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ばんえい競馬士 第001号 コヤノゴー 〈別館〉 - 記事一覧
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2024.03.28
第25回開催(3/9~3/17)回顧
<p>3月9日のメイン、第2回とかちえぞまつ特別(オープン)は、好位からすんなりと障害を越えた<b style="font-weight:bold;">オーシャンウイナー</b>(牡6、中島)が快勝。今季も荷を積む重賞は避けるなど大事に使われているが、強敵相手に十分に経験を積み、良い5歳シーズンとなった。確実に地力が上がった印象だし、来季からいよいよ勝負の時。<br>2着<b style="font-weight:bold;">ブラックサファイア</b>(牡7、長部)は例によって障害で止まったが、下りてからはさすがの伸び脚。今後も障害ムラな面が解消される可能性は低いが、持ち前の切れ味が活きる場面はいつでもあるだろう。<br>3着<b style="font-weight:bold;">ギンジ</b>(牡7、久田)も障害で一旦止まったが、下りてからはよく伸びた。今季本格化、オープン昇級後は今季前半で稼いだぶんハンデを課せられることもあったが、一応の目処は立てたし、大きく成長。障害への課題は残るが、来季はさらに上も期待したい。<br>4着<b style="font-weight:bold;">ナカゼンガキタ</b>(牝10、松井)は、このレースを最後に引退。通算150戦33勝、2023年1月のヒロインズカップなど、重賞3勝を挙げた。古馬になってからは脚部不安を抱えながらで、長期休養を挟むこともあったが、それで衰えることもなく、復帰すればすぐに力を示し、牝馬戦線では常に上位に居続けた。<br>9着だった<b style="font-weight:bold;">シンエイボブ</b>(牝10、久田)も、これが引退レース。こちらはほぼ休みなく使い続け、通算217戦34勝。2021年5月のカーネーションカップで悲願の初重賞制覇を遂げたほか、準重賞のレディースカップを2勝、特別では一線級の牡馬相手にも善戦するなど、息の長い活躍を見せた。<br>2017年12月のばんえいオークスで、第二障害からゴールまでびっしりと長く競り合う大接戦(ナカゼンが0秒8差で勝利)を演じた二頭が同じレースで引退となったが、それがオープンの特別で実現したということが、両馬の素晴らしさを物語っている。<br><br>10日の12R(A1-2混合)は、<b style="font-weight:bold;">キョウエイリュウ</b>(牡7、村上)が好位から抜け出して今季2勝目。障害の腰の入り良く、下りても末までしっかりとした脚取りで歩いた。長らく不振が続いていたが、四走前に2年ぶりの勝利を挙げ、ようやく復調気配。クラス改編で来季は降級してのスタートとなりそうだが、ダービー&天馬賞馬、再浮上成るか。<br>2着<b style="font-weight:bold;">ウンカイタイショウ</b>(牡10、久田)は障害天板近くで一旦止まったが、すぐに二の腰が入り、下りてからもよく歩いた。連勝こそ成らなかったものの、デキの良さを示した。<br>3着<b style="font-weight:bold;">カイセドクター</b>(牡7、坂本)は本来の能力を考えればまだ物足りないが、障害はスムーズだったし、終いもそれなりに歩いてまずまず。今季は体調が整わない時期もあり未勝利に終わったが、来季の巻き返しに期待。<br><b style="font-weight:bold;">アアモンドグンシン</b>(セン9、村上)がこのレースをもって引退。通算130戦41勝、2018年12月のばんえいダービーなど、重賞は4勝。古馬になってからは重賞に手が届かなかったが、特別では幾度も強豪を破るなど、常に期待感はあったし、看板馬の一頭としてファンの人気を集めた。最後のレースも記録上は時間失格となったが、ファンが見届ける中で拍手に送られてゴールまで曳き切った。<br><br>この日のレース開始前には、そのアアモンドグンシンとともに、<b style="font-weight:bold;">ルイズ</b>(牝4、槻舘)の引退式が行われた。通算38戦10勝、2023年12月のばんえいオークスを制した。折り合い面に難はあったが能力は高く、まだまだ活躍も見込めただけに、率直に言って早い印象はあるが、同馬主で二歳年上のイオン同様に、次への道を優先したのだろう。良い産駒を出してくれるはずだ。<br><br>11日の10R(B2-6混合)で、オーノチカラ(牡6、小北)が<u style="text-decoration:underline;">馬装不備(内よびだし切損)のため第二障害で競走中止</u>するという事案が発生。管理する<u style="text-decoration:underline;">小北栄一調教師</u>には<u style="text-decoration:underline;">開催四日間賞典停止</u>の処分が下された。<br>「よびだし」とは、「ガラ」と「胴引き」の間にある馬具で、簡単に言えばその片方が切れて、(今回の場合は右側が)馬とソリが繋がっていない状態になったということだが、何度も書いているように、レース中の馬や騎手に起因するものではない競走中止というのは、本来は絶対にあってはならないこと。競走中止するのは勝手だが、最初から不良品を販売(馬券)していることになってしまう。仮に、未然に100%防ぐことが難しいのだとしても、コース上に係員がいて、その状況を見ているのだから、一旦審議ランプをつけたうえで、馬装不備が明らかに原因だったと認められた場合には、当該馬の馬券返還まで為されて良いのではないか。<br><br>メインの白樺賞(A2-2)は、果敢に先行した<b style="font-weight:bold;">フレイムゴールド</b>(牡9、金田)が障害で止まりながらも、立て直してからよく歩き圧勝。最近は一腰で切れることは少なく、ここも四腰を要したが、そこは島津新も織り込み済みで、最初から障害で止まることは想定していただろう。昨季も最終開催の特別を同じような内容で勝っている。<br>このレースで、マツノタイガー(牡9、小北)が<u style="text-decoration:underline;">胸じめロープ切損のため発走直後に競走中止</u>。一レース前に続いての馬装不備で、<u style="text-decoration:underline;">小北栄一調教師</u>はさらに<u style="text-decoration:underline;">開催四日間賞典停止</u>に。<br>「胸じめロープ」とは、「わらび型」を固定するためのものと思われるが、そこが外れると「ガラ」(と手綱)だけが残る状態で、完全に馬体とソリが離れる(先の事例も含めて、興味がある方は馬具の名称等ご自分でお調べいただきたい)。ソリは動かずに馬だけが前へ進むこととなるが、騎手は手綱を握っているので、パトロールビデオを見ればわかるように、鈴木恵介は前方へ落橇。それだけでも危ないが、パニックに陥った馬が後躯で蹴るようなことがあれば、大怪我どころか命に関わっていた恐れすらある。何事もなく済んで本当に良かったが、何事もなかったことがむしろ奇跡的と言えよう。それにしても、偶然が重なっただけかもしれないが、二レース続けて同じ厩舎の馬が馬装不備で競走中止とは。今後キングフェスタもそうなる可能性があると考えてよろしいか。<br><br>後節の15日は10Rの前あたりから雪が降り出したが、メインのスターライト特別(5歳)は<b style="font-weight:bold;">シンエイアロイ</b>(牝5、久田)が番手から抜け出し。やや人気を落としていたが、トップ級が前節のポプラ賞に編成された中で軽馬場も味方、末までしっかり伸び切った。今季は追っての味を増して大きく成長、来季も牝馬限定戦では楽しみありそう。<br>2着<b style="font-weight:bold;">ダイヤカツヒメ</b>(牝5、久田)は同厩馬を捕らえ切れなかったが、内容的には納得できるもの。ピークだったヒロインズカップの時に比べると、いくらか仕上げも緩かった印象もあり、今後の牝馬戦線、あるいは牡馬相手でも期待大きい。<br><br>16日に行われたクリスタル特別(4歳)は、実質B1とB2の混合だったが、障害一腰から抜けた<b style="font-weight:bold;">クリスタルゴースト</b>(牡4、長部)が特別戦初勝利。残り30mを過ぎたあたりで一旦詰まったものの、立て直すと再度後続を引き離す快勝で、B2からの3連勝。現時点では上位数頭を除くとそれほどレベルの高くない世代で、やや手薄なメンバー構成だったが、近走の好調さと成長が感じられる勝ちっぷり。来季は初の重賞挑戦も視野に入る。<br>2着<b style="font-weight:bold;">ジェイホース</b>(牡4、松井)は下ってから良い脚を長く使って追い上げた。3着<b style="font-weight:bold;">エムタカラ</b>(牡4、金田)も合わせ、自力勝負はまだ利かないが、追って味がある。今後の成長次第だが、もう一歩前で競馬ができるようになれば面白い存在ともなり得る。<br><br>17日はばんえい記念の他にも特別戦が五鞍。5Rの福寿草特別(3歳牝馬)は、下りから切れ味を見せた<b style="font-weight:bold;">オオネガイキンヒメ</b>(牝3、岩本)が抜け出し。逃げ馬が折り合いを欠いて障害直行で上がって行く中でも、先団後ろで一呼吸タメを利かせた島津新も落ち着いていたが、末まで伸び切った。まだスタミナ面の課題はあるが、障害が巧みで切れる脚も使える好素質馬。<br>2着<b style="font-weight:bold;">ヤマノヒメ</b>(牝3、今井)は切れ味の差で勝ち馬に一気に交わされたが、追われて味がありよく食い下がった。黒ユリ賞こそ障害で止まったが、秋以降の良化が著しい。来季も順調に成長すればオークスが楽しみになる。<br><br>6Rの若草特別(3歳牡馬)は、先手を取った<b style="font-weight:bold;">グランドスターダム</b>(牡3、長部)が障害をじつにスムーズに越えて鮮やかな逃げ切り。登坂力は世代でもトップクラス、下りてからかったるい面はあるが、ここは末まで我慢したし、多少とはいえ増量もプラスに作用したか。これまで切れ負けする場面も多いが、来季以降のほうが良さを活かせる可能性。末脚強化成れば出世も見込める。<br><br>10Rの北陸復興特別(B1-1)は<b style="font-weight:bold;">タンジロウ</b>(牡5、槻舘)が力強く伸びて差し切り。雪が降る中では前半置かれるかとも思えたが、金田利貴が気を抜かせなかったし、障害を5番手で下りれば間に合う。特別の経験および実績が乏しい馬も少なくない組み合わせだったが、自身は平場より特別のほうが向くかもしれない。来季は5歳シーズンで相手強化が見込まれるが、終いが掛かる流れになった際には出番。<br>2着<b style="font-weight:bold;">ヤマノセイウン</b>(牡8、西)は、今季1分24秒4で勝った星もあるように軽馬場だと動きが良くなる。特別変わりでの40キロ増に即対応してみせたが、荷物が軽くなるタイミング、すなわち年度変わりでも狙いが立つタイプ。来季の初戦注目。<br><br>11Rの大平原特別(A1-1)は、積極策から障害を一腰で切った<b style="font-weight:bold;">ダイリンファイター</b>(牡8、小林長)が押し切り。周りもジリっぽい馬が多い組み合わせも良かったが、一時期は一度止まるのが常だった障害をスムーズに越えられたことでしぶとさが活きた。勝ち味に遅いタイプのように見えても今季特別4勝、障害の腰の入り自体は良いので、今後も大崩れは少ないだろう。<br>2着<b style="font-weight:bold;">リュウセイペガサス</b>(牡7、久田)は詰めて行って障害も早めの仕掛け、渡来心路らしい積極策から粘り込み。軽いのは好むが切れ味に欠くというもどかしいタイプだが、軽馬場の特別は最も合う条件ではあった。<br>3着<b style="font-weight:bold;">マルホンリョウダイ</b>(牡6、金田)は軽馬場歓迎で、障害をまとめて良い脚で伸びてきたものの及ばず。今回は上位二頭にうまく運ばれた印象だが、今季前半は苦しみながらも秋以降たしかな地力強化を示し、来季はもう一歩上も期待できよう。<br><br>オーラス蛍の光賞(A2-1)は、下りからの切れ味で抜け出した<b style="font-weight:bold;">クリスタルホーク</b>(牡5、岩本)が快勝。軽馬場も相当にプラスだっただろうが、前付けから障害下でワンテンポ待った島津新の仕掛けが見事。馬の呼吸とレースの展開、双方に合わせるのがやはり抜群に巧みで、いよいよ新時代の到来を予感させるほど今季は冴えが目立った。もちろん馬のほうも、馬体は小さいながらも夏以降の成長が著しく、まだ伸びしろは大きい。<br>当レースで9着だったジェイファイターの出走をもって、<u style="text-decoration:underline;">小林勝二調教師</u>(65歳)が勇退。1994年4月の初出走以来、通算11701戦1131勝。ニシキタカラで制した2004年11月のばんえい菊花賞など、重賞では3勝を挙げている。<br>重賞3勝はいずれも四市開催時代で、近年は上級馬の輩出も少なく、リーディングも中位以下と、正直言って大きく目立つ厩舎ではなかったが、引退前日にキタミライとホッカイイチバンで勝利を挙げるなど、大阪畜産グループのメインステーブルの一つだった。1982年から騎手を務めていたとのことで、良い時代も苦しい時代も知っているだろうが、今季も過去最高の売り上げを記録したばんえい競馬、礎を築いた先達の苦労を忘れてはならない。<br><br><br>というわけで、いつにも増して更新が遅くなり、ずいぶん前のことだな~と思いながら書いておりました(^^;<br>まあ、私の備忘録的な意味合いもあるので(たまに自分で自分のブログ内検索する笑)ご容赦くださいませ。<br>私が今ほどばんえい競馬に詳しくなかったころ、本場でたまたま聞こえてきた常連ファン同士の会話に驚いたことがあります。<br>あの馬は障害がどうとか、下りて歩けるとか、軽馬場だと前に行くとか、この前は○○<span style="font-size:0.83em;">(騎手)</span>がヘグったとか、またブリンカー着けてきたとか、やたらと詳しい。しかも、それを共通認識として会話している。<br>でも、出走表を見るとB2だったりするわけですよ笑<br>ずいぶん馬のことを知ってるもんだな、と感心すると同時に、なるほど、そうやって馬を覚えて予想するのが楽しいわけか、と思ったものです。<br>実際はすべて記憶しているわけではなくて、競馬新聞から得られる情報も消化したうえでの会話なのでしょうが、たしかにガチのばんえいファンは、他の競馬のファンよりも個々の馬について知っているような気がします。<br>単純に、在籍頭数が少ないうえに、それぞれの出走回数が多いという、馬券を買っているうちに自然に覚えてしまう要素はあるのですが、そういう競馬こそが面白いものだと、今になってわかりましたね笑<br>だから、こういった記事でも一応の形にはなるわけで。来季も書くつもりではいます(^^;<br>それでは次年度もお楽しみに<img alt="ラブラブ" draggable="false" height="16" src="https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/035.gif" width="16"><img alt="ラブラブ" draggable="false" height="16" src="https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/035.gif" width="16"><img alt="ラブラブ" draggable="false" height="16" src="https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/035.gif" width="16"></p>
2024.03.24
メジロゴーリキ、独擅場の王座返り咲き 〈農林水産大臣賞典 第56回ばんえい記念(BG1)〉
<p>3月17日(日)に行われた大一番、農林水産大臣賞典第56回ばんえい記念(BG1)は、道中で先手を取った<b style="font-weight:bold;">メジロゴーリキ</b>(牡10、松井)が第二障害を一腰で越えると、ゴールまで脚色衰えずに歩き切り後続を完封。一昨年に続き、二度目のばんえい記念制覇を遂げました。重賞は通算11勝目。<br>鈴木恵介騎手はばんえい記念5勝目で重賞通算99勝目。今季の重賞は11勝目で、金山明彦・元騎手(現調教師)が1980年度に記録した年間重賞最多勝利記録を更新。<br>松井浩文調教師は自身の持つ最多記録を更新するばんえい記念7勝目で、重賞通算78勝目。<br>雪が降る中で馬場水分1.9%、勝ち時計は2分55秒0。連覇を狙ったメムロボブサップ(牡8、坂本)が追い上げ及ばずの2着、しぶとく脚を伸ばしたコマサンエース(牡8、金田)が3着と続いています。<br><br><span style="font-size:0.7em;">かなり遅ればせながらばんえい記念を振り返ります(;・∀・)</span><br>私はもちろん本場にいましたが、わりと気温も高く、本当に雪降るのかね? といった感じもありました。<br>ただ、天気予報のとおりに、一つ前の6R前から雪が舞い始め、それもこの時期なので水分をたっぷりと含んだ霙に近いようなもの、あっという間に今年も軽馬場が出来上がっての大臣賞となりました。<br><br>その中で示したメジロゴーリキのパフォーマンス、じつに素晴らしかった。完璧だったと思います。<br>第一障害こそややモタついたものの、道中で刻みつつ障害中間地点からジワリと前に出て先手を取りましたが、ここがやはり恵介の強かな点で、即座に馬場の変化および手綱から伝わる手ごたえを感じ取ったのでしょう。もう一歩前に行ける、前で下ろせる、下ろせば勝てる、と思ったはずです。<br>ついてこない明け8歳勢を離して前半約105秒でトップ付け、第二障害手前ではじっくりタメましたが、近走同様にカカリ良くスムーズに一腰で越えたところで、もう勝負あり、でしたね。<br>もっと重い馬場の厳しい流れの中でもオレノココロやコウシュハウンカイを相手にまわし、地の果てまで歩ける末脚をもって好勝負を演じてきたゴーリキを、1000キロを曳いて差せる馬などいるわけがない。終わってみれば、障害手前からの後半約70秒と、終いの速い競馬に持ち込んで悠々逃げ切り、もう圧勝と言って良いでしょう。<br><br>1000キロで障害一腰、かつ下りてからも一息で歩き切ったのは、もちろん凄いことです。<br>ただし、「メジロゴーリキ」という前提をもってすれば、結果としてこれだけ時計の出る馬場なのに、すんなり先手を取れて、十分に息を入れられる流れ、だったら全然驚くことじゃない。<br>実際の荷物が何キロかというのも当然重要なのだけど、馬場やペースの違いによって馬への負担は大きく変わる、とは何度も書いていますが、今回は明らかにマイナス側に振れています。<br>ましてや荷物に強く、二年前にも先行策からの前半約97秒-後半約70秒で、メムロボブサップとアオノブラックを封じているゴーリキです。恵介がインタビューで「ゴールに入るまで油断しないように」なんて言っていましたが、本音は障害天板くらいで勝利をほぼ確信していたと思いますね。<br>ヤマを上がれて長く脚を使える長所を活かし切った鈴木恵介、名手を招き入れる選択をしたうえで今季も完璧に仕上げた松井浩文、そしてそれに応えたメジロゴーリキと、三者の底力をまざまざと見せつける見事な勝利でした。<br><br>どうやらこれで引退のようですが、ダービーおよび天馬賞で世代の頂点に立ち、古馬になっては6歳シーズンから四季連続で重賞勝ち、そして最後に帯広記念とばんえい記念の二大巨峰を同一年制覇と、歴史的名馬の域と言っても過言ではありません。<br>四歳年上の二強に挑み、二歳年下の二強の前に立ちはだかり、その力と存在感を示し続けた競走生活に大きな拍手を送りたいと思います。<br><br><br>メムロボブサップは、障害で二腰、いや一腰半と表現しても良いほどですが、そこでわずかに後れを取ったことが直接の敗因とはなるでしょうか。<br>ただ、普段と比べるとちょっと集中力に欠くというか、障害下での反応も鈍かったようには見えた……かな。それが外コースの影響だったかどうかは、なんとも言えないのですが、馬場も含めて多少の誤算はあったかもしれません。<br>それでも2着と、十分に力は発揮しているのですが、今回は何よりゴーリキが百点満点でしたから。自身のわずかな綻びが結果に直結してしまった格好ですが、これも勝負のアヤと思います。<br>言うまでもなく来季も主役、また驚愕の姿を見せてくれることでしょう。<br><br>コマサンエースは軽馬場でも切れ味を求められない適条件で、今季の重賞同様に積んでの良さ、そして近走の好調ぶりを改めて示す好内容。やや決め手不足なのはたしかですが、今季は大きく成長し、結果も残しました。来季も真面目に動き、重賞でまた上位に顔を出す場面もあると思います。<br><br>アオノブラック(4着)は結果論ながらもストレートに言うと、馬場と流れにマッチしていない位置取り。自身が第二障害に付いたところで勝ち馬に仕掛けられているようでは、完全に後手に回っています。<br>ただ、グランプリと帯広記念では障害で乱れ、それを受けてか後半勝負に構えて結果を出したチャンピオンカップの直後。前走が素晴らしい勝ちっぷりだっただけになおさら、急なプラン変更を若い利貴騎手に望むのは酷というもので、最も雪が要らなかったのは本馬でしょう。<br>基本能力が非常に高いので、ある程度の荷物までなら馬場も流れも問いませんが、やはり重荷となると流れが落ち着いたほうが良く、少し難しい競馬となってしまいました。今季得た自信と悔恨を胸に、来季改めての期待です。<br><br>コウテイ(5着)は障害天板での腰の入り良く番手抜け、下りてからは地力の差が出ましたが、その登坂力と昨年からの成長は示しました。私は今回、本馬を軸にして馬券を買いましたが、納得の内容です。どこかで大きな仕事をしそうな予感はあるのですが、そのためにも来季は重賞出走圏内に定着したいところです。<br>インビクタ(6着)は道中で十分にタメを利かせながらも、障害は前に合わせた仕掛けで、このあたりの間の計り方、やはり新は上手い。結果的には障害でヒザを折ってアウトでしたが、立て直しは早かったですし、昨季からさらに成長しているのはたしかです。来季も変幻自在の姿を見せてくれることを期待します。<br><br>ミノルシャープ(7着)は結果はさておき、謙ちゃんのレース運びにはなかなか痺れました。<br>今季未勝利で今は1000キロも重く、単勝97倍の9番人気、私も馬券的にはノーマークでしたし、戦前の陣営コメントのトーンからも、そう攻めた競馬をせず大事に運ぶだろう、と考えていました。<br>それが、第一障害をモタモタと越えると、出して行って障害は番手付け。厳しいのは承知のうえで、雪を見てわずかな可能性に賭けたのでしょう。<br>そして実際に、超スローからの後半勝負で極端に終いが速くなり、前以外は用無し、しかも上位数頭は障害をすんなり越えて、かつ一息で歩き切るという、ばんえい記念では見たことがないような競馬になったのですから、これは馬場と展開を完全に読み切ってましたね。<br>残念ながら馬が応えることができずに障害で止まりましたが、この勝負手を放った謙ちゃんには拍手を送りたい。<br>加えて言うなら、色気を出せるほどに、馬場が軽いにも関わらず流れが緩かったということでしょう。<br><br><br>軽馬場でのばんえい記念は、これで四年連続(昨年も障害後が異常に軽かった)となりましたが、これはもう、天気なので仕方のないこと。<br>馬場が軽かろうが重かろうが、レースの権威と勝利の価値は、何ひとつ変わりません。<br>私は恵介の手綱捌きに感嘆し、松井先生の涙にもらい泣きしそうになり、メジロゴーリキはずっと評価してきた好きな馬でもあります。<br>そして今年も帯広競馬場に多くのファンが押し寄せ、大きな歓声と拍手の中でレースが行われました。<br><br>ただ、ばんえい記念の魅力は、年に一度しか見られない、1000キロを曳いての厳しく激しい攻防。障害で止まり、下りて止まり、その中で勝利を目指す人馬の姿こそが、見る者の心を揺さぶってきたというのは、疑いようのない事実です。<br>それが近年は、少し物足りないよね、という声もあると認識しています。<br>軽馬場じゃ面白くない、乾いた馬場での力勝負が見られてこそばんえい記念だ、と。<br><br>まあ私も同意気味ではあるのですが、それははたして馬場の違いだけによるものなのか。<br>競馬自体の変化による面もあるのではないか、と思っているのですが、ちょっと書いてみたら一気に長くなってしまったので、また機会があれば書くことといたします(^^;<br><br>全体の内容はともかく、天の時と人の和を得たメジロゴーリキが魅せた、王座奪回劇。<br>それはやはり見事で、じつに鮮やかなものでありました。</p>
2024.03.20
ライジンサンが5連勝で世代の王者に君臨! 〈第55回イレネー記念(BG1)〉
<p>3月16日(土)に行われた2歳シーズンの最高峰、第55回イレネー記念(BG1)は、道中好位で運んだ<b style="font-weight:bold;">ライジンサン</b>(牡3、大河原)が第二障害を一腰で越えると切れ味を見せて抜け出し快勝。ヤングチャンピオンシップ、翔雲賞に続いての重賞3連勝で、今季デビュー馬の頂点に立ちました。<br>鈴木恵介騎手はイレネー記念5勝目で重賞通算98勝目。大河原和雄調教師は重賞通算3勝目。<br>馬場水分2.0%で勝ち時計は2分00秒4。後方から追い込んだスマイルカナ(牝3、鈴木)が2着、先行から粘ったウルトラコタロウ(牡3、槻舘)が3着。<br><br>当初は上位混戦の印象があった世代ですが、ライジンサンが11月の釧路産駒特別からの5連勝、重賞も3連勝と、頭ひとつ以上抜け出した存在となりました。<br>最初の重賞のナナカマド賞は6番人気で6着、たしかに差のないところにはいても、正直言ってそこまで強烈なインパクトはありませんでした。それが、安定した登坂力に追っての鋭さが加わっての快進撃。その急成長ぶりには目を瞠るものがあります。<br>今回も前を見ながら進めて障害スムーズ、下りてスパッと抜けた後のゴール前で一旦詰まるシーンこそあったものの、そう危ない感じはしませんでしたし、完勝と言えるでしょう。<br>障害への不安が小さいのが何より良いですし、馬体もようやく大きくなり始めたくらいの段階。もちろん将来性十分で、他馬との成長力比べとなるこの先も大いに期待したいところです。<br><br>大河原調教師は、1985年から2017年まで騎手として活躍し、通算3373勝(引退当時歴代2位。現在でも4位)という、ものすごい数字を残していますが、特に若馬を見る目と育成には定評があり、このイレネー記念でも歴代最多となる6勝を挙げました。<br>そのカワが、調教師としての初重賞制覇を2歳のレースで遂げた勢いのままに世代王者を育て、来季以降の戦いに挑む、というのはオールドファンにとっても感情移入しやすい要素ではないかと思います。<br>服部厩舎所属時代の弟弟子にあたる恵介と、当然ながらコミュニケーションも取れており、古馬に交じって上位クラスに格付けされて使い方が難しくなる来季ですが、さらなる成長を示してくれることでしょう。<br><br>スマイルカナは後方待機から障害をまとめると、尻尾を振り振り良い脚を長く使って追い上げました。他の世代重賞以上に牝馬苦戦の傾向もあるレースですが、670キロを曳いてもよく動き、立派だと思います。<br>牡馬相手だと今後も前半じっくり構える形となるでしょうが、展開次第では来季もチャンスがあって良いでしょう。<br><br>ウルトラコタロウは前付けから障害スムーズ、下りてジリっぽく、勝ち馬には一気に交わされましたが、末までよく我慢して歩きました。<br>障害巧者ぶりとしぶとさを存分に示し、これはもう、積んで良いのは間違いないので、来季からその先まで、長く注目を要する一頭です。<br><br>フレイムファースト(4着)は障害天板が危なっかしかったものの、下りて良い脚を見せ、2番手をうかがう場面もありました。近走同様に末が甘くなり、残り10mで詰まりましたが、まだまだ細く映る馬体に実が入れば出世を期待できる素質馬です。<br>ショータイム(5着)は障害をまとめると、終いジワジワと伸びてはきました。切れるというよりは長く脚を使えるタイプと思えますが、よく歩きました。<br>アヤノダイマオー(6着)は終い歩いてはいますが、障害で後れを取りました。課題は残りますが、こちらも本格化は先で、これからの馬でしょう。<br>ホクセイハリアー(7着)は積極策からトップ抜け、終いアラアラになったのは現在の力でしょうが、その登坂力で見せ場は作りました。末脚強化が叶えば面白い存在となるかもしれません。<br>ミチシオ(8着)は好位の一角で進めたものの後半が案外で、最後は完全に失速。荷物もしくは馬場が堪えたのか、少し物足りない内容でした。<br>コトブキテンザン(9着)は翔雲賞同様に障害で苦戦し、後半につなげられず。良い切れ味を持っていますが、それを活かすためには障害良化が条件となります。<br>ホクセイポルシェ(10着)は後方からでも障害を上がれず、明らかにデキが伴っていません。期待は大きい馬だけに、休催期間を挟んでなんとか立て直してほしいところです。<br><br>と、全馬に触れてしまいましたが、ここには出られず翌日の特別に回ったグランドスターダムをはじめとする各馬、その下から上がってきそうなアアモンドテスラなど、この世代は粒が揃っており、全体レベルはなかなかに高いのではないでしょうか。<br>秋以降の成長がそれぞれ大きく、年度が変わって年長馬が相手になっても、さらに楽しめる世代だと思います。今後もぜひともご注目ください。</p>
2024.03.17
[3/17 農林水産大臣賞典 第56回ばんえい記念(BG1)] 新たな歴史が刻まれる時
<p>いよいよ頂上決戦。三年前および二年前は、異常な軽馬場で3分を切り、昨年は全体時計こそ多少かかったものの、第二障害までを急ごしらえしただけの馬場で、終いの速い決着。いずれも勝った馬は下りてから一度も止まっていない。今季は良い馬場状態を維持しているが、日曜夕方は雪の予報。前半の流れが落ち着くのは間違いないが、そこから速い脚も求められるか、止めて出しての攻防となるかはわからない。障害が大きなポイントとなるのはもちろんだが、紛れるとすれば後者になった際。<u style="text-decoration:underline;">7Rで発走17時15分</u>。<br><span style="font-size:0.83em;">(定量:1000キロ)</span><br><br>昨年の覇者<b style="font-weight:bold;">メムロボブサップ</b>は、グランプリ三連覇を含む夏の陣3連勝など、今季[10-2-0-2]。連を外した二戦は、アクシデント的な障害のミスと酷量と、敗因がはっきりしているし、2着だった北見記念と帯広記念は、ハンデ頭でかえって力を示すもの。ピタリと折り合いがつき、かつ強い前進気勢を見せる精神面も強調でき、今季はまったく隙がない。仮に止まっても詰まってもすぐ反応できる。連覇で現役最強から史上最強へ。<br><br><b style="font-weight:bold;">アオノブラック</b>は北見記念三連覇を成し遂げるなど、メムロと同じく今季重賞3勝。たしかにハンデをもらってはいたが、やはり力互角で、昨年の当レースも2着とはいえ0秒4差。帯広記念では障害で崩れたが、本来は二腰目の入りも良い馬だし、高重量戦の適性ではむしろ上回る。若い騎手で焦らないことも肝要だが、前半じっくり構えて障害と下りての脚で抜け出した前走チャンピオンCが最高のステップ。今年は一つ上を。<br><br>一昨年の覇者<b style="font-weight:bold;">メジロゴーリキ</b>は、昨季以降は得意なはずの高重量戦で案外な面もあったが、正月の帯広記念を制し、改めて地力を示した。今は障害のカカリが良いし、この荷物なら馬場も問わず、登坂力と長く脚を使える強みを存分に活かせる。近走は特別でも道中から素軽さを見せているようにデキの良さが目立ち、臨戦過程はこれまでで最も良いほど。大臣賞6勝の名伯楽が同4勝の名手を迎えたのはこの日のため、復権へ万全。<br><br><b style="font-weight:bold;">インビクタ</b>は春のオッズパーク杯を制し、その後はハンデに悩まされた時期があったものの、二走前のチャンピオンCでは積極策から2着と、やはり力のあるところは示した。今季は重荷への対応を図り、障害に重きを置いた控える競馬も試しているが、昨季は障害を上がれず競走中止となった北見記念と帯広記念でもしっかりと曳き切ったように、成果は出ている。それでも1000キロだと重いが、さらに成長した姿を示す場。<br><br>重賞5勝の実績馬<b style="font-weight:bold;">ミノルシャープ</b>は、三度目の大臣賞。今季未勝利と勢いを欠き、明け10歳を迎えていくらか力が落ちているのは否めなくても、動きには活気ありデキは決して悪くない。障害で止まった後でもすぐに返事をするように気持ちは衰えていないし、道中で息を入れて行ければ1000キロにも対応できるのは過去に証明済み。三季前ほどの姿を望むのは酷な現状だが、グランプリホースの誇りを示す。<br><br><b style="font-weight:bold;">コマサンエース</b>はこれまでの重賞8戦すべてで掲示板に載っており、特に今季は積んでの良さを示している。安定した登坂力に加えて下りてのしぶとさもあり、この条件への適性は十分。近走は道中の反応も良く、障害を下りてからもモタつかずに脚を使えているように、デキに関しても申し分ない。今回も自分の力は出せそうだし、かなり地力をつけている。引き続き善戦可能で、他馬が障害で手間取るようなら上位進出も。<br><br>今季はなかなかデキが上がり切らない印象もあった<b style="font-weight:bold;">コマサンブラック</b>だが、12月に入って連勝と、例年冬場は動きが良くなる。昨季には帯広記念3着など積んで良い可能性を示唆しているし、登坂力あって1000キロにも十分対応できる。近走で末の我慢が利いていない点は気になるが、障害が安定しているのは魅力で、ここもある程度の位置では下ろせるか。終いの踏ん張り次第では昨年の5着以上も狙える。<br><br><b style="font-weight:bold;">コウテイ</b>は現役随一の障害巧者で、帯広記念でも障害トップ抜けからよく食い下がっての3着。それでも900と1000では違い、昨年は障害を上がれず競走中止となったが、一腰目で天板まで脚が届いていた。今季は夏負けしたとも伝わるが、一戦ごとに良化し、前走は積極策から楽々と障害を抜けての完勝。重賞未勝利と格下でも、高重量戦に狙いを定めて仕上がり絶好、昨年より力をつけ、ここもトップ抜けして不思議ない。最大の伏兵。<br><br><b style="font-weight:bold;">センリョウボス</b>は明け10歳にして重賞初挑戦となった帯広記念で5着。ヒザの甘さがあるだけに、さらなる増量は不安が大きいが、下りてしまえば終いはよく歩く。勝ち負けよりも障害を大事に運ぶだろうが、ヒザを折っても立て直したい。終いの脚だけなら上位陣と比べても引けを取らず、障害を越えられれば何頭かは交わせる。<br><br>明け6歳の<b style="font-weight:bold;">ネオキングダム</b>がA1から果敢な挑戦。力関係はともかく、世代屈指の重厚派で、条件への適性はあるはず。障害が上手く、ジリでも歩ける。今季は約三年ぶりに勝利を挙げるなど活気が戻り、内容安定してデキも高いレベルにある。自分のリズムで息を入れて行ければ、力を出し切れよう。意気高らかに1000キロに挑む。</p><p> </p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20240317/08/banei-koyanogo/86/bd/j/o1745247615413937068.jpg"><img alt="" contenteditable="inherit" height="596" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20240317/08/banei-koyanogo/86/bd/j/o1745247615413937068.jpg" width="420"></a></p>
2024.03.16
[3/16 第55回イレネー記念(BG1)] 若き新王者、誕生の瞬間
<p>十勝の馬産の礎となったと言われる種雄馬イレネー。競走経験のない馬の名を冠するレースは全国的に見ても珍しいだろうが、重種馬が競うばんえい競馬においては大きな意味を持つ名である。2歳シーズンの締め括り、今季デビューの若駒の頂点を決める一戦だが、その位置付けと価値は、中央競馬に例えるならば朝日杯よりも東京優駿に近い。金曜に雪が降った帯広、馬場状態のチェック必要だが、各馬が初の荷物を積むだけに終い縺れる可能性も。<br><span style="font-size:0.83em;">(定量:690キロ)</span><br><br>重賞2勝を含め4連勝中の<b style="font-weight:bold;">ライジンサン</b>。ヤングCSも翔雲賞も切れ味を見せて抜け出し、混戦の世代の中でも一歩リード。三開催ぶりで気配注目でも、前走も同様の使い方で不安は小さい。障害が安定しているだけに増量も気にならず、追っての鋭さ増して快進撃を見せている近走同様、タメて一腰から末脚発揮で頂点へ。<br><br>ナナカマド賞馬<b style="font-weight:bold;">ホクセイポルシェ</b>は、その後に一息入れてからが案外で、特に年明けから二度も熱発で取消となるなど、順調さを欠く近況。速い流れを自力先行から押し切ったナナカマド賞の内容出色でスケールでは世代一番、本来は増量もむしろ歓迎だが、翔雲賞では障害でモタつくなどデキ不安。割り引かざるを得ない。<br><br>翔雲賞2着の<b style="font-weight:bold;">ミチシオ</b>は、障害巧者で切れ味もあり、これまで最多の8勝を挙げているように素質互角。前走の平場6着も、あくまでステップだし、他馬より積んでいたことを考慮すれば決して悪くない内容。増量カギでも、650の翔雲賞で対応できたのは収穫で、軽馬場のプラスも大きい。ここもチャンス十分で上位争い。<br><br><b style="font-weight:bold;">スマイルカナ</b>は牝馬同士なら力が違うところを見せつけて黒ユリ賞を圧勝。A-1で牡馬を抑えた星も幾度もあり、下りてからの切れ味では互角以上。ただ、この荷物だと正攻法ではさすがに厳しく、まずは障害を大事に運んでの後半勝負か。障害をまとめることが前提だが、軽馬場歓迎だけに、流れが向けば上位食い込みも。<br><br>ヤングCSで2着の<b style="font-weight:bold;">フレイムファースト</b>は、まだ線が細く映るが、障害巧者で切れ味も水準以上の好素材。前二走で終い緩んでいるように、現時点ではスタミナ面の課題はあるものの、将来性十分。690に増量となる今回は、そう出て行かないだろうが、うまく障害から後半につなげたい。ここも善戦可能、末の我慢が利けば。<br><br><b style="font-weight:bold;">アヤノダイマオー</b>はまだ馬体も小さく本格化は先だが、終い長く脚を使えて真面目に歩き、ナナカマド賞で2着。前に行く競馬でも結果を出しており成長十分、ただしヤングCSおよび翔雲賞では障害で手間取ったように増量カギ。ここは少し大事に構えるだろうが、障害まとめて追い比べの形になればそう差はなく、連穴。<br><br><b style="font-weight:bold;">ウルトラコタロウ</b>は決め手一歩で勝ち切れない場面も多いものの、ヤングCSと翔雲賞でともに3着など力十分。特に12月の十勝産駒特別を制した以降は高値安定、デキの良さと成長度が目立つ。ジリっぽく切れ味勝負では分が悪く、馬場がカギとはなるが、障害巧者で終いも我慢して歩けるだけに、増量を最も歓迎は本馬。<br><br>A-1を連勝中の<b style="font-weight:bold;">コトブキテンザン</b>は、特に後方一気を決めた前走が鮮やかで、ここに来て急上昇を示している。翔雲賞では障害で苦戦したように増量が大きなカギとはなるが、その末脚は魅力たっぷり。今回も後半勝負に構えるだろうが、障害をまとめれば切れ味を活かせる軽馬場、前が緩んだ際の差し込み警戒。<br><br><b style="font-weight:bold;">ホクセイハリアー</b>は障害巧者で、翔雲賞でもトップ抜けから粘っての4着と、増量のここも前付けからの一腰を望める。まだ末の甘さが残る現状だが、その登坂力は魅力だし、他馬が止まるようなら大きなアドバンテージとなり得る。歩き比べとなっては分が悪いが、積極策に出て後ろにも厳しい流れを作れるか。<br><br><b style="font-weight:bold;">ショータイム</b>は回避馬が出ての繰り上がり出走。ナナカマド賞では流れが向いたとはいえ3着まで押し上げ、翔雲賞でも終いよく歩いていたように、末脚比べになればそう引けは取らない。増量だけに前半は大事に運ぶだろうが、前が止まっての乱戦になれば出番があっても。</p><p> </p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20240316/11/banei-koyanogo/ba/b6/j/o1913267215413576160.jpg"><img alt="" contenteditable="inherit" height="587" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20240316/11/banei-koyanogo/ba/b6/j/o1913267215413576160.jpg" width="420"></a></p>
2024.03.15
王者抑え、5歳クリスタルコルドが重賞3勝目! 〈第45回ポプラ賞(BG3)〉
<p>3月10日(日)に行われた二世代限定の第45回ポプラ賞(BG3)は、道中好位で進めた<b style="font-weight:bold;">クリスタルコルド</b>(牡5、西)が第二障害を一腰で越えて抜け出すと、後続を引き離す完勝。重賞通算3勝目を挙げました。<br>西謙一騎手は当レース3勝目で重賞通算21勝目。西弘美調教師は当レース初勝利で重賞通算5勝目。<br>馬場水分1.8%で勝ち時計は1分55秒4。2着キングフェスタ(牡5、小北)、3着ヘッチャラ(牡5、鈴木)と続き、明け5歳馬の上位独占となりました。<br><br>だいぶ遅い更新となってしまいましたが、クリスタルコルド、強い競馬でしたねえ。<br>好位付けの正攻法から、他の先行勢は障害で手間取る馬もいる中で一腰、下りてからは末まで緩まず歩き、たしかにハンデはもらっていましたが、完璧な内容と言って良いでしょう。<br>昨季に重賞2勝を挙げてはいますが、ともにキングフェスタ不在時だったこと、他の三冠戦では存外振るわないレースもあったことなどから、意外と地味な印象もあるかもしれません。ここもツガルノヒロイモノが回避したことによる繰り上がり出走でした。<br>ただ、ハイレベル世代の中でも屈指の存在と、私はかなり高く評価しているつもりです。イレネー記念もダービーも本命にしたほどで、まあそれは結果的には見立て違いではありましたけど、将来性では世代一番、と思っていて、今回のレースにより、その意を強くしたところです。<br>前に行けて、ヤマを切れて、終いも歩ける本格派、メジロゴーリキに似てるなあ、なんて少し思ったりもするのですが、古馬になればさらに良さが活きるでしょう。<br>とはいえ、さすがに来季は少し苦労すると思いますが、荷物を積んで良い馬ですし、二年後か三年後かわかりませんが、この3月に行われるもっと大きな舞台でも勝ち負けできる存在になるのではないか。それほどの期待をしています。<br><br>キングフェスタは、やはり危惧されたとおりとも言うべきか、障害でヒザ折り。<br>天板まで上がっていたので返事は比較的早かったものの、下りたのは8番手。そこから豪脚を見せての2着ですから、ハンデ頭でも力を示した、と言っても良いのですが、今季はヒザの甘さを見せる場面がしばしばあるのは、少し気になります。<br>今回も、軽い相手に引っ張られたという感じはそうなく、道中で十分に息を入れて行けたとは見えたのですが、障害で乱れました。たしかに障害スムーズだったら突き抜けていたとは思いますが、昨季まではまったく現れなかった課題が、徐々に大きくなってきている点には不安も覚えます。<br>これまで世代重賞で8勝を挙げ、その末脚からも、類い稀な能力の持ち主であることは疑いようがないのですが、来季以降の古馬重賞に、積んで良いとは思えない本馬が障害への不安を抱えながら挑むとなると、どこまでやれるかは未知数です。<br>荷物の軽い時期なら十分に戦えるでしょうが、そこから先、メムロボブサップやアオノブラックを脅かすまでの期待を懸けるのであれば、大きな成長が必要となるでしょう。<br><br>ヘッチャラは出脚が鈍くて、第一障害を下るまでに後手を踏む格好。そこから道中で押し上げる手もなくはなかったとは思いますが、それなりに荷物も積んでいるぶん無理はできず、登坂力勝負の流れ待ちと切り替えたでしょうか。<br>障害は腰の入り良くすんなり、ジリでも末まで歩いての3着ですから、内容は悪くなく、たしかな地力強化を示しましたが、やや不完全燃焼に終わった感は否めません。<br>まあ、年間で20戦以上使う中では、こういうことも時にはあります。勝ち馬同様に、来季は古馬相手にさらに力を蓄えるシーズンとなります。<br><br>4歳最先着のジェイヒーロー(4着)は、前付けから障害トップ抜け。最後は歩き負けしましたが、自身の良さは出しました。<br>ただ、マルホンリョウユウ(7着)とタカラキングダム(10着)も含めてですが、現状では5歳トップ級との力差はあるようです。<br><br>ヤマカツエース(8着)は珍しく障害でヒザをつき、立て直しは早かったものの、残り20mからアラアラ。そう崩れない馬ですが、30キロ以上軽い相手について行ったことと、あとは荷物自体の影響もあったでしょうか。<br><br><br>来季は本格的に古馬に挑むこととなる5歳、古馬に胸を借りつつ世代三冠戦で再び覇を競う4歳。</p><p>次代の主役へ、さらなる成長と活躍を期待します。</p><p> </p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20240315/06/banei-koyanogo/a1/54/j/o1936162515413133400.jpg"><img alt="" height="353" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20240315/06/banei-koyanogo/a1/54/j/o1936162515413133400.jpg" width="420"></a></p>
2024.03.10
[3/10 第45回ポプラ賞(BG3)] 次代の旗手へ 二世代激突!
<p>明け5歳と4歳のトップ級各5頭が激突する二世代限定重賞。オープン馬ですら出走枠から漏れるほど層が厚い5歳勢が全体レベルと経験で上回るが、年度末でもあり、例によってハンデがどう影響するか。4歳勢は初の荷物への対応がまずカギとなる。基礎重量が現行と同様になった過去9年では、5歳が5勝とわずかにリード。センゴクエースとアオノブラックが連覇を達成している。<br><span style="font-size:0.83em;">(別定:オープン=770キロ。A1=760、A2=750。オープン馬は本年度収得賞金220万円につき10キロ加増)</span><br><br>明け5歳の三冠馬<b style="font-weight:bold;">キングフェスタ</b>は、ハンデ頭で810。同世代相手に限れば3歳2月から天馬賞まで10連勝と圧倒、その連勝は二走前に止まったが、勝ち負けを意識せず内容重点に構えたもの。好調維持しており力は一枚上、あとはハンデだが、他の有力どころに20キロ与え、積んで良いタイプではない自身は初の荷物。下りての迫力断然でも、障害で乱れたくない。ここ試練の時だが、力で克服なるか。<br><br>当レース連覇が懸かる<b style="font-weight:bold;">ヘッチャラ</b>は、今季もキング不在のはまなす賞を制すなど、やはり世代の大関。二走前の5歳限定特別は登坂力としぶとさを活かす好内容、古馬相手の前走はさすがに厳しかったが、810でも障害スムーズだったし、目標のここへ向けて荷物を経験できたのは大きい。自身前走から減量でキングに20キロもらい、軽かった天馬賞時よりも流れを作りやすい馬場。強気に出て押し切り狙う。<br><br><b style="font-weight:bold;">ヤマカツエース</b>はデキが戻った夏以降はほぼ崩れておらず、三冠戦で3・2・4着。末に緩む面は依然として残るものの、古馬相手に揉まれた経験が糧になり地力強化。昨年の当レースおよび二走前が案外だったように、今後は荷物への課題も出てくるが、障害巧者で、経験済みの790なら一腰を望める。軽量戦を挟んだが、活気あって好調、重量関係も悪くない。ここも上位争いで、ひと押しだけ。<br><br>クインカップ制覇で出走権を得た牝馬<b style="font-weight:bold;">アローリキヒメ</b>は、牡馬相手だと地力で劣るものの、まだA1格付ゆえにハンデ有利。近走は相手強化に悩まされているが、デキは決して悪くないし、好馬体に実が入って本格化は示している。ジリっぽく決め手勝負では分が悪く、重量差を活かして位置を取りたいだけに、少し流れは落ち着いてほしい。自身770まで経験済みだし、好位で運べれば楽しみも。<br><br><b style="font-weight:bold;">クリスタルコルド</b>は回避馬が出ての追加出走でも、昨季に重賞2勝と実績も力もある。今季はなかなかデキが上がり切らなかったが、完全に復調したし、二番手グループ相手とはいえ古馬オープン勝ちの二走前も高評価。道中は少し息を入れたいが、ハンデ有利なここなら流れに乗れるか。もともと終い長く脚を使えるし、以前より素軽さも増した。障害まとめて追い比べの形に持ち込めれば小差。<br><br>明け4歳の二冠馬<b style="font-weight:bold;">マルホンリョウユウ</b>。ダービーは障害トップ抜けから交わされての3着だったが、勝負のアヤの0秒6差。前走の4歳限定特別もハンデ頭で2着と、やはり地力は世代一番で、経験値では劣るものの、5歳相手でも臆するところはない。ただ、二走前も障害下で持って行かれたように折り合い難はまだ残り、手替わりだと割り引きは必要か。少し慎重に構えざるを得ないかもしれない。<br><br>ダービー馬<b style="font-weight:bold;">タカラキングダム</b>は、まったく崩れなかった昨季とは一転して今季は苦しんだが、大一番で見事な復活。下りて一気に抜け出した二走前も出色の内容で、ムラでも能力は相当に高くスケール大きい。レース間隔が空くと障害のカカリが悪くなる傾向があり、三開催ぶりの今回はまず気配注目だが、手綱が戻った島津がフルに能力を引き出せれば。アテにはならないが、一発の可能性を秘める。<br><br>昨季に重賞2勝を挙げた<b style="font-weight:bold;">キョウエイプラス</b>だが、今季は馬券圏内すらない大不振。ようやく馬体が増え、底を脱した感こそあるものの、平場でも障害が安定せず、下りてから歩けず詰まっている現状。復活が待たれるが、まだ時間は必要か。今回はハンデ有利でも、自身が増量となる不安のほうが大きいし、相手強化。一変は望めず、さすがに手が出ない。<br><br><b style="font-weight:bold;">ジェイヒーロー</b>は大賞典と菊花賞で3着。ダービーは心房細動で取消となったが、その後も持ち味である登坂力を示しているし、馬体も増えて近走はデキの良さが目立つ。切れ味に欠くだけに、障害を先に下ろしてしぶとさを活かす形に持ち込みたいが、相手強化。窮屈な展開を強いられそうだが、前二走の連勝で自信を深め、ここはハンデの味方があるだけに、少し強気に出ても面白い場面。<br><br>昨季のイレネー記念を制した<b style="font-weight:bold;">アシュラダイマオー</b>だが、今季は未勝利。障害の腰の入りも悪くなく、デキに問題があるとは思えないのだが、昨季ほど下りてから脚を使えず、どうにもピリッとしない内容が続く。むしろ古馬になってから良くなる可能性はあるが、自己条件の平場でも足りていない現状。ハンデ魅力で手替わりも注目だが、相手強化のここで勝ち負けまでを望めるとは。</p><p> </p><p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20240310/10/banei-koyanogo/5c/03/j/o1058287015411234904.jpg"><img alt="" contenteditable="inherit" height="597" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20240310/10/banei-koyanogo/5c/03/j/o1058287015411234904.jpg" width="220"></a></p>
2024.03.09
第24回開催(2/24~3/4)回顧
<p>2月24日の雪月花特別(B1-1)は、障害を5番手で下りた<b style="font-weight:bold;">スーパースピード</b>(牡9、小林長)が差し切り、明け9歳にして特別戦初勝利。やや障害ムラな面があり、ここも一旦止まったが、二腰目がすぐに入ったように、今季はデキが良いのだろう。下りてからは長く脚を使える強みが活きたし、流れが落ち着く特別も存外悪くない。<br>2着<b style="font-weight:bold;">ホクセイキムタク</b>(牡4、金山)はヒザの甘さが残るが、なんとか我慢させて障害をまとめると、末までよく歩いた。今季は地力強化が目立つし、まだ成長の余地もたっぷり。来季は世代重賞出走圏内定着も期待できる。<br><br>25日の8R(3歳A-1)は、道中は後方で待機した<b style="font-weight:bold;">コトブキテンザン</b>(牡3、谷)が下りてから鮮やかに切れて一気の差し切り。翔雲賞では障害で大苦戦したが、その後はタメを利かせる形で連勝。次開催3月16日のイレネー記念も障害がカギとはなるが、秋以降の成長が目立つし、楽しみある。<br><br>メインの然別賞(オープン-1)は<b style="font-weight:bold;">メムロボブサップ</b>(牡8、坂本)が順当勝ち。障害で勢い良くカカリ過ぎて一瞬ヒザをついたが、すぐに立て直すと、きっちり追い比べを制して次開催3月17日のばんえい記念へ向け不安なし。<br>2着<b style="font-weight:bold;">メジロゴーリキ</b>(牡10、松井)は障害すんなりで終いもよく歩き、デキは高いレベルで安定。馬体も非常に良く映るし、ばんえい記念へ向けての臨戦過程ではこれまでで一番と言って良いほど。<br>3着<b style="font-weight:bold;">コマサンエース</b>(牡8、金田)は上位二頭とはやはり地力の差はあるが、ジリでも近走は以前より下りてから歩いているし、よく食い下がった。こちらも良い状態で大一番に臨めそう。<br>4着<b style="font-weight:bold;">キングフェスタ</b>(牡5、小北)は、次開催3月10日のポプラ賞を見据えて後方から内容重点。終いはさすがの伸び脚を見せ、順調。<br>5着<b style="font-weight:bold;">インビクタ</b>(牡8、松井)は障害スムーズで末まで脚取りしっかりと、内容的には不満ない。各馬が目標へ向けて良いステップを消化した印象。<br><br>26日は終日雪。メインの深雪特別(A2-1)は前半約37秒-1分26秒3の決着で、前々から先に仕掛けた<b style="font-weight:bold;">ジェイヒーロー</b>(牡4、金山)が押し切って現級特別連勝。末はやや緩んだが、他馬もタメが利かない流れに持ち込み、馬場こそ違え前走同様にしぶとさを活かした。<br>2着<b style="font-weight:bold;">タイタス</b>(牡5、金山)は、早めに障害に付けて下で息を入れる近走のパターンから一腰でまとめると、良い切れ味を見せた。そう長く脚は続かないが、今季かなり力をつけ、特別への出走機会が増えているのも良い経験。<br>7着<b style="font-weight:bold;">ジャパントップ</b>(牡5、坂本)は軽馬場自体は悪くないのだが、さすがに少し速過ぎた。道中で押し上げられず後手に回ったが、流れが変われば見直しも可能。<br><br>12R(A2-4)は、近走着外続きだった<b style="font-weight:bold;">チハヤブル</b>(牝6、服部)が第二障害直行から1分8秒8で圧勝。もともとスピードが持ち味だが、過去にも直行で勝った星があり、ここは鈴木恵介が狙っていたか。叩いて加速させていく様は、やはり見事。<br>2着<b style="font-weight:bold;">ケイロン</b>(牡5、鈴木)も昨季は何度も直行を見せたように、軽馬場は滅法得意。今季は折り合いがつくようになり、今回も障害下で止めてからの仕掛けとなったが、軽いと二割増し。<br><br>3月2日のメイン、ばんばニコニコプレミアム杯(A1-1)は、障害をまとめた<b style="font-weight:bold;">スイ</b>(牝5、服部)が楽々と先行各馬を抜き去って快勝。以前から下りて歩ける馬として評価は高かったが、それにしても目立つ勝ちっぷり。近走の増量もなんら苦にせず、デキも相当に良いのだろうが、本格化成った印象。<br><br>3日の6R(B3-8)は<b style="font-weight:bold;">シンドラー</b>(牡15、田上)が勝利。あまり昔のことまでは調べ切れないが、帯広単独開催以降に限れば、明け15歳馬の勝利は、コトブキライアン、ナンエイテンリュウ、そして今季のキタノオーラに続いての<span style="font-size:0.7em;">(おそらく)</span>4頭目で、生まれた日から数えれば本馬が最高齢記録となった。<br><br>うお座特別(オープン-2)は、道中で刻みを入れずに先行した<b style="font-weight:bold;">コウテイ</b>(牡7、槻舘)が障害をじつにスムーズに越えると、末まで緩まず歩いて押し切り。持ち前の登坂力としぶとさをフルに発揮する完璧な内容だった。次開催はばんえい記念に挑むが、現役一番と言って良いほどの障害巧者。昨季は上がれず競走中止となったが、再度の1000キロに腕撫す。<br>2着<b style="font-weight:bold;">オーシャンウイナー</b>(牡6、中島)は障害天板で我慢して一腰、最後は脚色が一緒になったとはいえ下りての脚もまずまず。近走好内容が続き、デキも良いのだろうが、しっかりと力を蓄えている5歳シーズン。<br>3着<b style="font-weight:bold;">クリスタルコルド</b>(牡5、西)は、少し息を入れたい意識もあるのか道中で後手に回ったが、障害のカカリは良かったし、終い上々の伸び脚。秋以降は活気が戻り、地力も一段階増した。<br><br>4日の12R(A1-3混合)は、オープン馬を抑えて<b style="font-weight:bold;">ウンカイタイショウ</b>(牡10、久田)が勝利。年齢を重ねて障害ムラな面も目立つようになっているが、前二走のカカリ良く、ここは道中で押し上げて先手を取り、先に障害を下ろして後続を封じるという、かつて勝ち星を重ねたパターンに持ち込んで快勝。まだまだ元気なところを示した。<br>2着<b style="font-weight:bold;">カイセドクター</b>(牡7、坂本)は一戦ごとに内容良化、本来の力を思えばまだ物足りないくらいだが、馬体も増加傾向に転じ復調確か。次走も来季も期待できる。<br><br><br>いよいよ、今季もあと一開催を残すのみとなりました。<br>その次開催は、3月10日(日)に<u style="text-decoration:underline;">第45回ポプラ賞(BG3)</u>が行われます。明け4歳と5歳による世代交流重賞、三冠馬と二冠馬とダービー馬、トップ級同士が激突する一戦にご注目ください。<br>また、後節の16日(土)には、2歳シーズン(明け3歳)の最高峰、<u style="text-decoration:underline;">第55回イレネー記念(BG1)</u>が行われます。まだまだ混戦との声も聞かれる世代ですが、若き新王者誕生のシーンをお見逃しなきように。<br>そして17日(日)は、<u style="text-decoration:underline;">農林水産大臣賞典第56回ばんえい記念(BG1)</u>。メムロボブサップの連覇か、アオノブラックの悲願か、メジロゴーリキの奪回か。出走予定馬はもう出ていますが、私は本命をどうするか結構悩んでいます笑<br>Webキャンペーン等も各種行っておりますので、ばんえい十勝およびNARのサイト等をチェックいただいたうえで、大一番までの楽しい時間をお過ごしください。<br>なお、<u style="text-decoration:underline;">後節は15日からの金土日開催</u>となりますので、ご注意のほどを。<br>それでは次開催もお楽しみに<img alt="ラブラブ" draggable="false" height="16" src="https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/035.gif" width="16"></p>
2024.03.07
サクラヒメ、軽やかに46秒2! 〈第14回スピードスター賞(準重賞)〉
<p>3月4日(月)に行われた今季の最速馬決定戦、第14回スピードスター賞(準重賞)は、第二障害手前で前に並んだ<b style="font-weight:bold;">サクラヒメ</b>(牝6、今井)が抜け出して快勝。今季6勝目、通算27勝目を挙げました。<br>馬場水分1.3%で勝ち時計は46秒2。2着にブラックサファイア(牡7、長部)、3着にツガルノヒロイモノ(牡5、長部)と続いています。<br><br>見たまんま語るしかないレースですが、サクラヒメお見事。これで軽量戦は3戦3勝となりました。<br>予選同様に、第一障害を下った時点では少し後れを取ったくらいでしたが、そこからスピードに乗り出すと速い速い。<br>一般戦でもそうですが、特に第二障害の天板から下りにかけての脚がじつに速くスムーズで、平地競馬風に表現すれば、小脚を使えるといったところでしょうかね。<br>下りてからは前へ前へと進み、そりゃあこの条件ですから心路も追って叩くのですが、最後はちょっとだけ「持ったまま」にも見えるような、そのスピードと強い前進気勢を示すサクラヒメらしい勝ち方。<br>前走のヒロインズカップでは、荷物と馬場に大いに苦しみ、動けず、3着に敗れましたが、それでへこたれることも嫌気を差すこともなく、このような走りを見せてくれるとは、本当に素晴らしい馬ですね。<br><br>力があるのはもちろんですが、いつだったか今井先生が、<br>「こんな性根の良い馬はなかなかいない」<br>なんておっしゃっていました。<br>一般戦だと、行き過ぎるのを騎手が気をつけなくてはならないほど前向きですし、いつも真面目に引っ張る偉い馬だなあと、外から見ているだけの私でさえ感心してしまいます。<br><br>ブラックサファイアは軽量戦で四戦連続2着。すべて好時計ですし、ストライドが大きく迫力のある走り。相手が悪いだけでしょう。<br>ツガルノヒロイモノは予選より前に行けて時計も大幅短縮。この条件への適性が高いようです。<br>ヤマカツエース(4着)とタカナミ(5着)は、適性があって自身よく走っていますが、上位馬がさらに良過ぎました。<br>ダイヤカツヒメ(7着)は個人的に期待していたのですが、単純に私の見立てが間違っていたようで(~_~;) 次開催の5歳限定特別で改めて注目です。<br><br><br>年に三戦しかない軽量戦、今年はメンバーも良く、皆様にもお楽しみいただけたことと思います。<br>でも、普段の生活の中だと、470kgや500kgを「軽い」とはなかなか表現しないですよね笑<br><br>帯広競馬場とかちむらの入口に、競走で使うソリが置かれており、実際に見て触ることができますが、たしかに形はソリでも、言ってしまえば鉄の塊ですよ。もちろん人間が押そうが引こうが動かすことはできません。<br>それを肩に掛け、その上に御者が乗り、二つのヤマのあるコースを「走る」ばん馬。<br>なんだか当たり前のように見てしまっているけど、一歩下がって考えてみると、尋常ではない。バケモンですか?<br>毎年そんなことも思ってしまうレースです。</p>
2024.03.04
[3/4 第14回スピードスター賞(準重賞)] 帯広スーパースプリント
<p>10月の疾風賞と、12月の地吹雪賞の上位5頭による軽量戦の決勝。予選二戦の決着タイムには10秒以上の隔たりがあるが、馬場差も考慮しなければならない。オープン格付馬が7頭揃い、スピードはもちろんのこと、持続力と末のひと押しも求められるか。馬場は土曜から日曜にかけて落ち着きつつあるが、このメンバーなら今年も40秒台の決着が濃厚。<br><span style="font-size:0.83em;">(定量:500キロ。5歳10キロ減)</span><br><br>【疾風賞組】<br><b style="font-weight:bold;">・ツガルノヒロイモノ</b> [軽量戦通算:1-0-0-0 最高時計:56.2]<br>予選はテンに行けずに、障害を下りたのも4番手だったが、そこから脚を使っての差し切りと、一般戦とは違う姿を見せた。二度目なら慣れが見込めるし、急遽の手替わりも、特に問題となる条件ではない。時計勝負となった際にどうかも、再度上位争い可能。<br><br><b style="font-weight:bold;">・タカナミ</b> [1-1-1-0 46.4]<br>ゴール前でわずかに緩んだ予選も、道中のスピードの乗り良く、切れ味もあって条件への適性は非常に高い。一般戦では障害のカカリが悪く崩れる内容が続いているとはいえ、ここなら別馬の評価可能。昨年の当レース3着で時計も持っており、十分に争覇圏。<br><br><b style="font-weight:bold;">・ダイヤカツヒメ</b> [0-0-1-0 57.7]<br>予選3着だが、スピードと切れ味は見せ、この条件への適性も十分。当時は休み明けで、その後の一般戦の内容からも完調手前だった印象だが、前走で重賞を勝つなど今はデキが違い、大幅な時計短縮も可能か。力は本物で、重量面での魅力もある。ここでも。<br><br><b style="font-weight:bold;">・マルホンリョウダイ</b> [0-0-0-1 1.03.2]<br>今季は障害が乱れて苦しんだ時期もあったが、疾風賞を挟んだことも切っ掛けとなったのか、秋以降は復調を示して近走連勝と、デキに関しては文句ない。ただ、速さ負けした予選から、さらに相手強化。道中で置かれそうだし、入着以上とは。<br><br><b style="font-weight:bold;">・クリスタルホーク</b> [0-0-1-2 51.7]<br>疾風賞も昨季の地吹雪賞も、テンから走って障害を下るまではタカナミについて行けたように、適性自体は高い。いずれも終い突き放されたように地力で劣る格下、勝ち負けまでは望めないが、スピードだけなら引けを取らず、見せ場は作れるか。<br><br>【地吹雪賞組】<br><b style="font-weight:bold;">・サクラヒメ</b> [2-0-0-0 44.4]<br>予選はテンこそ存外行けなかったものの、道中で加速すると一気に抜けて好時計で完勝と圧巻の内容。持ち前の強い前進気勢より生まれる豊かなスピードと緩まない末脚、ここでも適性と地力で上回る。昨年の当レースは除外となったが、改めてスピード王の座へ。<br><br><b style="font-weight:bold;">・ブラックサファイア</b> [0-3-0-0 43.7]<br>これまで軽量戦での勝ち星はないとはいえ、いずれも好時計で駆けており、特に昨年の当レースは自身も従来のレースレコードを上回る走り。一般戦では障害ムラでアテにならないが、この条件なら高い身体能力を存分に活かせる。ここも上位争いは必至。<br><br><b style="font-weight:bold;">・ヤマカツエース</b> [0-0-1-0 48.0]<br>軽量戦初出走となった地吹雪賞は、障害下りから良い切れ味を見せ、終いも緩むことなく伸び切った。適性は十分で、条件二度目、さらに若い騎手への手替わりでテンから押して行けば時計短縮も見込める。相手は揃っているが、そう差はなく好走可能。<br><br><b style="font-weight:bold;">・ゴールドハンター</b> [1-1-1-2 47.4]<br>初めての軽量戦となった一昨季の疾風賞で、メムロボブサップを抑えた星が何より光る。その後は障害で細かなロスを生ずる場面もあり、極端な時計勝負とはならないほうが良いが、適性は示しており、除外明けでもスムーズに全開なら上位に加われる。<br><br><b style="font-weight:bold;">・トワトラナノココロ</b> [0-0-0-3 53.8]<br>自身も一般戦ではスピードを活かすタイプだが、この条件だと周りのほうが速く、これまでの三戦では道中から後手に回っている。予選5着とはいえ上位から離されたものだし、時計面での限界もありそう。相手強化ではどこまで。</p>