のばんえい大賞典へと進むが、翔雲賞馬が確実に成長を示している。<br><br>メインの第13回スタリオンカップ(選抜)は、道中タメたカネサブラック産駒の<b style="font-weight:bold;">キングフェスタ</b>(牡6、小北)が障害7番手から切れに切れて鮮やかな後方一気。一昨季の4歳三冠馬、やはり能力は高く、切れ味は文句なしに現役一番。あえて言えば切れ過ぎる印象もあり、古馬重賞向きのタイプではないのはたしかだが、荷を積み相手も流れも変わる北斗賞でどのような姿を示せるか注目。<br>2着<b style="font-weight:bold;">タカラキングダム</b>(牡5、村上)は障害天板でヒザをついたが、止まることはままあっても、ヒザを折るのは珍しい馬で、それだけカカリが良くなってきたものと解釈したい。立て直しも早く、確実に上向きを示す内容で、北斗賞で注目を要する。<br>3着<b style="font-weight:bold;">キタノボブサップ</b>(牡8、服部)はハンデを活かすべくの積極策から終いもよく踏ん張り、力を出し切る好内容。相手を選ぶ馬で、時に淡泊な競馬となることも少なくないが、動けるデキにあり。<br>4着<b style="font-weight:bold;">ヤマカツエース</b>(牡6、金田)は障害すんなり、自身は内容的に悪いものではないが、今回は上位二頭がそれ以上に脚を使った。登坂力を活かせる展開になれば即巻き返し。<br>5着<b style="font-weight:bold;">マルホンリョウユウ</b>(牡5、金田)は下りてからの脚で劣ったが、障害を修正してトップ抜け、古馬重賞で勝ち負けできるだけの地力を蓄えていく段階としては不満のない内容。<br><br>2日の2R(2歳新馬)は、能検から目立っていた<b style="font-weight:bold;">ジェイノホマレ</b>(牝2、坂本)と<b style="font-weight:bold;">メイコウブラック</b>(牡2、槻舘)の一騎打ちとなったが、歩き切った前者に軍配が上がり、坂本厩舎は新馬戦3連勝。苦しくなりながらも歩みを止めずに曳き切った点は評価でき、今すぐというよりも、先が楽しみ。</p><p> </p><p>3R(2歳新馬)は<b style="font-weight:bold;">キンノキセキ</b><span style="font-size:0.83em;">(能検受検名:ビッグカイオウ)</span>(牡2、林)が前付けから障害トップ抜けをはたすと、そのまま押し切り。能検でも垣間見られた素質を示した。</p><p>第1回能検の一番時計馬<b style="font-weight:bold;">クリスタルヒリュウ</b>(牡2、西)は障害を下りてから詰まり4着。そこは能検と競馬の違いがあるが、遠くないうちに初勝利の機会は訪れるだろう。<br><br>4R(2歳新馬)は<b style="font-weight:bold;">クリスタルアッシュ</b>(牝2、西)が下りてから後続を突き放す圧勝。クリスタルコルドの全妹でも、能検の内容は目立つものではなく、デビュー戦に赤塚健仁を充てたことからも、陣営に初戦勝ちの意識は薄かったかもしれない。それでも競馬にいっての良さを示し、今後も注目。<br><br>二開催後6月29日に行われる4歳一冠目=柏林賞の前哨戦、ライラック賞(4歳)は、前々で運んだ<b style="font-weight:bold;">カフカ</b>(牝4、金田)が最後に抜け出し。第二障害下でもうひとタメしたい意識も金田利貴にはあったろうが、馬の行く気に任せて一腰から末まで歩き切った。前走カーネーションカップからの連勝として充実一途、柏林賞でもチャンス十分。<br>2着<b style="font-weight:bold;">ホクセイハリアー</b>(牡4、金山)は先手を取って持ち前の登坂力を発揮、末も決して緩んだわけではない。自分の形を作り好内容、カフカに10キロもらえる柏林賞へ向けて順調そのもの。<br>3着<b style="font-weight:bold;">ショータイム</b>(牡4、大河原)は障害を6番手で下って良い脚。上に入ると少しタメたいタイプだが、下りてからは追って味がありよく伸びる。柏林賞でも展開次第で出番ある。<br>4着<b style="font-weight:bold;">フレイムファースト</b>(牡4、金田)は中団から障害一腰、末はやや緩んだとはいえ脚を使い、内容十分。本格化はまだ先で増量への不安も残るが、重賞でハンデを活かしたい今季。<br>5着<b style="font-weight:bold;">ユーフォリア</b>(牡4、谷)は好位から障害一腰と、自身はよく動いているのだが、それでも入着にとどまるのが現在の力関係か。<br>6着<b style="font-weight:bold;">ウルトラコタロウ</b>(牡4、槻舘)は障害で手間取り三腰を要した。昨季後半から末脚強化を示し、重賞に手が届くだけの地力はついているが、まずは障害で優位に立ちたいタイプで、一腰で越えてこそ。<br>7着<b style="font-weight:bold;">アヤノダイマオー</b>(牡4、大友)は障害でストップ。大友一馬の技量もあるが、荷が張ると障害で乱れる場面が依然として目立ち、本番への不安が残る。<br>10着<b style="font-weight:bold;">スマイルカナ</b>(牝4、鈴木)は、今季はハンデが厳しく難しい競馬を強いられるが、その中でも障害は一腰で越えており、自身上向いてはいる。柏林賞での前進は可能。<br><br><br>馬インフルエンザによる開催中止もあり、季節感がいくらかズレている面は正直あるのですが、新馬戦も始まりましたし、もう通常モードに戻らなくてはいけませんね(^^;<br>次開催6月8日(日)には、3歳一冠目であるばんえい大賞典の前哨戦、<u style="text-decoration:underline;">第19回とかちダービー</u>が行われます。ハンデも重要となる世代戦、本番へ向けて注目の一戦です。<br>そして後節の6月15日(日)には、古馬重賞の<u style="text-decoration:underline;">第33回北斗賞(BG3)</u>が組まれています。すでに発表されている編成馬のすべてが出てくるかとなると不透明な部分もありますが、7月の旭川記念、8月のばんえいグランプリへと続く、“ばんえい夏の陣”。トップ級の大激戦が見られるでしょう。<br><span style="font-size:0.7em;">(もう土曜ですが)</span>それでは次開催もお楽しみに<img alt="ラブラブ" draggable="false" height="16" src="https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/035.gif" width="16"></p>
2025.06.01
コマサンエース、堂々の初重賞!〈第19回ばんえい十勝オッズパーク杯(BG2)〉
<p>5月18日(日)に行われた第19回ばんえい十勝オッズパーク杯(BG2)は、第二障害を3番手で下った<b style="font-weight:bold;">コマサンエース</b>(牡9、金田)が力強い脚で抜け出し、重賞初制覇を挙げました。<br>金田利貴騎手は当レース初勝利で重賞通算9勝目。二夜連続の重賞勝利となった金田勇調教師は当レース3勝目で重賞通算41勝目。<br>馬場水分1.7%で勝ち時計は1分42秒7。接戦の2着争いは障害トップ抜けからしぶとく歩いたコウテイ(牡8、槻舘)が制し、インビクタ(牡9、松井)が3着に続いています。<br><br>ついにタイトルを手にしたコマサンエースですが、完勝と言える見事な内容でした。<br>今季初戦の特別を制し、初重賞への機運が高まったところで開催中止を挟みましたが、好仕上がりと映りましたし、利貴騎手も本当に自信を持っているように思います。テンにモタつくことなく好位の一角で進め、障害すんなり、下りての競り合いからグイッとソリ二つ抜けた勝ちっぷりも文句なし。強いですねえ。<br>ここが18度目の重賞出走でしたが、振り返ると重賞初挑戦は4歳シーズン二冠目の銀河賞。つまりはそこまで世代のトップ10に入れなかったわけですが、年長馬の胸を借りつつ力をつけ、昨季のばんえい記念で2着となるなど、いまや東の大関と言って良いほどに成長しました。<br>待ちながら鍛えながら大きく育てる金田厩舎、看板馬のアオノブラックは昨季に引退しましたが、現在は同じ世代の本馬がリーディングステイブルの厩舎頭です。<br><br>アオノブラックと共通するのは、父がケンジュオーであるということ。<br>ケンジュオーについては、とても丁寧にまとめられているサイトがありますので、まずはそちらをご覧くださいませ。</p><p> </p><div class="ogpCard_root"><article class="ogpCard_wrap" contenteditable="false" style="display:inline-block;max-width:100%"><a class="ogpCard_link" data-ogp-card-log="" href="https://mayusworks.com/2023/11/05/stallions17/" rel="noopener noreferrer" style="display:flex;justify-content:space-between;overflow:hidden;box-sizing:border-box;width:620px;max-width:100%;height:120px;border:1px solid #e2e2e2;border-radius:4px;background-color:#fff;text-decoration:none" target="_blank"><span class="ogpCard_content" style="display:flex;flex-direction:column;overflow:hidden;width:100%;padding:16px"><span class="ogpCard_title" style="-webkit-box-orient:vertical;display:-webkit-box;-webkit-line-clamp:2;max-height:48px;line-height:1.4;font-size:16px;color:#333;text-align:left;font-weight:bold;overflow:hidden">トップホースの父系を追う~アオノブラックのサイアーライン Vol.5~ | MAYU'S WORKS BANEI HORSE</span><span class="ogpCard_description" style="overflow:hidden;text-overflow:ellipsis;white-space:nowrap;line-height:1.6;margin-top:4px;color:#757575;text-align:left;font-size:12px">アオノブラックのサイアーヒストリー最終章です。ケンジュオーの成功には、人の縁と大切にするばん馬の馬産と、北海道の馬文化が深くかかわっています。</span><span class="ogpCard_url" style="display:flex;align-items:center;margin-top:auto"><span class="ogpCard_iconWrap" style="position:relative;width:20px;height:20px;flex-shrink:0"><img alt="リンク" class="ogpCard_icon" height="20" loading="lazy" src="https://c.stat100.ameba.jp/ameblo/symbols/v3.20.0/svg/gray/editor_link.svg" style="position:absolute;top:0;bottom:0;right:0;left:0;height:100%;max-height:100%" width="20"></span><span class="ogpCard_urlText" style="overflow:hidden;text-overflow:ellipsis;white-space:nowrap;color:#757575;font-size:12px;text-align:left">mayusworks.com</span></span></span><span class="ogpCard_imageWrap" style="position:relative;width:120px;height:120px;flex-shrink:0"><img alt="" class="ogpCard_image" data-ogp-card-image="" height="120" loading="lazy" src="https://mayusworks.com/wp-content/uploads/2023/10/taitleaono-1024x554.jpg" style="position:absolute;top:50%;left:50%;object-fit:cover;min-height:100%;min-width:100%;transform:translate(-50%,-50%)" width="120"></span></a></article></div><p> </p><p>そして、アオノブラックの母ノリノメイチャン、コマサンエースの母クインフェスタともに、競走馬時代は金田先生が管理していました。<br>どちらも坂井牧場の生産馬であり、馬主は高橋一二氏。その産駒となると、縁と恩の詰まった金田勇の結晶、と言っても良いのではないかと思います。<br>母クインフェスタは、同期にナナノチカラがいて重賞をなかなか勝てませんでしたが、最後の最後、引退レースのヒロインズカップでナナノチカラを差し切りました。コマサンエースも同世代の王者を抑える日が訪れるでしょうか。<br><br>2着のコウテイは、私は前日のカーネーションCと同じくらいの速い馬場を想定していたために狙いを下げてしまったのですが、道中で刻まず押し上げて前付け。障害は例によってすんなりで終いもしっかり、前半約48秒なら対応できる範囲内だった……というか、もうシンプルに力上位です。<br>デキが本物になってくるのはこれからだと思いますし、荷が増えていくのも歓迎、引き続き大きな存在感を示してくれるでしょう。<br><br>インビクタは新が叩いて出して行き流れに乗ると、障害も綺麗に越えて末までしぶとく歩きました。やや人気を落としていましたが、久々に重賞でピリッとした姿を見せ、やはり春先は動きますし、依然地力はトップクラスです。<br><br>タカラキングダム(4着)はモサモサと出て後方から。障害は一旦止まりましたが、一腰目でだいぶ上がり、二腰でクリアすると、猛追を見せ2着とは0秒6差。軽荷の軽馬場、前は一腰で切って終いも止まらない展開の中で、驚異的な末脚を示しました。<br>もちろん一腰が理想ではあるのですけど、この馬の場合は止まった後の二腰目も大事で、そのリズムを保っていければ間に合う場面が必ず訪れます。下りての爆発力は抜けて一番、これでヤマ上がるようになれば手が付けられなくなりますよ。まあ、相手も甘くないのですが、それでも今季の古馬重賞、どこかで勝てると思いますね。<br>戦前にも触れたように、何しろ昨季の重賞を勝った際に手綱を取っていたのが金田利貴と阿部武臣、では今季の主戦はどうするか、という問題もあるのですが、しばらくは心路でいくでしょうか。<br><br>マルホンリョウユウ(5着)は正攻法から障害一腰、末は地力の差が出ましたが、内容的には十分。今季は強敵相手の経験を地力強化につなげられれば良いでしょう。<br>クリスタルコルド(6着)は積極的に行きましたが障害でストップ。大幅馬体減もありましたし、もとより叩き良化型、使いつつ改めて、です。<br>オーシャンウイナー(8着)は障害で苦戦。今季初戦は一旦止まった後に二腰目が入りましたが、ここは返事ができず。急きょの手替わりの影響もあったかと思いますが、重賞だと落ち着いた流れのほうが良いような気はします。<br><br><br>勝利インタビューで利貴騎手から「今日はチャンピオンがいない中で」との言葉もありましたが、昨季同様に、現在待機中のメムロボブサップを巡る争いとなる古馬戦線。<br>旭川記念あるいはグランプリの頃には戻ってくるでしょうが、トップコンテンダー争いも、それはそれは激しいものがあります。6月15日に控える北斗賞もお楽しみに。</p><p><span style="font-size:0.7em;">次はもうちょっと早く書きます(^^;</span></p>
2025.05.25
雨中の激戦を制したのは4歳カフカ! 〈第18回カーネーションカップ(BG3)〉
<p>5月17日(土)に行われた牝馬限定重賞、第18回カーネーションカップ(BG3)は、速い流れの中で道中後方から第二障害を6番手で下った<b style="font-weight:bold;">カフカ</b>(牝4、金田)が長く良い脚を使って差し切り勝ち。重賞初制覇を収めました。<br>渡来心路騎手は当レース2勝目で重賞通算14勝目。金田勇調教師は当レース初勝利で重賞通算40勝目。<br>雨が降る中で馬場水分1.3%、勝ち時計は1分43秒3。前々からしぶとく歩いたダイヤカツヒメ(牝6、久田)が2着、障害トップ抜けから粘ったニシキマリン(牝6、中島)が3着に続き、1番人気に推された昨季女王サクラヒメ(牝7、今井)は5着に敗れています。<br><br><span style="font-size:0.7em;">いきなりの大出遅れ(-_-;)</span><br>通常は勝ち馬から順に触れていくのですが、このレースは第二障害に付くまでの展開が大きく結果を左右しました。そこが一番の語りどころともなりますので、そちらから話を進めてまいります。<br>ダッシュ良く飛び出し第一障害を先頭で下ったダイヤカツヒメに、すかさずついて行ったニシキマリン、さらにハナを叩こうかの勢いで追いかけたサクラヒメが加わり、隣り合った三頭が刻まないまま、ほぼ並んで前半約39秒。<br>雨降りの高速馬場で、まだ荷物の軽い時期、ある程度予想されたとはいえ速い流れとなりましたが、この流れを望んでいたのは、どの馬だったか。<br>ここから先は、私の想像強めの話となります(^^;<br><br>ダイヤカツヒメは一昨季の重賞で二度にわたりサクラヒメを破っています。<br>当時は自身4歳でハンデも有利でしたが、いずれも前々から障害を先に仕掛け、積むサクラヒメに十分に息を入れさせずに封じました。昨年の当レースでも、結果として障害で崩れたものの、先に仕掛ける意図は見られましたし、これが赤塚健仁の対サクラヒメにおける戦略なのでしょう。<br>そしてこの馬、スピードも切れ味も光るものを持っていますが、なんと言っても下りてから我慢が利きます。苦しくなっても止まりそうで止まらず、終いのかかる競馬で踏ん張れるのが最大の長所です。<br><br>ニシキマリンは登坂力だけならここでも一番と言って良いほどの障害巧者。<br>下りてからいかにもジリっぽいものの、ヒロインズCで3着と自信を深めてのここで狙うのは、ハンデを活かしての粘り込み。急きょの手替わりとなった島津新も、それは心得ているので、先に下ろす形を作りに出ます。<br>それも、自身タメたところで速い脚を使えず切れ負けするので、周りもすんなり上がれる展開では意味がない。後ろが楽のできない流れで引っ張りまずは障害勝負、そこで他馬の切れ味を削っておいて、ジリの弱みが出にくい終いのかかる競馬に持ち込むのが理想、と考えていたはずです。<br><br>これを追いかけた今井千尋サクラヒメを含めた三頭が一団で付いた第二障害は、三頭ともストップした……のですが、ここにも大きなポイントがあったと思っています。<br><br>健仁くんも新も、かなり速い、かなりキツいとは、感じていたはずです。間違いなく。<br>それでも、障害下で待たずに早めに仕掛けました。これで上がるという手ごたえなどなかったと思いますし、実際に止まりましたが、それも上等と勝負に出ました。そう、ここはいく場面なんですよ。<br><br>なぜなら、サクラヒメがついて来ていたから。<br>端から、自分が少々苦しくなったとしても、後ろに、とりわけサクラヒメに楽をさせない、との決意を胸に作った速い流れです。それにせっかく付き合ってくれたここで休む手はない。勝負に出れば障害で女王を崩せるかもしれない、自身の強みを活かせる競馬に持ち込めるかもしれない。<br>障害を上げるだけなら、少し待ったほうが良いとはわかっているのだけど、それではサクラヒメにも余裕を与えてしまう。だから、キツいのは百も承知のうえで先に動き、サクラヒメも動かしたものと解釈します。<br><br>サクラヒメの立場から見ると、やはり深追いし過ぎた、と思います。<br>第一障害で躓きかけて、それ自体は大きな影響はなかったと思いますが、千尋さんが少し焦ったか、馬が力んだか、速い流れをどんどん追いかけていく格好。地脚が上なので、そう無理したわけでもないでしょうが、ハンデがあります。<br><br>ヒロインズCが下と最大40キロ差の自身810。今回も下とは同じくで690。<br>810で勝てたんだもん、690なら問題ないっしょ、との考え方はそのとおりで、間違っているとも思いません。私もそう考えていました。<br>ただ、これが牝馬限定ゆえの難しさなのですが、ヒロインズCの700キロ台後半以上だと、それ自体が厳しい馬も少なくなく、ハンデを活かして何かしようというより、自身の荷物とどう向き合うか、との意識が強くなる面もあります。それが顕著だったのが昨季で、軽馬場でも流れが落ち着き、前半約77秒-2分10秒3と終いの速い競馬になりました。<br>対して今回は600キロ台後半の、曳き慣れていて各馬がなんでもできる荷物。思った以上の高速馬場でスピード優先となりましたが、たとえ乾いた馬場でも動きのある展開にはなっていたでしょう。<br><a href="https://ameblo.jp/banei-koyanogo/entry-12903746162.html" rel="noopener noreferrer" target="_blank">戦前の記事</a>のリードで「超スローになったヒロインズCとは違う競馬に」と書きましたが、今回は前半約39秒-1分43秒3。ばんえいで最も結果を左右する要素は流れですが(断言)、たった200mの競馬の、約120mと約80mの前後半のバランスがこれだけ変わるのが、面白さであり怖さ。軽荷の軽馬場だからこそのタフな競馬となりました。<br><br>……という前半の攻防<span style="font-size:0.83em;">(ながっ(^^;)</span>があった中で、勝ったカフカも道中は刻まずに進めましたが、第二障害に付いたのは7番手。そこから障害を一腰で越えると、ひと追いごとにグイグイ。<br>たしかに展開は向きましたが、特筆すべきは、その成長力。デビュー戦が774キロだった馬体が、1000キロを超えるほどに増えたこともそうですが、2歳シーズンは相手が強くなると位置を取れず、終いも脚を使えなかった馬が、本当に歩けるようになりました。<br>障害が安定しているのが強みですし、そう切れるタイプではなくても歩き比べで味があり、末のひと伸びも利きます。障害下で行きたがる折り合い面の課題も解消されつつあり、昨季からの右肩上がりはまだまだ続くでしょう。<br>今後は世代重賞が目標となる今季ですが、昨季のオークス2着、ダービー4着。それ以上を望んでも良い充実ぶりで、楽しみしかありません。<br><br>ダイヤカツヒメは前述の障害で二腰目が入り、天板でヒザを折りながらも番手抜け。厳しい流れの中で末までしっかり曳き切り、いつだか健仁くんが「真面目で頑張り屋さん」と評していましたが、苦しくても前へ前へと曳く姿には、本当にいつも頭が下がります。見るからに細かった馬体も幅を増し、完成期でしょう。<br>ニシキマリンは障害で止まった後も腰を入れ直せるのが本当に良いところ。だからこそ強気に出られた面も、もちろんあります。三腰を要しましたがトップ抜け、ジリジリとしか歩けないものの、自身の良さを活かし、他馬の良さを消す展開は作りました。やれることはやり、力を出し切ったと思います。<br>二頭に共通しますが、サクラヒメを苦しめる流れを作っただけではなく、自身も2・3着という結果を得ていることが素晴らしい。1着がほしかったであろう当事者に対して、かえって失礼になるかもしれませんが、それほどギリギリの勝負を仕掛けた姿にシビれましたね。<br><br>シンエイアロイ(4着)は自身も軽馬場を好むものの、さすがに少し速過ぎて道中は追い通し。それでも障害を修正できたのは今後に繋がりますし、末も我慢して歩いてはいます。<br><br>サクラヒメは障害で苦労し、残り30mを切ってからアラアラ。たしかにデキも万全ではなかったかもしれませんが、それよりも前半と障害で削ぎ取られたと見るほうが正しいでしょう。<br>勝つ時の「持ったまま」は、第二障害までを綺麗に運んでこそで、今回は健仁くんと新に釣り出されてしまった印象が、やはり強いですねえ。<br>ただ、千尋さんを責めるのは酷で、常に☆10キロもらいの普段は、この競馬で良いんですよ。重賞どころか特別も勝ったことのない騎手が、重賞でハンデ頭、自厩舎とはいえ競馬では初手綱、少し抑えれば良かったのかとなると、それはそれで前も息が入りますから、馬場とハンデで本当に難しい競馬になってしまいました。本馬も軽馬場は好むほうですが、それは牡馬に対してのアローワンスが、より活きるからであって、今回は雨は要らなかったでしょう。<br>手替わりの経緯はわかりませんが、千尋さんが小さな頃から互い知ったる御三方、十分なコミュニケーションがあってのことと思います。<br><br>スーパーチヨコ(競走中止)はじっくりタメて障害一腰、展開もピタリ、しゅんこさんが強く追わずに歩かせ、これは行くかと見えましたが、ゴール寸前で大魚を逸しました。勝負のアヤではあるのですけど、歩き切れる他馬との違いでもあります。<br><br><br>再開初日からの重賞で、厩舎関係者は大変なご苦労があったことと思います。<br>思えば1月のヒロインズCも、馬コロナウイルスの流行による重苦しさが残る中でした。それが、繰り広げられた素晴らしいレースによりムードが一変し、そのまま年度末の大臣賞まで突っ走った、そんな印象を抱いています。<br>今回もまた、前半の激しい駆け引き、下りてからの我慢比べ、ゴール前の逆転劇、勝ったのが渡来心路という巡り合わせ……。スリリングで、ドラマティックで、早くも年間ベストレース候補に挙がるような、ばんえいらしさが詰まった “作品” が見られました。<br><br><span style="font-size:0.7em;">そりゃあ長くなるわー笑</span></p>
2025.05.18
[5/18 第19回ばんえい十勝オッズパーク杯(BG2)] 示せ、ばん馬の底力
<p>三週遅れの施行となったが、古馬の精鋭による好カード。大臣賞馬メムロボブサップは待機中も、だからこその拮抗ムード、重賞の賞金が大幅にアップした今季は、これまで以上に重賞勝負の意識が強くなり、首位候補は五指に余る大激戦。日曜は雨はなく、気温も25℃を超えるほどに上がる予報だが、水分は残るし、土曜ほどの高速馬場にはならないとしても軽馬場想定。まずは各馬の気配注目だが、荷物も軽いだけに前がかりの厳しい流れとなり、障害の出来が明暗を分けるか。土曜の牝馬重賞も激戦となったが、ばんえいの花形はやはり古馬重賞。真の開幕を告げる必見の一戦。<br><span style="font-size:0.83em;">(別定:オープン=720キロ、A1=710キロ)</span><br><br>昨季のばんえい記念2着の<b style="font-weight:bold;">コマサンエース</b>は開幕戦快勝。五分の発馬から道中追われて前付け、障害を一腰で越えて抜け出す中身の濃い内容で、昨季後半からの充実目立つ。本質的には積んで良い馬だが、詰めて行っても上がれる登坂力に騎手も自信を持っており、ここも強気に出るか。軽馬場でも切れ味を求められない展開に持ち込めるだけの地力をつけ、初重賞へ。<br><br>ばんえい記念3着の<b style="font-weight:bold;">コウテイ</b>は、レース間隔が空くと馬体を減らす傾向があり、ここも気配注目。晩成型が本格化成り力上位の存在と言えるほどだが、第一障害を越えるまでが速くないだけに、道中で位置を取れるかがカギ。自身は刻まず進めても上がれる障害巧者で、全体時計は速くなっても対応できるが、周りも刻まない展開になった際には後手に回る恐れも少々。<br><br><b style="font-weight:bold;">インビクタ</b>は一昨年の覇者。昨季は特別1勝にとどまったが、ばんえい記念では軽馬場とはいえ障害一腰と衰えてなどおらず、前に付き合わなかった前走も、障害スムーズ、下りてもしっかり歩き、自身は不満のない内容。もともと春先は滅法動くし、持ち前の先行力と登坂力を存分に活かせる720で、稍軽も歓迎。重賞勝負の松井、今度は強く出る。一変警戒。<br><br>昨季は重賞2勝を挙げた<b style="font-weight:bold;">クリスタルコルド</b>。障害でモタついた前走も二腰目は入っており、着順ほど悪い内容ではなかった。これまで速い時計で勝った星はあるものの、切れ味勝負では分が悪く、真価を発揮するのは終いがかかる競馬。荷を積んでからのほうが良いが、前走より詰めて行けるし、昨季の北斗賞同様に軽馬場ゆえの厳しい流れとなった際には浮上可能。<br><br><b style="font-weight:bold;">オーシャンウイナー</b>は高重量の重賞は自重するなど、ここまで慎重な姿勢を崩していないが、課題だった末の踏ん張りも利くようになり、昨季後半からの地力強化顕著。早仕掛けした前走は障害でいったん止まったが、二腰目の入り良く不安ない。本質的にはタメ利く流れのほうが合い、むしろ積んでこその馬だが、重賞で勝負できるだけの準備が整い、上位圏内。<br><br>昨季の4歳三冠馬<b style="font-weight:bold;">タカラキングダム</b>は、今後の主戦騎手をどうするかも懸案のひとつだが、今回初コンビとなる渡来も有力な候補。前走は障害で大苦戦したが、修正に手間取らなくなった点も昨季の成長。発馬で後手を踏むだけに引っ張られる展開だと厳しく、まだ様子見が妥当だが、この相手でもまとめて面倒を見て不思議ないだけの能力を秘め、内容注目。<br><br><b style="font-weight:bold;">マルホンリョウユウ</b>の前走は積極策から障害トップ抜け、ばんえい記念上位馬に割って入る好内容。まだ経験を積む段階であることに変わりはないが、晩成の感もあるだけに、今後の楽しみが広がった。重賞の今回は前走ほどスムーズに運べまいが、引っ張られる形にならなければ障害に不安なく、下りての我慢も利く。ここも食い下がる場面十分で引き続き注目。<br><br>前年度収得賞金順選抜で、A1格付の<b style="font-weight:bold;">ジェイホース</b>がこちらに編成。まさに昨季の成長を物語るもので、特別6勝に加えて天馬賞でも3着と、大きく力をつけた。前走の内容からも、さすがにここまで来ると相手が強く、今回は家賃が高いが、さらに一段上も望みたい。そのための経験に。</p><p> </p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20250518/09/banei-koyanogo/03/e6/j/o1437400015597781774.jpg"><img alt="" contenteditable="inherit" height="612" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20250518/09/banei-koyanogo/03/e6/j/o1437400015597781774.jpg" width="220"></a></p>